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時事

高プロが話題の働き方改革法案は何が問題か

更新日:

今日は時事ネタで一本書かせてもらいます。

 

最近話題の法案がいろいろあります。

水道事業民営化、カジノ関連法案、、、などなど自民党が重要法案と位置付ける法案がたくさん国会や委員会で審議されています。

 

さて、そのいろいろある法案の中でも「働き方改革関連法案」というものがあります。

これは他の法案にもまして我々の多くを占める労働者にとってすぐにでも影響があるという意味で非常に関心の高い方もられるのではないでしょうか。

 

 

しかし、いろいろと騒がれている中であまりこの法案についてご存じない方もいる気がするのです。なんとなく「働き方改革」と書いているしいいものなのかなといったお考えをお持ちの方もいることでしょう。

 

今日は、そういった方々向けに政府が「働き方改革関連法案」と呼ぶ法案の実際の姿について書かせていただきます。

 

結論から述べますと「働き方改革関連法案」とは天下の大悪法となる可能性が高い極めて危険な法案だと私は考えています。

 

■高プロで話題の「働き方改革関連法案」の問題点

さて、働き方改革関連法案の何が問題かを早速ですが書かせていただきます。

この法案の問題点はいくつもあるのですが核心部分はズバリ「高プロ」に関する記載のところにあります。

 

この「高プロ」制度とは何かというと法案の中で「高度プロフェッショナル人材」に該当する条件を定義し、その該当者を通常の労働法制からはずことを目的とするものです。

朝日新聞では下記のように高プロの説明があります。

 高プロは、年収1075万円以上の一部専門職を労働時間規制から外す制度。野党や過労死遺族は「過労死が増える」などと導入に反対している。

労基署ベテラン監督官すら高プロ懸念「手出しできない」朝日新聞デジタル 2018年6月15日

https://www.asahi.com/articles/ASL6G5K73L6GULFA01W.html

朝日が書いていることは私と書いていることがほぼ同じだと思います。

 

さて、なぜこのような労働時間規制から一部の人を外そうとするのか?

政府側の法案採決の意図としては下記のようなものがよく挙げられます。

  • 時間で図ることが適切でない職種がある
  • 柔軟な働き方を実現しイノベーションを起こす」
  • 成果で図る時代だ

他にもあるかもしれません。一見非常に耳障りがいい言葉ですね。

 

ただ、冷静に法案を吟味していけば労働者階級にとって不利なルールが増えただけであると考えてほぼ間違いありません。

 

 

少し高プロについて説明を書きながら問題点を指摘しましょう。

高プロには職種や年収要件があるのですが、それぞれを満たした場合例えば以下のようなことが可能になります。

  • 残業代ゼロでも合法
  • 通勤手当を年収の中に組み込むのもオーケー
  • 月に4日休みを与えれば連日24時間働かせても合法

恐ろしいと思いませんか?

 

今でさえ過労死や働きすぎといったことが話題となっているのに、高プロの法案が成立すればそういった労働者をさらに増やす可能性がありますし、さらに言えばそういったことが起きた時に事業主へ制裁を加えることすらできなくなることすら容易に予想できるのです。(上にある通り24時間働かせても合法なんですから)

過労死しても「過労死」という扱いにならないという展開が予想できますね。

 

 

ちなみに、この労働者にとってメリットが皆無な高プロについて、野党から追求があった際の厚労大臣の見解はさらに恐ろしいものがありました。

こういった悪用される恐れについて本人に自覚があるというのです。

高プロの対象者は、労働時間規制の対象から外れるため、勤務間インターバルがなければ、労働時間が際限なく伸びる可能性もある。実際、加藤勝信厚生労働大臣は、月に4日間休ませれば、連日24時間働かせることも違法ではないと認めている。

高プロ、新たな問題点が続々 年収には通勤手当を含み、勤務間インターバルも導入せず キャリコネ 2018.6.15

https://news.careerconnection.jp/?p=55335&page=2

普通はそういったリスクを潰しにいくというのが行政の仕事です。

しかし、そういった大きなリスクを認識していながらそのまま行こうとしているのです。

 

ただ、一応政府側としても「そうならない措置を用意している」という言い分があるようです。具体的には「健康確保措置」という項目を設けているので大丈夫とのことです。

しかし、この「健康確保措置」がこれまたデタラメなんです。

 

 

つまり、行政側が入っているストッパーでは働き過ぎに歯止めがかかることはないということです。

 

労働問題の権威でもある佐々木亮弁護士が非常にわかりやすく解説していますので、引用させていただきます。

 こんなひどい制度の高プロなので「労働者が死んじゃうかも!」とでも思ったのか、独自の健康確保措置があります。

 そのメニューは、

 1 勤務間インターバル制度と深夜労働の回数制限制度の導入

 2 労働時間を1ヵ月又は3ヵ月の期間で一定時間内とする

 3 1年に1回以上継続した2週間の休日を与える

 4  時間外労働が80時間を超えたら健康診断を実施する

です(※)。

 「お!いいじゃん!」と思うかもしれませんが、この中から1個選べばいいという制度です。

 で、普通に考えると4を選ぶ企業が続出するでしょうね。

 一番負担がないですからね。

※法案では「労働時間」という言葉は使われず「健康管理時間」という言葉を使っています。

『高プロ制度の解説をします』佐々木亮

https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakiryo/20180330-00083362/

佐々木氏の指摘をまとめるとこうです。

要するに働き方改革関連法案の中心である高プロはデタラメなのは言うまでもないが、それのデタラメさをカバーすると言われている健康確保措置もデタラメということなのです。

 

ちなみにこの高プロに該当する人は現在のところ1075万円以上(平均年収の3倍を目安という見方もある)の人にしか当てはめられないとされています。

この給与所得がある人は全体の1%もいません。

 

それゆえに「じゃあ俺は関係ないね」となる人が結構います。

だからこそ関心を持たない人も少なくありません。

 

しかし、その考えは絶対に改めてください。

ほぼ間違いなくこの年収要件は下げられます。

さっきの朝日の記事にそれが分かる箇所があります。

 法案では、高プロの対象年収を「年間平均給与の3倍の額を相当程度上回る水準」とし、具体的には省令で定めるとする。2015年の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の建議は「1075万円」の数字を挙げている。

『高プロ適用年収、通勤手当もコミコミ 厚労省見解』朝日新聞デジタル 2018年6月15日

https://www.asahi.com/articles/ASL6H2CWFL6GULFA01X.html

法案では高プロ対象年収が先に書いたもので決まると書いていますが「具体的には省令定める」と書かれています。

 

ここが非常に恐ろしい記載で、要するに省令を使えば年収要件なんて変え放題なんです。

 

省令というのは法律よりも軽微に改廃ができます。

具体的には国会の審議を経なくても変更ができるのです。

 

もちろん厚労省は逆に省令で歯止めをかけるという趣旨の答弁をしているのですが、逆の使い方をされるリスクの方へ敏感になるべきです。

 

 

さてこの法案のいかがわしさは周辺でそれに賛成している人間をみればわかったりもします。

安倍政権のプレーンでもあるパソナグループの会長をしている悪名高い竹中平蔵氏がその一人です。

彼はこの働き方改革関連法案について下記のように述べています。

現在は年収1075万円以上と対象者が限定されているが、竹中氏からは「これを適用する人が1%ではなくもっともっと増えていかないと日本経済は強くならない」と対象の拡大を求めるような発言もあった。

『高プロ推進する竹中平蔵「適用する人増やさないと日本経済は強くならない」 ネットでは批判殺到「二度と騙されない」』2018年5月30日

https://news.careerconnection.jp/?p=54714

竹中氏といえば派遣法で有名ですが、彼は派遣法の時も最初は専門職に限ると言っていました。しかしいまや多くの業種で派遣労働者の活用は緩和されています。

 

今回に関してはその目的を隠そうとすらしません。かなり悪質です。

 

 

さて、この竹中氏などをみればわかりますが、結局のところ法案の危険度は、それを扱う人間や組織が信頼できるのかどうかで決まるということがわかってくるのではないかと思います。

 

そこで、高プロが信用ならないことを示すために続けて厚労省の働き方改革関連法案に関する国会での行動をもう少し見ていきましょう。

 

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■無茶苦茶すぎる法案を正当化した根拠

今、前章の最後で述べたことは非常に大切なので改めて意図を書きます。

法というのは書かれている「テクスト」だけで機能するものではありません。

 

実態はその「運用」(どういう人がどういう状況でそれを解釈するか)が極めて重要だということです。

この辺りはバジョッドやモンテスキューなどを読んでいただくとご理解頂けるかもしれません。

 

さて、そういう意味で仮に実定法(明文化されたもの)において問題ないように見えてもそれを運用する人間たちに自然法(常識)が欠落していれば終わりということになるのです。

 

そのこと(彼らに常識があるかどうか)が分かる例として私はこの法案に関する厚労省の対応をあげます。

具体的にいいますと安倍政権及び厚労省はこの高プロの正当化をするための根拠としてあるデータをあげたところです。

そのデータとは「裁量労働制の方が普通の労働者より労働時間が短いというケースもある」ということを示すデータでした。

 

しかし、このデータが完全なるデタラメだったのです。

下記記事では「捏造」と書かれていますが、それに値するものです。

裁量労働制の労働者が一般の労働者より残業時間が少ないという厚労省のデータが、実は不自然に操作したものであることが明らかになり、それを用いて答弁をした安倍首相や閣僚が野党から厳しい突き上げをくらっているのだ。

加藤勝信厚労相は「わざとじゃない」と釈明をするが、調査対象となっている1万1575の事業所のなかで、現時点で少なくとも93事業所のデータに異常な数値があることが分かっている。意図的でないなら、厚労省が出しているさまざまな調査・統計をすべて疑ってかからねばならないほどの惨状だ。

『厚労省が「裁量労働制データ捏造」に走った根本的な理由 (1/5)』ITメディア 2018年2月27日

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/27/news059.html

詳細は見ていたければと思いますが、法案の根拠になるデータの多くに異常な値が入り込んでいたというものなのです。

 

これに関して、「誤差だ」という見方をする考え方もあるのですが、会社勤めの人であればわかると思いますが、そんなことは感覚的に想定しにくいと思うのではないでしょうか。

 

もちろんその指摘に対して反論してくれればいいのですが、驚くべきことに厚労省も安倍総理もこのデータはデタラメだとすぐさま認めたのです。

 

ただ、ここからがもはや怪奇現象なのですが、法案の根拠となるデータがデタラメだとバレたのにまだ採決をしようとしているのです。

 

自民党は近代国家であることを放棄しようとしているとすら感じさせる対応と言わざるをえません。

 

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■野党がだらしなくて自民党はマシだという考えの危険性

働き方改革関連法案に関する行政側の対応を見ていると感想は一つです。

今の自民党はここまで腐っているのかということですね。

 

法案を正当化していたデータが捏造だとわかったのにその法案をなぜかまた通そうとしているのです。もうこれは山賊や海賊が政治を行っているのと変わりません。

ただ、こういった山賊的行為が行われているのに未だにこういう人が後を絶ちません。

  • 野党がだらしないので他に選択肢がない
  • 安倍さんのやり方は強引かもしれないが、このままでは世界に取り残されてしまうから多少の痛みは伴うがやるべきだ

 

確かに、野党がだらしないのかもしれません。

政権担当能力があるかどうかは疑わしいものです。

 

しかしながら、野党がだらしないからといって自民党がそれよりマシな理由にはなりません。

これは私もブログで何回も書いているのですが、未だに自民党の方がマシで思考が止まっている人が後を絶たないようです。

 

最近私は常々「野党がだらしない」と言ってればなにやら政治に対する見識が一定程度あることがアピールできる危険な風潮を感じています。ナチスのファシズムの台頭も共産主義をスケープゴートにして増長した部分がありますからね。

 

 

例えば、辻元清美が出てきただけで脊髄反射的に叩き出す連中などがいい例でしょう。

辻元議員は確かにパフォーマンスなど過剰な部分があり性格的にも私はあまり好感は持てないですが、言ってることは結構まともなことが多分にあります。(まあこれ言うと反日らしいですが)

 

他に例を挙げますと「共産党」という政党の議員が何かいうだけで「中国のスパイ」と言いだす人たちがいるのをご存知だと思いますが、これも相当な思考停止ですね。

 

まあ、いろいろ書いていますが、まとめると自民党がマシだというのは完全なる思考停止だということです。

 

その一例が本件の働き方改革関連法案です。

先に述べた通り、捏造したデータを使って法案を通そうとしたところバレたにもかかわらずそのまま法案を通そうとしているという山賊まがいの行動を自民党はとっているのです。

 

官僚が勝手に嘘ついているという詭弁もしばしばでますが、日本の憲法では内閣は行政権の行使において国会に連帯して責任を負うことになっていますから、安倍政権がこの高プロの騒動に関する最終的な責任があることは揺るぎません。

 

それゆえに、百歩譲って直接データ捏造に関与していなくても責任が発生するのです。

ちなみにこのような強行採決は安保法案などでも見られたため初めてのことでもないことに留意することがあります。

 

こういった山賊まがいのことは少なくとも民主党はしていなかったのではないでしょうか。

民主党はいったことをやらなかっただけで、今の安倍政権のようにやらなくていいことをやっているのに比べれば可愛いものです。

 

この思考停止が続く限り日本は壊れ続けるでしょう。

以上、働き方改革関連法案の問題点を書きつつ、その根本にある行政の腐敗を書いてきましたが、それでも自民党は他の政党よりマシでしょうか。

 

そういう考えがあること自体は否定はしません。

しかし、とりあえず自民党は野党よりマシだという考えで、自民党を消極的に支持している人には今一度この法案含めて自民党の国会対応をよく見直してもらえれば非常に嬉しく思います。

 

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