年末年始色々なニュースが飛び込んでいます。
何と言っても話題に上がってるのはカルロスゴーンでしょう。
事実上の高飛びを日本の行政は許してしまい前代未聞とも言える状況にあるからです。
テレビや新聞、ネットもこれで持ちきりです。
ただ、個人的にはより大きなニュースがあったと考えています。
それは我々の生活にも直結するという角度から見た場合、ゴーンのニュースとは比較にならないと考えています。
それがタイトルに挙げているイランとアメリカの戦争が始まるのではないかという可能性を高める事件についてです。
本日は、こちらについて解説致しました。
アメリカとイランの戦争が起きそうだと言われている経緯について
まず、いま話題に上がっているニュースを非常に簡単に経緯含めてまとめて見ました。
両国の緊張が一層高まったのはアメリカがイランの軍の幹部(ソレイマニ司令官他)を殺害したという一件が非常に大きいと言えます。
何故ならば、このソレイマニという人物がイランにとって極めて重要な人物であったためです。
下記の記事を詳細まで読むと、「一番国内で支持のあつかった人物」と言っても過言ではないレベルの方です。
数々の軍事作戦で成功を収め、アメリカも親米のイスラエルも最も警戒していたのは間違いありません。
ソレイマニは国内ではカリスマ性を備えた英雄として国家の「強さ」の象徴として愛され、並みいる政治家を差し置いて最も人気のある人物として世論調査のトップに来るだけでなく、イランの各地で彼の写真が額装されていたり、Tシャツにプリントされたお土産が売られている。
『ソレイマニ司令官殺害と米イラン関係の行方』GLOBE+ 2020年1月4日
それゆえに、それほどの英雄を殺害されたイランが怒りに狂うのは当然です。やっぱりとも言える展開ですが報復措置の実行を匂わせました。
さて、このイランの反応に対してアメリカがどう反応したか。
トランプ大統領は3000人の米軍を追加で派兵するという声明でした。
ここまでだけでも、素人目にもアメリカとイランが戦争に突入する気満々の状態になってしまっているという事がわかるのではないでしょうか。
流れを切り取って説明したためこれだけ見るとアメリカは単なるチンピラ国家に見えるので、一応フォローを入れておきます。
トランプに言わせれば「戦争を防ぐ行為」(https://this.kiji.is/585927211890459745?c=113147194022725109)だそうです。
具体的にはこの前段階でバクダットのアメリカ大使館攻撃をソレイマニ氏が指揮していたことがあると多くのメディアが報じているのです。
すごくかいつまんで書きましたが、ここで押さえていただきたいことは繰り返しですが一つです。
イランとアメリカがとてつもなく険悪な関係性だという事です。
しかもすでにお互いが小競り合いをはじめていて、次にイランが何か報復をすれば、アメリカが先制攻撃をするのは時間の問題だということです。
アメリカとイランの軍事衝突時に予想される日本への影響
さて、我々にとっての関心は「アメリカとイランの軍事衝突が自分の生活にどういう影響があるのか」というところでしょう。
イランといえば随分と遠い国で普段でいえばサッカーがちょっと強いなあくらいのイメージのみの方も多いかもしれません。
しかしながら日本に対する影響はかなりあります。
それは原油価格ですね。
我が国は、エネルギーを自前で調達できないためほとんどを中東からの輸入に頼っています。
あなたの勤め先が石油製品を扱う会社でなくても電気をつけたり、車を運転したり、料理をしたりするだけでも影響を受けるといえばリアリティが湧くでしょうか。
元をたどれば全て石油があるのであり、その価格が上がる下がるで日本経済は大きく揺れ動くのです。
これはエコノミストの中原圭介氏も指摘していますが、アベノミクスも含めたここ数年の世界経済の好感触は原油安のデフレに支えられていたと言われています。
安倍政権は金融緩和だ聖域なき構造改革だと色々やっていたと言われていますが、それらの影響は軽微で、原油安によるものが大きいのです。*下記を見ると2010〜2011年ごろ100ドル近く行った後一時60ドル以下まで暴落している。(https://toyokeizai.net/articles/-/91402)
実際、民主党時代と同じ原油価格で政権運営をしていたら、円安をしていた分だけ国民の負担はより大きく、安倍政権もここまで政権を維持できなかったでしょう。(4割ってかなりでかい)
さて話を本題に戻すとアベノミクスがいいものか悪いものかはともかく原油の値段が上がると日本経済が致命的なダメージを受けかねないということがここで改めて伝えたいことになります。
そのメカニズムは厳しい経済理論がわからなくても、我々の生活環境のほとんどが原油に頼っていることを鑑みれば理解するのは難しくありません。
なお、日本はサウジアラビアから大部分の原油を輸入している(イランからも少々)のですが、同国はアメリカと深い関係の国なのです。
ですからイランとはあまり関係のよくない国です。
すでにイランによりサウジアラビアの石油施設が爆撃されています。
そしてその影響もあって先物価格がかなりあがっていると報道があります。
国際原油価格が急伸している。指標となるNY原油先物価格は、1月3日のアジア時間に前日比で一時2.66ドル(4.3%)値上がりし、1バレル=63.84ドルに達している。サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けたことで世界の原油供給の約5%が失われ、原油価格が跳ね上がった昨年9月の高値63.38ドルを上抜き、昨年5月20日以来の高値を更新している。
『米国とイランの対立激化で原油価格が急騰中』2020年1月3日
https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20200103-00157555/
実際我々のところに影響が来るのは数ヶ月先だと思いますが、スタグフレーションはもうほぼ間違いないでしょう。
非常に我々の生活が厳しくなることが予想されます。
アメリカとイランのどちらが悪いか
最後に余談ですが、アメリカとイランのどちらが悪いのかについて少しだけ書いておきたいと思います。
これはお互い人を殺してるので0か100かは言い難いもののアメリカの方に相当問題があるだろうと私は考えています。
理由は過去の行いからそう判断せざるを得ないからです。
例えば、先のイラク戦争ではアメリカを「正義の味方」であるかのごとく感じた人が多かったでしょう。そしてフセインを悪の枢軸と思ったことでしょう。
しかし、事実はアメリカが開戦の根拠とした大量破壊兵器は見つからず、結局は根拠不十分に小国に爆撃をしただけだったのです。
これはベトナム戦争などでも見られた現象で、基本的に最近のアメリカが行なった戦争でのちになっても納得感のあるものというのは皆無なのです。
でっち上げ、世論操作、デマの流布などなんでもござれなのです。
アメリカという国の正体について興味がある方は、ぜひこのタイミングでエマニュエル・トッドの『帝国以後』の読破を推奨いたします。
例えば、下記は15年以上前に書かれたとは思えないくらい今のアメリカの姿を的中させています。
現在最終段階にある教育的・人口的移行期の苦痛の中で、世界は安定性へと向かっている。第三世界はそのイデオロギー的・宗教的熱病の発作を体験しつつ、発展と一層の民主主義へと前進しつつある。自由を保護するためにアメリカ合衆国に特段の活動が必要とされるような、世界的脅威はない。今日地球上にのしかかる全世界的均衡を乱す脅威は唯一つ、保護者から略奪者へと変質した、アメリカそのものなのである。己の政治的・軍事的有用性がだれの目にも明らかであることを止めたまさにその時に、アメリカは全世界が生産する財なしではやって行けなくなることに気づくのである。
『帝国以後』エマニュエル・トッド(2003)藤原書店
ざっくりというと冷戦構造の中で、日本やドイツがソ連などの共産主義国家に取り込まれないよう自国の産業市場をそれらの国に差し出し冷戦に勝利したわけですが、その産業力を犠牲にしたつけが今ボディーブローのように効いているという話です。
*GAFAなどはアメリカの企業ですが、ほとんど雇用を生み出してないため実はアメリカの国益とは合致していないことが多いですので注意が必要
そして、その弱さを補うために何をしているかというと、残された軍事力を行使し続ける事です。
一応日本に対してこの作戦はうまくいっていて、日本の識者などはやはり日米同盟・日米安保ありきの人が多いでしょう。
ただ、軍事力は実際に行使するとかなり消耗しますので基本は威嚇に留めるのが常です。
しかし、アメリカが戦争を仕掛ける時というのは、そうでもしないと立ち行かないくらい国として行き詰まっているのです。
この辺りはメディアがあまり報道しませんので、『帝国以後』含めアメリカの戦後史をぜひ見ていただければと思います。
以上、色々書いてきましたが、このアメリカイランの衝突は「関係のないニュース」と考えるのではなく、今後の世界の縮図は勿論身近なところでいえば我々の生活に直結するのだということを頭に留めていただけると幸いです。