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経済

【猿でもわかる】アベノミクス失敗の理由をわかりやすく解説3

更新日:

さて、アベノミクスの成功とされたもののいかがわしさについて見てきました。

このページで終わりとなります。

最後に少し思想的な話も交えつつアベノミクスというものに騙される理由と騙されないためにどうすべきかについて書かせていただきます。(何を偉そうにって感じですけど)

*初めから読みたい方は下記からどうぞ。

【猿でもわかる】アベノミクス失敗の理由をわかりやすく解説1

 

■目次

アベノミクス擁護派の最後の砦「いや。民主党よりマシでしょ」
アベノミクスの嘘に騙されないために
アベノミクスのデタラメを学べるおすすめの本

■アベノミクス擁護派の最後の砦「いや。民主党よりマシでしょ」

少し思想の話をさせてください。

 

ここまでアベノミクスの失敗について書いてきました。

もちろん私が誘導しているという視点も持っていただければと思いますが、いかがわしい事柄が次から次へと出てきすぎなんですよ。

なのに、賛成派はとんちんかんなことを言ってることが多いんです。

 

ただ、なかなかアベノミクスがやばいのではないかと考えることすらしてくれません。

 

なぜなのだろうかといろいろ考えたのですが、それには明確な理由がありました。

 

こういう不都合な事実をいくつも上げていくとアベノミクス擁護派が必ずと言ってもいいほどいうことがあったのです。これこそがアベノミクス御用派閥の最後の砦だと私は突き止めました。

 

それは「民主党よりマシ」というものです。

 

これはもうロジックではなくて単なる意固地なのですが、感情がそう思う以上ひっくり返すことは容易ではありません。

 

 

 

確かに民主党はひどかったです。菅直人はシビリアンコントロールも知らないし、前原誠司は日本の農業を切り捨てると発言したし、間違いなく「売国奴」です。

 

ですから、私は民主党を支持しているわけではありません。

勝手に左翼認定しないでください。

 

しかし、私が繰り返し述べたいのは、「民主党がひどい」という「反動」から「アベノミクスがそれ以上の失敗にはなりえない」と考えてしまっていませんかということです。

 

 

これまでに述べたように反証可能性はあるにせよ多くの数値がアベノミクスにとって不都合なことを示してしまっています。

 

この検討すらしない「思考停止」をしてしまっている方にハンナ・アーレントという思想家の言葉がとても当てはまります。

 

名前を聞いたことがない人のために補足しますと彼女はナチスの全体主義を分析した政治思想家です。

当時なぜ多くの人がナチスの巨悪に加担できてしまったのかについて彼女は分析したのですが、これがアベノミクスに対して「民主党よりはマシ」で思考停止している人と似ているのです。

 

*補足するとナチスは国をのっとったイメージを持っている人がいますが、民主的な手続きから生まれた政党です。

政府の役人とすべての住民に、悪を悪として受け入れさせるように条件付けるために、<より小さな悪>という論拠が意識的に利用されていたのです。

多くの実例がありますが、一つだけ例をご紹介します。ユダヤ人の絶滅措置が実行される前に、次第に激しさを増しながら、一連の反ユダヤ主義的な措置が採用されました。これらの措置はどれも、協力しないと事態が悪化するという理由から受け入れられたのですが、ついには最後にはもはやこれ以上の悪いことが起こりえない段階が訪れたのです。しかしこの最後の段階に至ってもこの論拠が放棄されなかったこと、そしてその誤謬が誰の目にも自明なものとなっている現在でも、この論拠がまだ利用されているということには驚かされます。

『責任と判断』ハンナ・アーレント(2016) ちくま学芸書房 p61

 

ここで書かれていることは二つの悪がある時に「より小さな悪」という誘い文句は驚異的な効果を発揮するということです。

 

もちろんナチスのユダヤ人虐殺より悪など当時はなかったのですが、そうしなければドイツ国民が滅亡するといったりユダヤが我々を不幸にしているといったデマを流すことで「それならばやむをえない」と多くの人に思わせたんですね。

 

 

今述べた「より小さな悪の選択」という行動原理がまさに「民主党よりマシ」と同じなのです。

 

何度も言うように確かに民主党はひどかったのは事実です。

しかしながら、安倍政権がそれより巨悪である可能性がないと本当に言い切れますか?

 

GDPの数値をいじったり、原油安を嘆いたり、いろいろと常識的に考えておかしいことが山のように並んでいるんです。

 

土壌が腐ってるんです。

 

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■アベノミクスの嘘に騙されないために

では、経済政策を評価する上ではどこを見ればいいのかということについて私の考えを少し最後に書かせていただきます。

 

これは「持続的な実質賃金の伸び」です。

実質賃金とは、どこかに基準の年をおいて、その年の物価にならして賃金を測定するのです。

要するに物価の変動を考慮して図るということです。

 

それゆえにもらう給料がへろうともそれ以上に物価が下がれば実質賃金は上がったと言えるのです。中原圭介氏によれば産業革命期にはデフレでしたが実質賃金が大幅に伸びたという指摘があり、「デフレ=悪、インフレ=善」がデマだということを学べます。

 

経世済民の観点からはより多くの国民の購買力が高まったことを示す「実質賃金指数」の持続的な高まりが極めて重要な指数だと言えます。

 

ただ、もちろん実質賃金にも懸念点がないわけではありません。

「持続的に」と私が繰り返し言っているのは、「悪いデフレ」(需要不足)でものが売れなくなる時賃金の方が後に下がることが多いため一時的に実質賃金が上がることがあるからです。

 

それゆえに、持続的に実質賃金が上がることが求められるのです。

ちなみにこの実質賃金ですが、アベノミクス以降どうでしょうか。

下記の真ん中の列をみてください。アベノミクス以降一貫して下がっています。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/27/27p/dl/sankou27p.pdf

大失敗なのです。

民主党よりマシどころか民主党の方がマシなんです。

名目、実質賃金双方とも下がり物価は上がるというスタグフレーションを引き起こしているのです。

 

浜矩子氏や森永卓郎氏が言ってるから間違っていると思っている人がネトウヨ界隈には多いらしいですが、アベノミクスは失敗しています。

 

決して誰が言うかで判断してはいけません。その考えが巨悪に加担させてしまいます。

まずは、実質賃金が年間で伸びているかをみましょう。

 

それが我々一人の生活苦の改善に多少なりとも貢献している可能性が高い数値だと思われますので。

 

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■アベノミクスのデタラメを学べるおすすめの本

最後にこの記事を書くのに参考にした著書をはっておきます。

長らくお付き合いいただきましてありがとうございました。

 

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