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仕事について

今話題のギグエコノミーとは何か〜貧困製造機でしかない理由〜

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今政府の未来投資会議でも繰り返し使用されているバズワードがあります。

それは「ギグエコノミー」と呼ばれるものです。

 

政府は「多様な働き方」「自由な働き方」といった具合にこれまで組織に縛られて生きることが普通だった時代と決別することを願って「ギグエコノミー」には期待しているようです。

 

本日は、このギグエコノミーがなんなのかをご紹介したいと思います。

端的に言えばただの貧困製造機だと言えます。

ギグエコノミーとは

まずギグエコノミーとは何かについて簡単にですが、ご紹介したいと思います。

 

一言で言えば、「インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のこと」を指します。

https://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo240.html

 

具体的な例としては、AirbnbやUBERを筆頭に日本だとクラウドソーシングと呼ばれるものもギグエコノミーに分類されるでしょう。

また、一説ではアムウェイのようなネットワークビジネスもギグエコノミーの一つとされています。

 

 

ポイントは「労働者」ではないというところと、複数人を取りまとめるような「経営者」とも異なり、個人事業主という点です。

このギグエコノミーに大きな期待を多くの人が抱いているとされています。

 

例えば、政府は未来投資会議の下記の資料においてギグエコノミーの拡大をする必要性を述べています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai35/siryou1.pdf

 

もちろん政府だけでなく、多くのビジネスパーソンが「組織があてにならない」「組織に尽くしても報われない」といったような背景から期待していることでしょう。

書店に行っても「1人で稼ぐ」とか「独立する方法」とか「フリーエージェント社会」とかそういった本が多数ありますし、なおかつ非常に売れ行きもいいとされています。

 

 

ギグエコノミーの危険性

さて、この「大きな可能性を秘めている」とされているギグエコノミーですが、極めて危険なものであると私は考えています。

 

その理由はタイトルにもある通り貧困の温床でしかないからです。

海外ではすでにこのギグエコノミーが貧困の温床であるということがどんどん明らかになっています。

 

日本も例外ではありません。

まだUBERなどの全面解禁にはなっていませんが、最近街角でもよく見かけるようになったUBER EATSなどは大きな問題があると国会でも指摘されています。

 

例えば、UBER EATSは運送業に当たるわけですがこの配送過程で怪我や事故を起こしたとしましょう。

労働者であれば、労災認定が受けられたり、怪我などにより就業困難になった場合ある一定期間の所得補償があったりします。

 

しかし、UBER EATSはあくまで労働者ではなく、個人事業主のためそういった補償が一切ありません。

またこれは共産党の議員が国会でも取り上げていますが、「最低賃金」などのあまりに基本的な権利すらも認められていない状態だと言われています。

 

要するに、ギグエコノミーとは今話題のコンビニフランチャイズオーナーなどに同じく、「定額働かせ放題」「基本的権利すら認めない労働者」なのです。

 

また、ギグエコノミーについて、本格的に展開が始まっている欧米などではもっと悲惨な状況が拡散していると言われています。

下記の書籍は著者が自らUBERのドライバーなどになることでそこであったことを記した著書なのですが、なかなか内容は衝撃的です。

 

例えば、UBERにおいてはドライバーに裁量がなさすぎると指摘しています。

それは乗らなければいけない車のサイズはもちろんある時間にある指定の場所に行くといったようなことをかなりタイトなスケジュールで組まれるといったようなことが書かれています。

 

この著書の中では、ギグエコノミーは金融危機以降ヨーロッパで解放された結果100万人ほどの個人事業主を生み出したと書かれているのですが、そのほとんどが明日生きることすら危うかったり、病気になった時に人生が詰んでしまうような状況にあると述べられています。

 

詳細は著書に預けるとして、ここで押さえるべきは今の「新しい搾取」のスタイルは「名ばかり経営者」「名ばかり個人事業主」という形で搾取するというものなのです。

コンビニオーナーが営業時間や価格設定も決められないのと同様に、UBERなども同じようなシステムなのです。

 

ギグエコノミーは貧困製造機を読み替えたものだと言える理由

さて、最後に「ギグエコノミー」にそれでも期待するという人にいっておきたいことがあります。

「自由な働き方」と叫ばれ、それに飛びついた人がひどい目にあったというのはここ数十年だけでも例は複数あるということです。

 

それはある時はフリーター、ある時は派遣労働者、そして今は個人事業主なのです。

 

いずれもが「自由な働き方」「煩わしいしがらみのない素晴らしい働き方」と財界による喧伝がなされてきました。

しかし、これらのいずれもが今や「貧困」の温床になっているのです。

 

ごく少ない成功例はあることでしょう。

しかしながら、そういったものでは覆い隠せないほどに悲惨な状況を、「自由な働き方」というスローガンは生み出すのです。

 

ある程度使い古されその正体がバレてくれば、新たなスローガンが生み出されるというだけの話で、今はそれが「ギグエコノミー」なのです。

 

「労働者」として生きることが最善とも思いませんし、そう生きることが辛い人もいるでしょう。

しかし、そういった追い込まれた人に財界が「えさ」としてぶら下げているのはさらに我々の境遇をひどいものとするのがほとんどなのです。

 

そういった意味では、財界の人間が推し進めようとするものは労働者の利益とは相反するものであるくらいに構えておくのが賢明です。

冒頭に挙げた未来投資会議なんかも竹中平蔵氏を筆頭に財界の意見を代弁する人間ばかりで、労働者の立場を代表する人などいません。

 

そんなところから全国民の占める割合が最も多い労働者にいいものが生まれてくることなどあり得ないでしょう。

 

今の搾取をしようとする人は蟹工船で描かれたような暴力的で強面なおっさんではありません。

 

Yシャツにジーンズを纏い我々の生き方をアシストしたいと笑顔で微笑んでくる人間たちなのです。

 

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