朝日新聞というと日本を代表するメディアとして長らく我が国のメディア界を牽引してきました。
しかしながら、朝日新聞が慰安婦問題に関する「誤報道」をしたと言われて以降、その権威は地に落ちつつあります。
「朝日新聞は左翼メディア」
「朝日新聞は売国メディア」
上記のようなことが公然のように語られ何を報道しようとも「フェイクニュース」「偏向報道」というような人さえいるのです。
確かに朝日新聞が国益を毀損したというのは極めて妥当性の高いのは事実で幾多の証拠が上がっています。
それは許されるものではないでしょう。
しかしながら、私はその朝日新聞と同等かそれ以上に「朝日新聞はフェイクニュース」「朝日新聞は左翼」と思考停止している人たちに危うさを感じるわけです。
今日は、その手の思考停止する人たちはどこが危ういのかを書いていきます。
結論から言うと彼ら・彼女らの特徴とは朝日新聞を叩くという結論ありきに行動するため自らの醜さにきづかなくなっているのです。
■目次
▶朝日新聞の嘘は許さないけど安倍総理の嘘は許しちゃう人
▶反日国家を笑えないほど愚かな自称保守達
▶我々の身を正す一冊の書
■朝日新聞の嘘は許さないけど安倍総理の嘘は許しちゃう人
統計をとっていないのであくまで個人のヨタだと思って聞いてもらう程度でいいですが、「朝日新聞は左翼」という人には広く見られる共通点があります。まず一つ目が猛烈なまでの安倍政権支持者なのです。
このメカニズムはおそらく朝日新聞が一般的に安倍政権に対して批判的な論調が多いからなのでしょう。
ですから、朝日新聞が嫌いな人からすると自然と脊髄反射的に安倍政権支持になってしまうわけです。
「朝日は左翼だから安倍は保守」
「朝日新聞は偏向報道だから安倍はまとも」
そういった脊髄反射が起こるわけですね。
しかし冷静になって安倍総理の発言を調べていくとどちらが嘘をよく付いていてどちらが左翼なのかに関して疑問を感じざるをえなくなっていきます。
安倍総理の嘘は朝日新聞を超えるものと言ってもよく例えば一例としてTPPが挙げられます。
下記の動画は朝日新聞を叩くような安倍信者がみようともしない動画なのですが、まあみてください。
これも「偏向報道」だと言われればもうどうしようもないのですが、「TPP交渉参加に反対する」と言っておきながら国会で「ただの一回も言ったことがない」と平気で嘘をついているのです。そして安倍総理が死に物狂いで入ろうとしているTPPは関税率が高い日本の農業を崩壊させるものであることは言うまでもありません。他には医療などの崩壊にもつながる可能性が指摘される中で交渉過程が隠蔽されているのが実態です。
極めて「左翼的」な政策を意固地なまでに推進しているのですが、自分にとって都合のいいもの以外は「偏向報道」とみなす人たちには一向に理解されないわけですね。
ちなみにTPPに関しては、「自民党は結党以来強行採決など考えたことすらない」と安倍総理が言ったそばから所属議員が「強行採決を考えている」という趣旨の発言をしまっているのです。これまた安倍総理は嘘をついているわけですね。
TPP以外にも「集団的自衛権はこれまでの憲法解釈の範囲では行使できない」という立場をひっくり返し、違憲の法案を通しておきながら「安保法案は合憲」と嘘をついていることもありました。
安保法案が合憲であるという根拠を何一つまともに示せていないのですが、「朝日新聞は左翼だ」で思考停止している人は偏向報道だと思って安倍総理を支持してしまうのです。
■反日国家を笑えないほど愚かな自称保守達
「朝日新聞は左翼」が口癖の人たちに見られる愚かな現象としてよく見られるのがもう一つあります。
それは「自称保守系論壇人」と呼ばれる人が人気を取るためによくやっている手法でもあります。
- 櫻井よしこ
- 百田尚樹
- 三浦瑠璃
- ケントギルバート
- 辛坊治郎
この辺りの人物が筆頭例としてあげられます。
何をやっているのか?
とにかく中国や韓国を批判することで暗示的に安倍政権の支持につなげたり、日本は素晴らしいという思考停止へ人々を導いているのです。
これらの自称保守系論壇人は「反日」というスローガンで結束力を高める韓国や中国を徹底的にこき下ろすわけですが、それと同じやり方で中国や韓国をこき下ろして集客しているのです。
結局は同じことをやっているのですが、これを熱烈に支持する層がいるからこそ彼ら・彼女らはやるわけですね。
その層とは他ならぬ「朝日新聞を熱烈に批判する人たち」の事です。(ネトウヨなどとも最近は言われるそうです)
その証拠に先ほど挙げたような自称保守系論壇人は朝日新聞を「偏向報道だ」と批判することを日課としています。
よく聞いてみてください。
彼ら・彼女らは日本人を思考停止させる悪党です。
話を聞くだけ無駄でしょう。
■我々の身を正す一冊の書
「朝日新聞は左翼だ」「朝日新聞は偏向報道だ」と言っている人たちの危うさとは何か?
それを書いてきました。
キーワードは「思考停止」ですね。
ですから、国を売ろうとしている安倍総理を無批判に支持するし、中国や韓国を叩けば保守だと思っている中身のない人間を支持できてしまうのです。
片方が悪いからといってもう片方が良いわけではないのですが、それを地でやってしまっているのがアンチ朝日新聞の人たちです。
なんか偉そうに書いておりますが実はかくいう私がこの手の自称保守系論壇人に一時誘導されていました。
(自戒も含めてこれを書いてます。)
具体的には、「朝日新聞は左翼」くらいの認識を持っていた頃がありました。
しかしながら、ある一冊の本をきっかけにこれを煽ってる奴らほどデタラメではないかと気づけたのです。
ですので、もし「朝日新聞が左翼」程度の認識を持ってしまっているのであればぜひ私を感化した一冊を読んでみていただければ幸いです。
その一冊とはウォルター・リップマンの『世論』です。
ジャーナリズムに関する名作中の名作ですので読んでおいて損はないと思います。
リップマンはジャーナリストの走りとも言われる人物で「世論」という言葉を一般的なものとした人物として有名です。
大学でその方面を専攻する人で知らない人はいないほど。
彼は、「世論」というものの正体を語りながらあることを伝えていました。
「思考停止」の危険性です。
例えば、この著書では、人間がある情報を接する時の状況を以下のように述べます。
そこで問題となるのは、ステレオタイプの性格と、それを使いこなすわれわれの融通のきかない馬鹿正直さである。結局、こうした問題はわれわれの持っている規範に従って体系化されていると想定しているならば、たぶんわれわれは何が起こっているかを報告する時に、そのような規範によって動かされている一つの世界を語ることになるであろう。
『世論』ウォルター・リップマン(1987)岩波文庫 p124
我々はとてつもなく大きなステレオタイプに縛られているとリップマンは述べています。
そして、それを自覚しない人ほど思考停止の度合いが強いと彼は述べているのです。
一例が「朝日新聞が偏向報道メディア」と思考停止する人たちなのですね。
自分たちがステレオタイプから解放されていると勘違いをしているのです。
彼の著書の詳細はぜひ追って読んでいただきたいところです。少し冷静になれるかもしれません。
大衆の感情が必要としているのは、現在展開され公にされている政策が、もともとからある感情に、論理的には無理としても類推と連想によって、結びつけられることだけである。
『世論』ウォルター・リップマン(1987)岩波文庫 p78
以上お読みいただきましてありがとうございました。