経済

あまりに単純すぎるデフレ脱却が無理な理由③

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前回前々回となぜ20年近くもデフレ脱却を叫びながらデフレ脱却できないのかということを安倍政権を例に書いてきました。

安倍政権を例にすると個人的な感情が入り混じっていると思われるのですが、安倍政権は歴代の政権において最も労働者の購買力を落とした(賃金デフレ)政権だから例にする意義があるのです。

 

確かに株価も求人倍率も好転したかもしれないですが、労働者の購買力という観点から見た場合安倍政権は最悪なのです。

要因については「たまたま」ではありません。

誤った「租税政策」と「労働法制」を安倍政権が行ったからだとと1回目2回目と指摘しました。

 

 

3回目の今日は誤った「交易政策」をあげさせていただきます。

 

安倍政権の考える交易政策はデフレ脱却のアシストするものなのです。

 

デフレ脱却をする気がない安倍政権

TPP断固反対だったのはつい5年前

民主党が政権を担当していた5年ほど前「聖域なき関税撤廃が原則のTPP参加断固反対」や「TPPはアメリカのためにあるもの、国を売らないで欲しい!」と所属員が言っていた政党があります。

 

それはもちろん今の政権与党である自由民主党です。

 

 

さて、その自由民主党ですが人が総入れ替わりをしたのかわからないのですが、今TPP発効に向けて交渉がまとまったことを「外交的成果」として掲げています。

本当に同じ政党だったのかと驚くばかりです。

https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-tsusyo20180309j-07-w590

 

ところで、なぜ今私がこの話をするのかと不思議に思われるかもしれません。

嘘つきであるというところも問題なのですが、TPPが「デフレ脱却」を標榜する安倍政権の方向性とは逆行するものだからです。

 

TPPは加盟国間での交易をより加速させようという試みなのはご存知の方も多いでしょう。

スーパーで安い食品が買えるのでいいんじゃないかと思っている人も多いことでしょう。

 

ただ交易制度の変更は常にリスクがつきまといます。

特にTPPはいずれの項目においても関税をゼロに近づけようという取り決めのため関係国同士の競争をより過激にするものでもあるのです。

 

「底辺の競争」という今では辞書にも出てくる言葉があるのですが、TPPとはまさにこれを強化するものであり安倍政権のスローガンだった「デフレ脱却」をより無理なものにするのです。内需拡大を示す賃金指数のデフレを加速させます。

底辺への競争(ていへんへのきょうそう、Race to the bottom)とは、国家が外国企業の誘致や産業育成のため、減税、労働基準・環境基準の緩和などを競うことで、労働環境や自然環境社会福祉などが最低水準へと向かうこと。自由貿易グローバリゼーションの問題点として指摘されている。

『底辺への競争』Weblio辞書

https://www.weblio.jp/content/%E5%BA%95%E8%BE%BA%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%AB%B6%E4%BA%89

底辺の競争とは平たく言えば、資本が国境を超えやすくなった今日において企業が「より安く」を追求し、「より安く」生産できる場所へと拠点を移動させようとするのです。

 

ただ、人間は簡単に国境を飛び越えられないため底辺の競争が始まる過程では多くの労働者が職を失ったり賃金を落としたりしてしまうのです。

 

TPPだけではない安倍政権の賃金デフレ促進政策

実は、TPPだけではありません。

 

日本に関して言うと安倍政権は「底辺の競争」政策を一貫して推し進めてきました。

例えば通貨の切り下げが典型的な例です。(異次元の金融緩和)

 

*平成27年のp8をご覧ください。

このグラフにおいて安倍政権以降「実質賃金の大幅な下落」が見られます。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/27/27p/dl/sankou27p.pdf

 

この実質賃金の下落については常々「新規雇用増大により一時的な低下」という主張がいわゆるアベノミクス支持者からは出るのですが完全な嘘です。

 

もしそれであれば「名目賃金」と連動していなければおかしいという話でご納得いただけるでしょうか。

 

「実質賃金」の指数だけが急激に下落しているということは「名目賃金」の指数ではなく、「物価」の方が「何らかの影響で」大きく動いているという解釈でなければおかしいのです。

 

その「何らかの影響で」が通貨の切り下げをもたらした金融緩和による円安誘導なのです。2014年と2015年のへこみ具合と円安の進み具合が非常に相関しています。

 

詳細は最新の勤労統計調査のp4でも確認可能です。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/30/3007r/dl/pdf3007r.pdf

通貨レートについては下記をご覧ください。

http://ecodb.net/exchange/usd_jpy.html

 

このグラフを見比べれば明快なのですが、通貨を切り下げることで実質的な国民の購買力を奪っているのは紛れもなく安倍政権です。

「デフレ脱却」どころかデフレ固定化の真犯人が安倍政権です。

 

 

*私が平成27年の勤労統計調査を使ってここで書いている理由は平成30年のものだと民主党時代の推移が切り落とされているからです。2014年がグラフの左軸から始まるため安倍政権を相対的に良いかどうか評価することが難しくなるためです。

 

「菅直人は売国奴」と言っていた人はどこへ〜デフレ脱却が無理な根本的原因〜

ところで、嘘をつく稲田朋美氏、安倍晋三氏などはもちろんひどいんですが、「菅直人は売国奴」と叫びながら安倍政権を支持している層がいます。これは一体なんなのでしょうか。

 

結局のところ我々の社会が嘘つきを野放しにしているということの表れなんでしょう。

デフレ脱却がここまで無理筋なのは我々にも大きな責任があり、自業自得なのだと言わざるをえないのです。

 

日本人はとにかく反省をしません。

特に今あげた「菅直人は売国奴、だが安倍さんや茂木さんはTPPをまとめるためによく頑張っている」という支離滅裂な人たちはその典型です。もう論理では理解するのは極めて困難です。

 

あえて言えば民主党より安倍さんの交渉力の方が上だから一口にTPPと言っても結果は違うはずだという言い回しなのかもしれません。

 

しかし、そんな人も自民党の交渉でどれほどの農業をはじめとする関税を守れたか是非調べてください。

お調べいただくとわかりますが、今回発行予定のTPPは即時ゼロや数年後をめどに0というのが非常に多いです。

 

 

さらにそもそもでいえば、安倍首相は最近のトランプとの会談でも明らかにしていますが、国益<自由貿易という謎の不等式を持っています。

https://www.sankei.com/politics/news/180926/plt1809260005-n1.html

 

とにかく国を開くことが大事だと豪語しているのが安倍さんの基本スタンスで、世界のために自国の犠牲など多少とも厭わないくらいのスタンスです。(これって鳩山さんと似ているところがある。)

 

菅さんの話に戻しますと、お忘れの方も多いようですが、改めて言っておきたいのはこのTPPというものは演説を始めれば「売国奴」とヤジが飛ぶあの菅元総理が発起人です。

 

 

彼も「平成の開国」というスローガンまで掲げ政策の目玉にしていましたからね。

下記の二つの記事を読み比べてください。

考え方が「クリソツ」ですよこの二人は。(安倍首相の方の記事はTPPがタイトルキーワードではないですが、こちら念頭に置いて話していると思われます。)

 

『今の安倍総理は当時の菅元総理と何か言っていることが違うでしょうか。TPP「協議開始」を表明、「平成の開国」めざす=菅首相』 ロイター2010年11月13日

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-18158620101113

 

『安倍晋三首相が国連総会で演説 自由貿易体制強化と北東アジアの戦後構造除去へ決意』産経デジタル 2018年9月26日

https://www.sankei.com/politics/news/180926/plt1809260006-n1.html

 

 

菅直人元首相を「売国奴だ」と当時言っていた方々は今もう一度当時彼が何を言っていたかと安倍首相が今言っていることを見比べてください。

 

国民の生活と引き換えに目指される「国際競争力の強化」

昨今「国際競争力の強化」という言葉がグローバル化に乗り遅れた日本企業を叱咤するキーワードとしてよく使用されます。

 

何かこのような言葉は「無批判に受け入れなくてはいけない雰囲気」を持っています。

 

しかしそれはまやかしでしょう。

 

 

大前研一さんや竹中平蔵さんなどはこの言葉を使用する方の典型ですが、彼らは日本企業が国際社会でガンガン勝てるように日本の労働者の賃金をガンガン下げることを促す発言やリストラを推奨する立場をとります。

 

そうしなければ世界で勝てる企業は作れないと言っていることはご存知でしょう。

 

日本企業は長らく国際的にも利益率が低いと言われ続けてきました。今も相対的に低いです。

一方でアメリカの有名企業の利益率はすさまじいです。

 

 

では、アメリカの企業の方が国民にとっていい企業なのでしょうか。

これはあくまで私の考えですが、そうとは思いません。

 

アメリカは利益がたくさん出るということは効率がいいというのもあるのですが、従業員より株主をより重視する会社が多いということです。日本は、効率が悪いところもあるかもしれませんが、労働分配率がアメリカよりも高く会社はまずはそこで働く従業員のためにあるという考えが根強いのです。(そうでないところもありますが)

 

あなたが資本家や上位2−30%をしめる大企業の労働者であればアベノミクスは「最高」かもしれませんが、多くの人にとってそれほど喜べるものではないはずです。

 

デフレ脱却は永遠に無理かもしれませんね。

 

*今回記事を書く際に参考にした著書を下記に挙げておきました。ブランコミラノビッチ氏はグローバル化で得をする層と損をする層を国家内と国家間で検証する面白い研究をされています。

管理人は読書会を定期的に大阪とオンラインにて開催しております。
本ブログにて紹介した本などに興味のある方は下記のリンク先を見てみてください。 (バグで重複して表示されており不恰好で恐縮ですが、、)

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