*今日は蛇足コラムを少々書きます。興味があれば読んでください。たぶん結構くだらないですね。
私読書会などをしていることもあり一応自称読書が趣味なのですが、よく聞かれる質問があります。
「一ヶ月に何冊本を読むんですか?」ですね。
これすごく聞かれます。
その時の私の回答は「だいたい月に多くて4−5冊かな」という回答なのですがそうすると少し訝しげな顔をされ次のような言葉をもらいます。
「1日一冊くらい読んでいると思っていました」と。
こうして私はなんか期待に添えない回答をしてしまった感をいつも感じるわけです。
さてネット上を回覧したところどうやら読書家を名乗るには1日一冊は読んだり10分で一冊読むくらいは必要のようです。
ということは私は世で言うところの読書家ではないことになるのです。
ただ、本を何冊読めば読書家なのかという論争はすごくいけ好かないというのが私の率直な気持ちです。
負け惜しみと言われればそれまでですが。
そこで、「本を月に何冊読めば読書家なのか」という疑問をお持ちの方向けに私にとってなぜその疑問がいけ好かないのかを書きます。そして、逆にどういう読書がいいのかまで最後にちょろりと書きます。
月に読んだ本の数を問う無意味さ
早速ですが「月にお前は本を何冊読むんだ?」という質問に私が難癖をつけたい理由から書きます。
結論から言ってしまいますと「本を読んだ量を競う」というのは根本的に読書体験自体に関心を持った質問ではないからと私は見ています。
「俺の方がたくさん読んでるぜ」とマウントを取りたいのか、「そもそも聞いては見たものの読書自体に関心がない」という無関心なのか「何冊読めば読書家になれる」という定義付けがないと行動できないのかわかりませんがまあいずれにせよこの質問は読書自体に関心が高いと思える質問ではありません。
と言いますのも読んだ量というところにこだわるのは「何を読んだか」という原点に立ち返るならばちゃんちゃらおかしいんです。
「何冊本を読むか」などと相手の話す内容が知りたい時に尋ねる人などおりますまい。
打って変わって、誰の本が好きなのかやどういう著作が好きなのかを尋ねるのは読書体験に関心を持っているという意味で「月に何冊本を読んでいるのか」よりはるかに意味のある問いでありましょう。
読んだ量について議論することは誤解を恐れずに言えば無意味でありましょう。
競うなら珠玉の一冊がいかに偉大かを語り合うべき
そういった流れの中で私が言いたいのは「何冊本を読んだか」という質問は問う側も問われる側もまともに取り合うのをやめ「あなたの珠玉の一冊は何か」と聞きあうのが良いのではないでしょうか。
そうすると随分と楽しい会話ができましょう。
もし仮にあなたが相手に対してどうしてもマウントを取りたいのだとしても「読んだ本の量」を競うというのは格好が悪いのである珠玉の一冊がどれほど偉大かを語ることに切り替えてみてください。
あえて「量」に観点をおくとしてもどちらかというと「ある一冊の本」を何回読んだのかと問う方が良いでしょう。
カラマーゾフだかファウストだかなんでも良いですが、あなたがそれを20回読みましたとかそういった方がよっぽど相手はビビりますよ。
*ヴィトゲンシュタインは『カラマーゾフの兄弟』を30回だか読んだそうで、新渡戸稲造も『ファウスト』を20回読んだとか言われてます。もうそれだけでヤバい感じでてるでしょう笑
こんな偉そうなことを書いている私ではありますがもちろんこの域に達したことはありません笑
ただ、一冊を酢昆布のように嚙みしめるという読書姿勢はすごく共感しています。
本を何冊読んだとかそういうのがどうでもよくなるような一冊があるというのはうなずけます。
その本に出会うとビジネス書10000万冊を優に凌ぐ価値があるのです。
10分で読める本に価値はない
そういう意味で、10分で読める「一冊」を積み上げる活動に意味はありません。
ゴミの山が出来上がるだけです。
「10分で読める」ってそもそも読者自体をなめているというかタイトルと目次で内容がわかる本は「本」というに値しないでしょう。読んだ本の量を意識するうちはヴィトゲンシュタインや新渡戸稲造のような域には達することは非常に困難です。
珠玉の一冊をまずは見つけることに注力しましょう。
その足掛かりと言ってはなんですが、参考までに、下記にリンクを一つ添付します。
ここにある本の中で好きなものを一冊読んでみてください。
http://www.acrographia.net/notes/google%20best%20100%20books.pdf
このサイトはグーグルがアルゴリズムを用いてウェブ上にある論文の中で引用された回数が多い本を自動で順番に並べているサイトです。
つまり、ここに出てくるすべての本が多くの人にてに取られ繰り返し繰り返し読まれてきた名著中の名著なのです。
「間違いない本」と言って良いでしょう。
もちろん残念ながら10分では読めません。
おそらくここにあるすべての本が一冊読むのに1週間〜1ヶ月はかかることでしょう。
量を競っている人が見向きもしない本です。
しかし、世界で長きにわたり繰り返し読まれてきた本であり、読み終えた頃には「何冊読んだか」などという問いが随分と陳腐に感じられることでしょう。
これからの読書体験が良いものとなることを祈念します。