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ディビッド・ヒューム『人性論』に描かれる思想について

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本日は久々に著名な思想家のご紹介をしたいと思います。

 

ご紹介するのはタイトルにもありますが、デイビッド・ヒュームです。

18世紀を代表するイギリスの著名な思想家です。

 

彼自体は、思想に興味のある方でなければご存知ないかもしれませんが、後代の多くの思想家に影響を与えました。例えば、エマニュエル・カントやエドムンド・フッサールなど世界的な思想家が数多くヒュームの影響を受けています。

 

そこで、今日はヒュームの代表作でもある『人性論』を扱いながら思想について本日はご紹介したいと思います。

デイビッド・ヒュームの思想

私は専門家でもなんでもないので、難癖をつける前提で読んでいただいても構いません。

まず、私の考えるデイビッド・ヒュームの偉大さについてですが、端的に述べますと2点あります。

 

まず1点目ですが、「人間とは何か」を徹底的に考えるという哲学のある種「原点」を突き詰めた所です。

続いて2点目は、そこから見える人間の本姓から「国家とはどうあるべきか」や「そもそもなぜ国家は生まれたのか」を考えたところも偉大です。

 

ヒュームの描く「人間とは何か」

さて、順番にヒュームの思想を見ていきましょう。

ヒュームは「人間」をどのようなものだと考えたのか。

 

これについてはもちろん一口には言えないのですが、ヒュームによれば人間の「基礎」にあるものはこれだというものがあるようです。

 

それは「経験」と「観察」です。

ところで、人間の学がほかの諸学問にとっての唯一のしっかりした基礎であるのと同様に、この人間の学自体に対して与えうる唯一のしっかりした基礎は、経験と観察とに置かれなければならない。

『人性論』デイビッド・ヒューム(2010)中公クラシックス p 421

ヒュームは「イギリス経験論」を代表するという風にネットでは紹介されていますが、ヒュームが何よりも「経験」と「観察」を人間存在を考える上で外せないものだと考えたからにほかならないのです。

 

さて、その「経験」と「観察」が大事なのはわかったとしてヒュームは経験と観察から何が見えてきたのかがきになるところでしょう。

 

一般的な読み方として『人性論』自体はヒュームが経験と観察を重要視しているというのがわかるだけで長々と因果論を書いているだけというイメージを持たれがちです。それゆえに読んでいてピンと来ないし、経験や観察が大切なのは当たり前でしょという感想で終わってしまうことが非常に多いのです。

 

しかしながら、『人性論』自体はよくよく読んでいくとヒュームが観察を通して考えた人間がどういったものかについてある一定の答えを出しています。

 

ヒュームは人間自体を「性悪説」に捉えていました。

わかりやすく言いますと、人間自体は自然状態では相互に「何か悪いことをされるのではないか」と疑心暗鬼になってしまうということですね。

ヒュームがホッブズから影響を受けていたというのはこの辺りから見て取れます。(ホッブズもそうでしたからね)

 

テキストを少しだけご紹介します。

『人性論』の書籍に付録でついている『原始契約について』という作品があります。

この作品でヒュームが性悪説的に人間を見ていることがわかりやすいため少しご紹介します。

もしあなたが、政治上の人間関係はすべて自発的な同意、ないしはある種の相互契約に基づいていると説こうものなら、世界中のほとんどのところで、為政者はすぐさまあなたを扇動的だとし、服従義務を危うくする者だとして投獄するだろう。

『原始契約について』デイビッド・ヒューム(2010)中公クラシックス Kindle 3102

人間は何一つとして自発的に同意や契約をすることなどないということをここで述べています。背景には相互不信があるというのがヒュームの考えです。

 

この人間の本姓についての思想を踏まえて、ヒュームは「どのようにして他者との関わりを我々は作っていくのか」を展開するのです。それがヒュームの国家論です。

 

ヒュームの描く「国家とは何か」

ヒュームにとって国家は人間の原初的な相互不信を埋めるものとして誕生します。

言い換えれば裏切りを処罰できる制裁機構が必要だという発想から国家は生まれてくるし、それが国家の存在理由の最大のものだと彼は考えています。

 

こういう形で生まれてきた国家が日常的に何をするかというと「監視」です。

常に実力行使をし続けるというのは無理ですし、非効率的です。

それゆえに監視により権勢を常に行うことにより円滑な社会運営を行うということです。

 

 

この絶え間ざる監視を行うというのはまさに「保守思想」の根幹とも言えるもので、デイビッド・ヒュームが何故近代保守主義を代表する思想家なのかはここで合点が行くことでしょう。

 

この考えはいたるところに応用されます。

例えば国家の運営主体自体にも「監視」を入れるべきという発想が生まれてきます。

つまり、ヒュームは国家をコントロールする権力主体にも不信の目を向けるわけです。

これがいわゆる「立憲主義」というものです。

 

他にも「外交」においてもそういった発想を取り入れます。

ヒュームが「経済ナショナリスト」と呼ばれる所以でもあるのですが、ヒュームは交易に依存しすぎず食料を筆頭に自国で生産諸力を高める必要性を訴えていました。

 

何が起きるかわからない、外国が信頼し続けられるという保証はないという考えからきているものですね。

経済についてのヒュームの思想は『市民の国について』という書籍を併せて参照していただくことをお勧めいたします。

 

以上、ヒュームの『人性論』を弾きながらヒューム思想の概要を書いてきました。

私自身、この書籍は読みにくいという印象を持ち続けていましたが、ヒュームがどうしてこの書籍を出したのかというのを俯瞰的に考えていった時に全てが一つにつながってきます。

 

ぜひお手にとって見て貰えると幸いです。

 

 

 

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