先週辺野古移設について記事を猿でもわかると題して書いた記事が結構読まれたようで誠にありがとうございます。
おかげさまで結構なPVとなりまして、意外と世の中の人が辺野古移設について関心を持っているのかと多少なりとも驚きました。
今日は、そのちょっとした番外編として自民党というのが単なるヤクザと変わらないことを別の角度からお話しします。
キーワードは行政不服審査法という法律です。これを自民党が不適切に乱用して辺野古移設を強行しているというのが今回のポイントです。
文章の流れとしては改めて政府のデタラメの復習をした上でそのデタラメを押し通すために乱用されている行政不服審査法について書いていきます。
辺野古移設を沖縄県が反対している経緯
あらかじめこの問題についてご存知ない方向けに復習します。前回の記事を読んだ方には恐縮ですが、ここは何回復習してもしたりないくらい重要なところです。
絶対に押さえておいて欲しいのは、沖縄が中国の手先でもなければ、左翼でもありません。自民党が単なるチンピラ行為を沖縄県に行なっているだけなのです。
時系列で見ていきましょう。
まず現在、土砂の投入で話題になっている辺野古基地の建設ですが、実は沖縄県が2018年の7月28日に翁長知事のもと差し止めていました。
理由はいくつかあるのですが、その理由の一つとして翁長知事は下記のように述べていたようです。内容を沖縄タイムズから抜粋いたします。
本日、辺野古新基地建設にかかる公有水面埋め立て承認の撤回に向けて、事業者である沖縄防衛局への聴聞の手続きに入るよう、関係部局長に指示をしました。
辺野古新基地建設にかかる公有水面埋め立て処分には、『環境保全および災害防止に付き十分配慮』という基幹的な処分要件が事業の実施中も維持されるために、事前に実施設計や環境保全対策等について協議をすることや、環境保全図書等を変更する場合には、承認を得ることなどを事業者に義務づけて留意事項を付しております。
しかし沖縄防衛局は、全体の実施設計や環境保全対策を示すこともなく公有水面埋め立て工事に着工し、また、サンゴ類を事前に移植することなく工事に着工するなど、承認を得ないで環境保全図書の記載等と異なる方法で工事を実施しています。
留意事項で定められた事業者の義務に違反しているとともに、『環境保全および災害防止に付き十分配慮』という処分要件も充足されていないものと言わざるを得ません。
『翁長雄志沖縄県知事の承認撤回表明記者会見の全文(記者との質疑応答含む)』沖縄タイムズ 2018年7月28日
要するに埋め立て工事というものは環境問題に留意して行われなければいけないにも関わらず、何も事前に策を打たずに辺野古の埋め立て工事をしようとしている行政にありえないという判断の元工事の差し止めを要求したのです。
もちろん、差し止めの理由はこれだけではありません。
差し止めの理由はこの後複数続きます。続けて沖縄タイムズの記事から引用します。
また、沖縄防衛局が実施した土質調査により、C護岸設計箇所が軟弱地盤であり護岸の倒壊などの危険性があることが判明したことや活断層の存在が専門家から指摘されたこと、米国防総省は航空機の安全な航行のため飛行場周辺の高さ制限を設定しているところ国立沖縄工業高等専門学校の校舎などの既存の建物等が辺野古新基地が完成した場合には高さ制限に抵触していることが判明したこと、米国会計検査院の報告で辺野古新基地が固定翼機には滑走路が短すぎると指摘され、当時の稲田防衛大臣が、辺野古新基地が完成しても民間施設の使用改善等について米側との協議が整わなければ普天間飛行場は返還されないと答弁したことにより、普天間飛行場返還のための辺野古新基地建設という埋め立て理由が成り立っていないことが明らかにされるなど、承認時には明らかにされていなかった事実が判明しました。
『翁長雄志沖縄県知事の承認撤回表明記者会見の全文(記者との質疑応答含む)』沖縄タイムズ 2018年7月28日
そのほかに下記を辺野古建設工事の差し止め理由としてあげています。
- 専門家が活断層の存在と地盤が軟弱であることを指摘している
- 米軍が求める安全な航行を行うにあたりさし障る建造物が周辺に存在しているということ
- 辺野古基地を仮に作っても滑走路が短いため辺野古ができても即座に返還されない可能性が高いということ。
3つ目は冒頭にリンクを貼ったまとめ記事でも書きましたが改めて一番衝撃的なことが書かれています。
辺野古作っても普天間返ってくる条件になってないって言ってるんです。
辺野古推進派は意図的にか情弱なのかわかりませんが、ここをなぜかすっぽかして「普天間の脅威を減らすには、辺野古になるのは致し方ない」とか騒いでいるんです。このままだと普天間の脅威も減らないし、辺野古が増えるだけの可能性があると「自民党が」言ってるんです。
辺野古基地の新設に反対するのは「当然」なのです。
辺野古移設は何か高度な「安全保障上の兼ね合い」があると思っている人が少なくありませんが、問題は中学生でもわかるくらい単純です。
自民党がめちゃくちゃなことを言いながら正当性が皆無の辺野古建設を強行しているという話なのです。
沖縄県の決定に行政不服審査法を不適切に乱用する自民党
さて、自民党の無茶苦茶ぶりを決定づけるのが今回タイトルに挙げている行政不服審査法の乱用です。
私も法律の専門家ではないので、ここではサクッとしかかけませんが、自民党が何をしているのかを一言で書きます。
支離滅裂な論理で強行する辺野古移設を差し止めた沖縄県に対して「不適切な行政権の行使だ」といちゃもんを自民党はつけているという話です。それも行政不服審査法という立て付けを不適切に運用することで。
ところで行政不服審査法とは何かを少しだけ押さえておきましょう。
こちらはタイトルから推測がつきますが、公権力の行使に対して、国民が不服申し立てができる法律です。
第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
『行政不服審査法』e-gov
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=426AC0000000068#A
大事なのでカギカッコ付きでもう一度書きます。公権力の行使に対して「国民」が不服を申し立てられるという制度です。
さて、自民党の話に戻しますと、自民党(正確には防衛省)はこの行政不服審査法を不適切に運用することで沖縄の辺野古工事差し止めをひっくり返したのです。
私が「不適切に」と書いたのは行政不服審査法が「国民」のための法律であり、国家権力の側が行政不服審査法を使うことを許していないからです。憲法学者の木村草太氏を始め多くの方がこのことを実はすでに指摘しています。
行政不服審査は、「国民が簡易迅速かつ公正な」不服申し立てをするための制度(行政不服審査法1条)であり、「国の機関」が「その固有の資格」において受ける処分には適用されない(同法7条2項)。この点は、著名な行政法学者たちが、「公有水面埋立法における国に対する公有水面の埋立承認制度は」「国の法令順守を信頼あるいは期待して、国に特別な法的地位を認めるもの」として、「一般私人と同様の立場で審査請求や執行停止申し立てを行うことは許されない」と強く非難する声明を出している。
『木村草太の憲法の新手(94)辺野古での土砂投入 国の違法行為、全国に危機』沖縄タイムズ 2018年12月23日
一般私人と同じ立場で行政不服審査法を国家権力の側が使用することは許されないという趣旨のことが書かれています。
ちなみに木村草太氏が書いている同法7条2項について全文をぜひ見てみていただきたいです。
2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。
『行政不服審査法』e-gov
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=426AC0000000068#A
差し止めをされた行政機関が行政不服審査法を運用してひっくり返してはいけないと書いていますね。
行政機関が率先して法律違反をしているのです。
自民党はチンピラである
ここまで読んでいただいた方は自民党という集団がどういう集団かわかったのではないでしょうか。
よくいってヤクザかチンピラです。
まだヤクザやチンピラであれば「取り締まれ」ますが、取り締まる側が悪行を率先してやってるという意味では最悪の展開です。
法令を運用する側の人間が恣意的にルールを捻じ曲げ自らの願望をごり押ししているんです。
自民党がなぜこういうデタラメなことをやっているかと言いますと理由は一つで、辺野古の建設に正当性なんかないからです。
辺野古の建設に正当性があれば真正面から国民に訴えかければいいのです。そもそも普天間撤去ならびに縮小と辺野古建設が取引だったら沖縄の反対もここまで強くありません。
普天間は残る可能性高いけど、一縷の望みをかけて2兆円以上かけて辺野古つけるの許してねって自民党はいってるんですね。
左翼とか右翼とかもうそういうレベルじゃなくて山賊から国を守る戦いだとそろそろ多くの人が気づくべきではないでしょうか。
下記にオススメの書籍を最後にのせておきます。ファシズム的な現象がこの辺野古の件を筆頭に日本では多発しています。
当時もまともな人間が「共産主義者」「左翼」「無政府主義者」とレッテル張りをされていたというのが非常に興味深く読めると思います。