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経済

インフレターゲットとは何か

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インフレターゲットという言葉をご存知でしょうか。

こちら最近聴く回数が減りましたが、アベノミクスが一丁目一番地として掲げている「デフレ脱却」の成果を測る指標として採用された経済理論です。

 

しかしながら、アベノミクスが始まって五年以上が経ちましたが、「デフレ脱却」をしたというニュースは聞きませんし、もはや中央銀行総裁がインフレターゲットについて言及しなくなるほど達成が怪しいものとなってきました。

 

そこで今日は備忘録も兼ねてアベノミクスが目的とするデフレ脱却の効果測定を行うための「インフレターゲット論」について記事を書きました。ご笑覧いただけますと幸いです。

 

インフレターゲット論とは何か

そもそも論のところから行きたいと思います。

インフレターゲットとは何かについて概要をここでは書きます。

 

インフレターゲットというのは消費者物価の上昇率を一定のペースで安定的に推移させる政策です。

この政策というのは具体的には金利の上下運動を(中央銀行が)行うという形で実施されます。

 

なお具体的に物価の理想値というのがあるようで、最も多くの国で採用されているインフレターゲットは「年率2%」です

 

もちろん全ての商品が年率2%で推移するということはあり得ませんので、あくまで2%以上で推移するものからそうでないものを含めてならした時に2%になればいいよねというのがインフレターゲットが構想している内容になります。

 

日本でも2%を黒田総裁が2013年に採用しました。

黒田東彦総裁率いる日銀は、2年程度でインフレ目標(年率2%)を達成すると宣言して、2013年春に「異次元金融緩和策」を開始した。

『物価か金融システムか、日銀が「究極の選択」を迫られる理由』 ダイヤモンドオンライン 2018年11月29日

https://diamond.jp/articles/-/186604

インフレターゲットの目的

さて、このインフレターゲットというのはなぜ行われるのかに話をうつします。

 

これは目的としては色々あるのですが、これまで各国で採用されてきたケースからあえて一言でまとめると「過度なインフレの抑制」を目的としています。

 

アメリカの経済評論家であるジェフ・マドリックによると過度なインフレが起きることを抑制する背景には、過度なインフレが「市場における価格決定のメカニズム」にひずみが生じることは望ましくないためのようです。

この政策の支持者によれば、インフレ率を低く安定させる必要があるのは、インフレ率が高くなると市場での価格決定のプロセスにひずみが生じる恐れがあるからだという。

『世界を破綻させた経済学者たち』ジェフ・マドリック(2015)早川書房 Kindle 2198

 

ここで注目したいのは日本では「インフレターゲット」というとどちらかというと政府の介入をイメージしますが、本来のインフレターゲットというのはどちらかというと市場原理主義者が支持する政策なのです。(ケインズ派ではなく)最初に言いだしたのが市場原理主義者の教祖とも言えるミルトン・フリードマンというところも注目です。

 

他にもこのインフレターゲットを支持した著名な人物にはノーベル経済学賞を受賞され元アメリカの中央銀行総裁も務めたベン・バーナンキを始め多くの人がいますが、彼もまた利子率の操作により経済をコントロールできると考えていました。

彼の著書である『インフレ・ターゲティング』ではまさに経済の繁栄に当たってインフレターゲットを支持しているのです。

同書の著者たちは、インフラへの投資など、政府の担うべき役割が他にもあることを認めてはいる。しかし、彼らが重要と考える公共政策は、ほぼインフレ・ターゲット政策に限られていた。インフレさえ抑制されていれば、自由な市場と無制約の企業が最良の結果をもたらすと考えていたのだ。そのような環境では、経済の効率が最も高まり、経済成長も最も加速するという。

『世界を破綻させた経済学者たち』ジェフ・マドリック(2015)早川書房 Kindle 2221

 

インフレターゲットの達成を日本が失敗しつづける理由

さて、打って変わって日本の話に移します。

なぜ日本はインフレターゲットを設定しているのにうまくいかないのでしょう。

 

中央銀行は大規模金融緩和をもう5年以上行なっています。

これについては先の章で述べたインフレターゲットの目的を思い出していただければと思います。

 

繰り返しになりますが、インフレターゲットというのは「過度なインフレを抑制することが目的の政策」です。

 

つまり、ゼロ金利・ゼロインフレと言われる我が国日本ではそもそも適応不可なのです。

インフレを抑制しなくても限りなくゼロインフレ・ゼロ金利な日本にインフレターゲットをやったところで成果が出るはずがないという話なのです。

 

そもそもをお話ししたいのですが、一般的に誤解されていることとして民主党時代の白川総裁時代は金融引き締めをしていたが、黒田総裁以降金融緩和をしたことで日本経済が持ち直したというドグマがあります。

 

しかしながら、これは嘘です。

実は、白川総裁も利子の調整を行い事実上の金融緩和を実施していました。

下記のサイトを見ていただければそれはクリアになるかと思います。

https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/

 

もちろん黒田総裁以降の金利は歴代最低で推移していますが、白川総裁もまたそれ以前の時代で考えてみるとかなりの低金利誘導をしています。(時々調整であげていますが。)白川総裁が悪の権化という認知はアベノミクス支持層が吹聴した悪質なデマだと言ってよいでしょう。

 

話を戻します。

大事なことなのでもう一度述べますが、インフレターゲット自体は中央銀行が過度なインフレを抑制する目的で多くの国で採用されてきました。(70年代のアメリカなど)

 

こことても大事です。

なぜなら、日本という国はインフレで困っている国ではないからです。

それどころかデフレ脱却ができないと騒いでいる国です。

 

 

そんな国でインフレターゲット政策は不要ですし、間違ったアプローチをしていると言わざるを得ません。

ゼロ金利に近いのに投資も消費も増えないのです。

 

これはお腹がいっぱいと言っている人にどんなに美味しい料理を低価格で提供すると言っても刺さらないのと同じで別のところに問題があるという形で思考を変えなければ本当の課題は見えてきません。

 

 

インフレターゲットの効果が現れる時期

そういう意味で、インフレターゲットの効果が現れる時期はきません。

 

確か2013年に岩田副総裁だったと思いますが、2年で物価目標2%を達成しなかったら職を辞するというのがありましたが、もちろんそれは全く効果がでず失敗に終わりました。(なのに辞めてない)

 

そして、2018年12月の今日時点でも効果は現れていません。

 

 

もう日銀は諦めたのかインフレターゲットの「達成時期」を明言するのさえ辞めたほどです。

 

インフレターゲットはいつまで待ってもダメなのです。

 

 

日銀の大規模金融緩和がもたらす末路

日本の今のゼロ金利・ゼロインフレというのは世界で例がありません。

インフレで困った国なら過去に山ほどありますが、これほど長期間のデフレで推移した国はほぼほぼありません。

 

日本のこの状態に続いているのがドイツだと思いますが、何れにしても日本の今の経済的な課題はこれまでのインフレターゲットを筆頭とした市場原理主義的パラダイムからは解決に繋がることはないでしょう。

 

単に行き場を失ったマネーがバブルを作って行くだけです。

おそらくオリンピックを前にしてバブルが弾けるようなタイミングが来ると思われます。

 

それ自体も日銀がETFを買うことで維持することが想定されますが、その後どうなるのかは誰も想像できません。

 

これまでの歴史で誰も経験したことがないほどの低インフレ・低金利のなかで行き場を失ったマネーが大量にリスク資産に向かっているというのはかなり異常です。

 

 

 

ただ、今の株高は「喜ばしいサイン」とは限らないということですね。

以上、インフレターゲットのご説明からなぜ日本はインフレターゲットの政策が失敗しているのかについて書いてきました。

 

学者もエコノミストも日本とその他の国の経済が全く違う状況にあるということを受け止めずずっと物価がどうだ、インフレ率がどうだと騒いでいます。しかし、それらは全てデタラメだとお分りいただけたのなら幸いです。

 

 

最近のエコノミストや経済学者の多くは政府の広報機関になってしまっていますので、我々自身が当たり前のように言われていることを調べてみるというのが大事かなと個人的には思います。

 

 

長文ご覧いただきありがとうございました。

 

*こちらで引用したマドリックの本はおすすめですので是非ご覧になってみてください。

 

 

 

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