今巷で改めて問題になっているニュースがあります。
沖縄にある米軍基地の移設問題です。
なんと翁長知事が辺野古への埋め立て承認を撤回したというものです。
https://mainichi.jp/articles/20180727/k00/00e/010/249000c
このニュースが出るやいなや予想通りの行動を取っているのがネトウヨたちです
翁長知事が「反日活動家」、「中国共産党のスパイ」と騒いでおります。
実は私このニュースに関して、自分が沖縄県民でないこともあり当事者意識が低い状態でした。(よくないんですが)
ネトウヨの言説(翁長知事は反日工作員など)にはもちろん賛同してませんでしたが、なぜここまで反対しているのだろうくらいにも見ていたものです。
ただ、いろいろと調べていくとわかったことがあります。(自分はとてもバカだったなと思う限りです)
翁長知事が普天間基地の辺野古への移設承認を撤回するというのは少なくとも現時点では正しいということです。
将来的な辺野古移設はありにせよ現時点で辺野古への移設はメリットがほぼないというかデメリットしかない可能性もあるのです。
今日は自分なりにこの沖縄の基地移設問題について調べてみて見えたことを書かせていただきます。
■辺野古埋め立て地への移設が決まった背景
そもそもなのですが、普天間基地から辺野古埋め立て地になぜ移設するという議論が始まったかについて確認していきます。
コトバンクで「辺野古」と調べるとわかりやすい説明が出てきますので、その一部を抜粋いたします。
辺野古(沖縄県名護市)は、日米両政府が合意した普天間飛行場代替施設の建設予定地。普天間飛行場(宜野湾市)は米軍海兵隊の基地で、アメリカの極東・中東戦略の重要拠点となっている。しかし、住宅密集地にあるため、沖縄県内では基地閉鎖・移設を求める声が起こっていた。1996年3月、日米両政府は代替施設の県内建設を条件として、5~7年内に普天間飛行場を返還することで合意。その移設先として挙げられたのが、名護市辺野古のキャンプ・シュワブである。https://kotobank.jp/word/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4-129984#E7.9F.A5.E6.81.B5.E8.94.B5
どうやら今から二十年ほども前にすでに普天間基地の辺野古への移転が日米共同で合意されていたようです。
合意の背景としては普天間基地が住宅密集地にあるために危険だというのがやはり最大のものだったようです。
そして騒音トラブルや安全に関する問題も少ない辺野古へ移動しようということを日米で合意したらしいです。
この辺りは確かにニュースでも繰り返し報道されていました。
政府は沖縄県民の安全を考えて普天間基地の辺野古移設を合意したということです。
■辺野古移設を現時点でする理由が皆無
ここまでの説明だけを読むとこう思う方が多いでしょう。
それならばなぜ翁長知事は沖縄県民にとっていいはずの辺野古移設を反対するのか。
ただ、この前提を疑う必要があるというのが私の主張の核心です。
ところで、例にもれずこの疑問に対してネトウヨの認知は次のように組み立てられていきました。
「中国共産党とつながっているとネットで言われてた→日本が嫌い→反日活動家→翁長は反日」
一時は沖縄独立運動などを近いうちに行い中国の傘下に入るつもりだみたいな話もわんさか湧いていました。
まあネトウヨだけならまだいいんですが、どこぞの国会議員もこのようなことを言っておりましてこんな荒唐無稽な話を本気で信じている人が今日では結構少なくないのが恐ろしい限りです。
個人的にこの論法はあまり好かないしデタラメだと思っていますが、まあ可能性はゼロではないのでここに関する批判は一旦本質からずれるので避けようと思います。
つまり、仮に10,000歩譲って「翁長知事が中国共産党のスパイで反日」だとしても私は辺野古移設を今進めるべきではないという主張を唱えるということです。
それはあまりに単純すぎる理由なのですが、辺野古に基地を作ったら普天間基地の土地における現在の諸問題が解決するということが嘘の可能性があるからです。
これはまさかのことでした。
当初私は普天間基地移設問題は基地移設反対派や基地移設容認派のそれぞれの利害が入り混じった問題のようにしか思えませんでした。
しかしながら、本件はそういうイデオロギー闘争以前の問題かもしれないという可能性が濃厚なのです。
沖縄タイムズが出した翁長知事の説明を一部引用しますのでそちらをまずはご覧ください。
米国防総省は航空機の安全な航行のため飛行場周辺の高さ制限を設定しているところ国立沖縄工業高等専門学校の校舎などの既存の建物等が辺野古新基地が完成した場合には高さ制限に抵触していることが判明したこと、米国会計検査院の報告で辺野古新基地が固定翼機には滑走路が短すぎると指摘され、当時の稲田防衛大臣が、辺野古新基地が完成しても民間施設の使用改善等について米側との協議が整わなければ普天間飛行場は返還されないと答弁したことにより、普天間飛行場返還のための辺野古新基地建設という埋立理由が成り立っていないことが明らかにされるなど、承認時には明らかにされていなかった事実が判明しました。
『翁長知事の記者会見、コメント全文 埋め立て承認撤回を表明』
沖縄タイムズ 2018年7月27日 10:55
翁長知事は辺野古移設承認の撤回を行った理由を記事では述べています。
この中では環境的な問題など一般的にも知られているものが多々ありますが注目すべきはそこではありません。
最も注目すべきは私が黒字下線を引いたところです。
稲田友美氏(当時の防衛大臣)が「辺野古が完成しても状況によって普天間がかえってくるかわからない」と言ってるのです。
ソース元が沖縄タイムズだからあてにならないとか言いだしそうな人間がいそうですが、「稲田氏が」述べたというところが重要です。
要するにアメリカと自民党は何も交渉がまとまってないと稲田氏は自ら言ってるのです。
翁長知事が勝手に言っているのではありません。
要するに、普天間から辺野古に移設すれば住民の負担も減るというなぜか広く信じられているストーリーは何の根拠もない紙芝居ということです。
稲田氏の話が事実という前提で見ていくと悲惨なストーリーが目に浮かびます。
仮に、今から辺野古に基地を作ったとして、普天間が結局帰ってこず当初よりも沖縄の負担が増えるだけというストーリーです。
このでかすぎるリスクだけを考えても現時点で普天間基地の辺野古移設は賛成できません。
これは中国共産党のスパイがどうのとか米軍を追い出すと安全保障がどうのとかそういう議論に移行する以前の話だとおわかりいただけるでしょう。
参考までにですが、下記が問題の稲田氏の答弁です。(2017年6月15日)
日米合意と辞書にもありましたが、何も合意してないやん。。。
という話です。
■ネトウヨこそ反日活動家
辺野古を移設しても普天間がそのままになる可能性すらあるという現状を鑑みると翁長氏がストップするのは極めて妥当な判断です。
手続き的に問題があるにせよ沖縄からすればメリットがなくデメリットだけがあるものに何が何でも反対しようとするのはあまりに当然ではないでしょうか。
これのどこが反日活動家なのでしょう。
沖縄は左翼が多いとかよくわからないこと言ってる代議士もいましたが、基地移設のメリットを改めて移設を進めようとする行政府は説明すべきでしょう。
デマを流して押し通そうとする姿は安保法案以来顕著ですが、この沖縄問題でも同じことがいえるのです。
この問題は上から目線で「安全保障のためだ仕方ないだろ」とか「中国の脅威があるのだからガタガタ言うな」みたいな都市部に在住の自称経営者みたいな輩がたくさん出てくるのですが彼らこそ反日活動家です。(あんまりこの言葉使いたくないですが)
なぜここまで反対するのかについては引き続き追いかけようと思いますが、彼らの言い分にも耳を傾けることが広く市民には求められているのではないでしょうか。