フォローする

8月8日より著書を書店にて発売中

読書会

【番外】読書会開催総括@梅田

更新日:

本日は梅田で読書会を始めてちょうど1年ほどが経過した日となりました。

課題図書を古典に絞って一貫してやらせてきてもらいました。

 

今日はその総括を少しだけ書かせていただきます。いつも書いている記事はおやすみです。

興味がある方はぜひネットでもやっているので一度きていただければと思います。

 

■読書会の意義

まず、通算2年半ほど東京と大阪梅、スカイプとでやっているわけですが、読書会の意義について改めてこの機会に考えてみました。

これは、一言で言うのはなかなか難しいものですが、あえて一言で言うならば最も手軽に今や失われてしまった公的領域を創設できることだと考えています。

 

この意義は極めて重要であるにもかかわらずもはや失われてしまっているが故に見えなくなってしまっているところに恐ろしささえ最近私は感じています。

 

なぜ公的領域が消滅したのかというと、それは資本主義と関係があります。

 

近代以降、資本主義は激しい競争を人々に強いた結果、あらゆる共同体は「資本をいかに蓄積できるか」を優先するようになりました。つまり、人と人の関係性が資本をいかに蓄積するかという利害で単一化されたのです。

 

このことを最初に発見したのはマルクスだと言われています。

資本とは何か。

「蓄積され貯蔵された一定量の労働である。」

『経済学・哲学草稿』カール・マルクス(2010)光文社

マルクスの言葉を敷衍すれば、資本主義の世界では、人間は資本を肥大化させることを主目的として労働をすることに多くの部分を費やされざるをえなくなるということです。

 

 

共同体もそれに適合するように洗練されていきました。アーレントは『人間の条件』の中で以下のように述べています。

いいかえると、近代の共同体はすべて、たちまちのうちに、生命を維持するのに必要な唯一の活動力である労働を中心とするようになったのである。・・・だから社会とは、ただ生命の維持のためにのみ存在する相互依存の事実が公的な重要性を帯び、ただ生存にのみ結びついた活動力が公的領域に現れるのを許されている形式に他ならない。

『人間の条件』ハンナ・アーレント(1994)ちくま学芸文庫p71

世界が「労働をするため」だけに加工されていった結果、それ以外の活動の余地がどんどん薄まっていっているということをアーレントは指摘しているのです。

 

 

少し話がそれましたが、今回のテーマと関係ある話です。

こうした難題への解決策を読書会は持っているということが私の述べたいことになります。

つまり、読書会の意義とは資本主義社会が破壊し尽くした「労働を主目的とする共同体」ではない、それ以外の形で世界を作り出せるところなのです。

なお「それ以外の形で成り立つ場」について私なりにもう少し補足しますと「言論活動の場」を意図しています。

 

言論を行える場所は資本の蓄積をする事はもちろんできませんが、人間自体を人間たらしめるにあたり紛れもなく必要な場所です。

言論と活動は、このユニークな差異性を明らかにする。そして、人間は、言論と活動を通じて、単に互いに「異なるもの」という次元を超えて抜きん出ようとする。つまり言論と活動は、人間が、物理的な対象としてではなく、人間として、相互に現れる様式である。この現れは、単なる肉体的存在と違い、人間が言論と活動によって示す創始にかかっている。しかも、人間である以上止めることができないのが、この創始であり、人間を人間たらしめるのもこの創始である。こういうことは、<活動的生活>の他の活動力についてはいえない。たとえば、人間は、別に労働しなくても十分生きていける。自分の代わりに他人に労働を強制できるからである。

『人間の条件』ハンナ・アーレント(1994)ちくま学芸文庫p287

言論活動自体を純粋に目的とする場は今ほぼほぼありませんが、その世界の危機を救う可能性を読書会は大いに可能性を持っているのです。(なんか大げさですが)

 

目次にもどる

■読書会が楽しいものとなるために必要なこと

この現代に失われつつある公的領域の再生を読書会が担えるのではないかというのが私のここまで述べてきた読書会の意義ですが、それをより意義深くするには必要なことについてここでは書かせていただけたらと思います。

 

それはやはり課題本の選定ですね。これが楽しいものかどうかを決めるのに結構大事です。

具体的には、課題本から複数の思考や複数の答えが出てきうるようなものがとても良い課題本であると開催をしながら感じました。

 

これこそが読書会の意義を最大化するとともに平たく言えば読書会をより楽しいものにしてくれるという感覚も増大させてくれます。

例えば、下記のようなことを書いている本はつまらない読書会になってしまう可能性があります。

  • 金持ちになるための方法
  • 大金持ちになる人がやっていること
  • 不労所得を稼いで早いところ引退する方法

理由はいうまでもなく、功利主義のカテゴリーのうちで議論することを前提としているからです。

例えば、上のような本の課題本で読書会をやったとして私が「金持ちになる必要とかある?」「不労所得得てアーリーリタイアして人生そんな豊かに見えるの?」などと言えば「空気の読めない人間」認定を受けます。(実際そう認定されました笑)

 

そもそも功利主義的カテゴリーが行き過ぎることが資本主義の問題なのにそれを公的領域である読書会に持ち込むとは公的領域を自ら破壊する自殺行為とさえ言えます。

だから、つまらないなあと思ってしまう可能性が否定できません。

 

そういった意味で多様な利害、多様な考え方の人が集まって答えの予測できないような形で行われる読書会が重要であり、その一助となる課題本の選定というのはとても重要だと思うのです。

 

目次にもどる

■読書会の今後について

今は読書会を梅田とスカイプでやっているわけですが、今後もしばらくは現在の形を維持しながらできればネットでの開催を強化していきたいなと思います。

 

やはり梅田だけでなく日本全国にいる方と言論をできるというのはとても意義深いもので、より広くより多くの人と関わりを持っていけるよう努めていきたいと思います。

 

 

また、書籍の値段がある程度高くても来てもらえるような集客力をつけたいなと思います。

やはり一冊五千円くらいする本などでもやりたいのですが、来てくれる人が圧倒的に減るということもあり、ここに自分の力の至らなさを感じる次第です。

 

 

今後ともさらに提供レベルを上げていければと思いますので、ご興味ありましたらお気軽にブログにあるリンクから申し込んでみてください。特に専門知識などは不要です。

今後ともよろしくお願いいたします。

目次にもどる

 

-読書会

Copyright© 悲痛社 , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.