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経済

【猿でもわかる】アベノミクス失敗の理由をわかりやすく解説1

更新日:

 

「アベノミクスのおかげで株価は民主党時代の2倍を超えました」

「アベノミクスにより賃金を増やしました」

「アベノミクスで雇用は〇〇人増えました」

 

暗黒の民主党時代を経て誕生した安倍政権、政権誕生して間もなく総理は「アベノミクス」を通して日本の停滞を脱出すると宣言しました。

 

民主党時代に頭を打った国民にとって安倍政権の誕生は「ヒーロー」の誕生を予感させました。

事実、株価は就任当初から民主党時代より高い水準を維持し、春闘では賃上げ達成の報道もされました。

 

その他にも安倍総理大臣が語るには多くのところに好景気の波が出ているそうです。

 

 

さて、そんなアベノミクスが「うまくいっている」と思いたい方にはとてもこれから耳の痛い話をしなくてはなりません。

 

私は日々安倍政権を批判することもあり「左翼」「在日」と言われるのですが、そんなレッテル貼りに屈してられないほど率直に言ってアベノミクスはひどいんです。

 

アベノミクスは失敗しているんです。

私はあんまり断言をしませんが、これだけは断言できます。

 

浜矩子や森永卓郎が言ってるから「デマ」と言ってる場合じゃないくらい失敗しているんです。

民主党政権の時代よりひどいんです。

「民主党よりマシ」という方にはぜひ色々と調べてもらいたい。

 

今日は、アベノミクス失敗の理由を猿でもわかるように書きました。

 

■目次

そもそもアベノミクスを何で評価すべきか
アベノミクス「成功」の根拠を疑う①ー株価が2倍になったじゃないか!ー
アベノミクス「成功」の根拠を疑う②ー円安で企業収益は最高じゃないか!ー

■そもそもアベノミクスを何で評価すべきか

「アベノミクスが成功か失敗か」をそもそも何で評価すべきかについてまず考えていく必要があります。

これが整わないから「アベノミクスはさすがに民主党よりマシ」と思ってしまうんですね。

 

失敗を隠すためなのかわかりませんが、政府や御用学者は我々を撹乱するために多くの数値を出してきます。ジニ係数がどうだ、名目賃金がどうだ、株価がどうだ、と。

 

 

まずは評価ポイントにすべきでないものを排除するために御用学者がよくあげる項目を見ていきましょう。漏れがあるかもしれませんが、主に下記をアベノミクス成功の要因として安倍政権とその御用学者は挙げます。そして最後に何で評価するべきかを書いてきます。

  • 株価
  • 円安
  • 消費者物価指数
  • 名目賃金
  • GDP

 

個々に色々ケチをつけたいのですが尺の関係もあり、これらの指数が評価ポイントとして適切とは言い難い理由を簡潔に書きます。

 

実は、これら5つは「経済とは何か」「経済政策は何のためにするのか」という根本的問いに立った時デタラメだと気づくことができるんですね。

エコノミストがしたり顔で語っていることは経済についてではないんです。

 

 

では「経済とは何なのか?」ですが、これを見ましょう。

一番大事なところです。

 

語源を調べると「経世済民」という言葉に出会います。

経世済民とは辞書によると以下のような意味があるようです。

世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと。また、そうした政治をいう。▽「経」は治める、統治する。「済民」は人民の難儀を救済すること。「済」は救う、援助する意。「経世済民」を略して「経済」という語となった。

https://dictionary.goo.ne.jp/leaf/idiom/%E7%B5%8C%E4%B8%96%E6%B8%88%E6%B0%91/m0u/

「統治を通して、人々を苦しみから救うこと」という意味だとここでは書かれています。

 

 

私はこれを経済の定義として「正しい」と考えます。(中立偽装するつもりはありません。経済政策は広く国民を苦しみから救うためにやるものだと私は考えています)

ですから、「経済に精通している」とはマクロ何ちゃらモデルを知っていることや複雑な数学の計算から株価予測を出すことでは断じてありません。

 

 

最近の経済学者やエコノミストはこれを完全に忘れています。

だから本質を離れた抽象的な数字を話すだけなのです。

 

では、先ほど挙げた5つの指標について一つずつ見ていきこれをアベノミクスの評価ポイントとすることの問題点を見ましょう。

 

 

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■アベノミクス「成功」の根拠を疑う①ー株価が2倍になったじゃないか!ー

まず株価ですが、民主党時代より2倍以上に現在なっています。

「だから好景気!」と経済評論家の類が本当に言っているんですね。

恥を知れと私は思います。

 

なぜ私がここまで株高に批判的かというと、こちらが上がって喜ぶには当たり前ですが株を保有している必要があるからです。

 

経世済民の定義から言えば一部の人しかできないことに注力することは格差を広げる行為であり、経世済民の反対をいく行為だと言って良いでしょう。

 

 

では、日本人で株式をやっている個人投資家はどれほどいるのでしょうか。

下記のサイトでは「延べ人数」で5000万人程度と書かれています。

個人株主数は、「延べ人数」(=各上場会社の株主数を単純に合算した人数)で4967万人となり、右肩上がりで増加しております。

http://blogos.com/article/230383/

これは個人で複数銘柄買っている場合も一人一人として数えていきますので、実際の個人投資家はこれの半分か3分の1程度と言われています。(一人で3−4銘柄持っていると言われています。)

 

まあ1兆歩譲ってこれが実際の人数としましょう。

それでも日本の人口の1億2000万人と言われる数の半分以下です。

 

半分以下の人しか享受できないものを「経世済民」の数値として使うことは適切でしょうか?

良心のある人であればありえないというでしょう。

 

ただ、こういうことを言うと「株をやらない奴が悪い」「日本は金融教育が足りない」と論点をずらすんですね。(特にネオリベ、新自由主義カルトの人)

 

まあ寛大な心を持つ同志諸君ですからここも1兆歩譲って妥当だとしてみましょう。

 

ですが、その考えは経済を語る人間として失格なんです。

 

株式などをやる元手すらない人がかなりいるんです。それくらい苦しんでいる人がいるんです。

下記サイトを見ると貯蓄なし世帯が2013年には3割を超えています。

https://www.nenshuu.net/sonota/kakei/setai_kinyuu.php

 

生活資金を株に回せということでしょうかね。

株価がどうだと言っている人は発想がクズなんですよ。

 

ついつい我々は肩書きが「東京大学卒業」「マッキンゼーを経て」「慶応大学教授」とか書かれてしまうとビビります。

 

しかし、「株価」をアベノミクスの成功と思っている知識人は我々のような一般人より経済についてわかってないアホなので徹底的に叩いて大丈夫です。

 

 

これ以上は言いませんが、株価が上がったからアベノミクスは経済政策としてうまくいっていると言っている人間は専門家だろうがなんだろうが一般の人よりも圧倒的に経済について理解不足なんです。

 

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■アベノミクス「成功」の根拠を疑う②ー円安で企業収益は最高じゃないか!ー

続いて根強い「円安神話」ですね。これはアベノミクス正当化の中でもかなり強い根拠になっています。

 

後ほど書きますが、実際これが企業収益が上がっているため反論は株高ほど簡単ではありません。

 

 

このいかがわしさを見抜くためにあらかじめ円安について多少知識をつける必要があります。

 

円安とは「円の価値が他国に比べてやすくなること」を指します。

 

つまり、より多くの円を使わなければ他国の商品や通貨を入手できなくなるのです。

輸入することが多い層は損をするということですね。

 

逆に、輸出をすることが多い層には際はより多くの円を取得できますからより省力で儲けることができます。

 

高度成長期は自動車などがこの円安のおかげで巨大企業になりました。

当時は一ドル360円でしたから輸出産業は少しの努力で大儲けできました。

 

 

では、昔話はさておき、具体的に円安で得する人と損する人を見ましょう。

まず得をする人です。

 

下記サイトを見ると未だに日本の総輸出に占める割合は自動車が一位のようです。

ついで半導体や鉄鋼などの産業も円安の恩恵を受けていることが予想されます。

 

この辺りは安定的ですね。トヨタ自動車などは数年前に最高益を上げましたがあれは為替によるところが非常に大きいです。

http://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/item.html

 

これを根拠づけるかのように、首相官邸のホームページでは「経常利益過去最高」(おそらく上場企業のことを指しているがソースが書いていない)と書かれています。

 

では、反論できないのか?

 

いえそんなことはありません。

 

基礎に立ち返りましょう。また「経済とは何か」の考えに戻ってください。

多くの国民を苦しみから救うものが正しい経済政策です。(だと私は考えています)

 

それゆえに、この経常収益が好調という文言から日本が豊かになったと考えるのはダメです。

 

例えば、円安で恩恵を受けた企業の筆頭でもあるトヨタ自動車は先に述べたように過去最高益をアベノミクス以降あげました。

 

しかし、トヨタをはじめとした一部の企業が儲かればアベノミクスは成功なのでしょうか。

そんなことはないでしょう。

 

 

上場企業を見て世の中全体を見たことにはなりません。

実際、多く見積もって上場企業は4000社もありませんからね。

 

一方で法人数は国税庁の調べでは264万ほどあります。

ペーパーカンパニーや関連会社のため上場していないなどの理由を加味したとしても上場企業だけを見ることは現実経済を見ているとは言い難いと思いませんか?

法人数全体(連結子会社を含む。)は264万1,848社(前年度比+2万5,363社、同+1.0%)と増加。

https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kaisha_hyohon/index.htm

 

 

しかも、経常利益が上がることイコール我々の生活を豊かにすると言うロジックは今や通用しません。

 

多くの企業は所有と経営の分離が進み上がった利益が従業員ではなく投資家などの株主に還元されるようになりました。

その株主が日本人ではなく、外国人であることもザラなのです。

世界を代表する日本企業のキャノンやソニーなどの企業は特に外国人投資家の比率がかなり高いですので、ぜひ見てみてください。

 

 

一方で、円安のデメリットを見ましょう。

先ほども書いたように円安になると輸入物価が上がるんですが、これはすべての企業や国民に影響があります。特に中間層以下は大打撃です。

http://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/item.html

 

それは輸入品目を見ればわかります。

日本の輸入上位には、石油、LNG、衣類、医薬品、、石炭、有機化合物など原油がらみのものがたくさん並びます。

 

日本は資源が自国でまかなえませんからある程度高くても買うしかありません。

なぜなら、この輸入品目を使わずに生活できる人は日本人で恐らくほぼいませんからね。

 

具体的には、電気を作るのにも畑を耕す機械にも、工場を稼働させるのにもすべて原油が必須です。

 

それゆえに、繰り返しになりますが、円安による輸入価格の上昇に関しては、ほぼすべての家計や企業が打撃を受けます。

 

 

実は、アベノミクスでは「デフレ脱却デフレ脱却」と言っていますが、物価は挙がってます。

そもそも「物価が上がっていない」というの自体嘘なのです。

 

下記は総務省統計局からの抜粋ですが、まずはグラフの上の方をご覧ください。

2015年を100と基準点を置いてごまかしていますが、民主党時代より物価が急激に上がっています。

前年度比較を示す二つ目のグラフも見ていただければと思いますが、明確に物価が上がっていると断言できます。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001177606

 

一昔前までは、円安であるほど良いとされていました。

 

しかしながら今は異なります。

円高すぎるのも問題ですが、安倍政権の為替レートは問題ありと私は考えています。

 

円高の場合ももちろんデメリットがあります。

先ほど挙げた輸出産品の競争力の低下ですね。

ただ、こちらは努力で緩和できるんです。

 

今やホンダやトヨタは為替の影響を加味して海外に大量の工場があります。

つまり、為替に応じて生産調整をすることで悪い影響を減らせるのです。

 

 

一方で、石油に関しては絶対に輸入が必要です。これは避けられません。

そしてすべての人が使います。

 

こう考えるとレートがどのあたりは議論の余地があるとしても円安で喜ぶことは「ありえない」とわかるのではないでしょうか。

 

*個人的にはレートは100円を切っていた方がいいと思っています。

 

長くなりましたがまとめます。

アベノミクスの第一の矢である金融緩和は円安を引き起こし確かに輸出産業の経常利益をあげました。そしてそれは製造業の社員を対象に賃金に反映されました。

これは確かです。

 

ただ、そのほかの人はどうでしょうか。原油だけでなく食料も海外から輸入する我が国では生活コストが上がっただけではないでしょうか。賃金も伸びていません。

 

もちろん私の考えも突っ込みどころはあるでしょう。

ただ、「円安=善」というのがデマかもしれないという検討をしてください。

これが不利益なものであればアベノミクスはむしろ円安に誘導したことで「失敗」と言えるのです。

 

第二に続く

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