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岩波文庫でまずは読んでおきたいおすすめの名著5選

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読書をし初めてある程度すると出くわす書店の本棚があります。

読書を始めた当初は見向きもしなかったあの本棚です。

 

それはズバリ茶色のカバーでおなじみの岩波文庫です。

 

岩波文庫といえばそのほとんどが存命の方の書籍ではなく、いわゆる「古典」と呼ばれるジャンルに分類される本ばかりです。

一言で言えば「名著」と言われ残ってきたものということですね。

 

ただ、なんとなく読んでいくのは億劫、、、という人もいるかもしれません。

 

まあ読ませる気ないですからねえ笑

目次ないのとかも結構ありますし。

 

そこで今日は名だたる名著が並ぶ岩波文庫の中でも個人的にまずは読んでおきたい5冊を取り上げたいと思います。

(まあアマチュアの人間なので選書についての批判はお手柔らかに)

■目次

ショーペンハウエル『読書について』
ルネ・デカルト『方法序説』
アレクシ・ド・トックビル『アメリカのデモクラシー』
ジョン・メイナード・ケインズ『雇用利子および貨幣の一般理論』
マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

■ショーペンハウエル『読書について』

まずは岩波文庫を読む前の準備運動とも言える本をぜひ読んでいただきたいですね。

その本とはショーペンハウエルの『読書について』です。

 

これは、ショーペンハウエルが書いた「読書の心得」とも言える名著なのですが、ここにはズバリ「なぜ古典(岩波文庫)を読むべきか」ということを教えてくれる本でもあります。

 

ショーペンハウエルによればまず我々は「読むべき本」ではなく、「読むべきでない本」に手を出さないことを肝に念じておかなければなりません。このスタンスに立たないと無駄な本をたくさん読んでしまうよと彼は忠告します。

したがって読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。その技術とは、多数の読者がそのつどむさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである。

『読書について』アルトゥール・ショーペンハウエル(1983)岩波文庫 p133

 

ベストセラーや平積みの本に手を出さないという「読まずに済ます技術」が身につければもう何を読むべきかは決まっているとショーペンハウエルは述べます。それが岩波文庫なわけですが。

・・むしろ我々は、愚者のために書く執筆者が常に多数の読者に迎えられるという事実を思い、つねに読書のために一定の短い時間をとって、その間は比類なく卓越した精神の持ち主、すなわちあらゆる時代、あらゆる民族の生んだ天才の作品だけを熟読すべきである。彼らの作品の特徴を、とやかく論ずる必要はない。良書とだけいえば、誰にでも通ずる作品である。このような作品だけが、真に我々を育て、我々を啓発する。

『読書について』アルトゥール・ショーペンハウエル(1983)岩波文庫 p133

岩波文庫を読み始めると今まで「読まずに済ますべき本」がどれほどあったかとあんぐりしてしまいます。私はビジネス書や自己啓発書のほとんどがいま振り返った時に「読まずに済ますべき本」だったと思っています。

 

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■ルネ・デカルト『方法序説』

さて、続いてのおすすめの岩波文庫は近代哲学の開祖とも言われるデカルトの代表作をあげます。

デカルトというと近代哲学の開祖とも言われることから、その反動で今日においては幾分悪名高いですよね。

 

それゆえにあまり読まれすらしなくなりつつあります。「デカルトって非人間的なやつなんでしょ?」的な感じかな。

 

ただ、デカルトの『方法序説』は一般的なイメージとは異なり「科学性」「徹底性」「急進性」などの観念からは遠く極めて人間味のある本です。

 

それゆえに、『方法序説』を読むとデカルトのイメージが変わるわけです。

 

ただし、そこがお勧めのポイントではありません。

ある一つの問いについて考える機会をくれるという意味でおすすめです。

それは、「じゃあいまの近代以降支配的な哲学はデカルトでないとすると結局誰の考えなのだろう?」というものです。

 

例えば、『方法序説』では下記のような記述があります。

あらゆる極端は悪いのが通例であり、穏健な意見は行うのにいつも一番都合が良く、おそらくは最善であるからだ。また一つには、穏健な意見に従えば、やり損ねた場合にも、両極端の一報を選んだ後にもう一方をとるべきだった、とわかるよりも、真の道からの隔たりが少なくて済むからだ。

『方法序説』ルネ・デカルト(1997)Kindle 366

穏当なやり方があらゆる場合に最善という考えはどちらかというと近代批判の文脈で語られるものなのは言うまでもありません。

これがデカルトが言ったものなのかと当時読んだ時には驚いたものです。

 

近代保守主義はエドマンド・バークをもって誕生したとされていますが、デカルトはそれよりも随分と前にすでに『方法序説』の中で披露していたんですね。

 

 

いろいろな謎が解き明かされるのではなく深まる一冊です。

 

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■アレクシ・ド・トックビル『アメリカのデモクラシー』

資本主義と民主主義というのが18世紀以降の二代キーワードですが、そのうちの「民主主義」の方のキーワードに対してトップオブトップとも言える岩波文庫をここではご紹介します。

 

それは、アレクシ・ド・トックビル『アメリカのデモクラシー』です。

 

こちらはついついタイトルからアメリカの民主主義について書いた本というイメージを想起してしまいます。

しかしながら、実はアメリカの民主主義を一例に民主主義一般の危うさを記した本だと言われています。

 

それゆえに、特に今日各所で民主主義社会自体が危ぶまれている中においては改めてその価値が再評価されています。

デモクラシーは民主的な社会状態の促進する精神的自由の火を消してしまいその結果、かつて階級や人間が押し付けていた拘束をすべて断ち切った人間精神が、今度は大多数のものの一般意志に進んで自分を固く縛り付けることになるのではなかろうか。

・・・置き換えたのであれば、害悪の性格が変わっただけのことであろう。・・・厄介なことに隷属の新しい形を発見しただけであろう。

『アメリカのデモクラシー第二 上巻』アレクシ・ド・トックビル(2005)Kindle402

なお『アメリカのデモクラシー』は中公クラシックスなどからも出ているのですが、その中でも岩波文庫版の特徴は計4冊からなるなかなかの長編という点です。ただ、割愛せず全文を載せておりトックビルの思想を余すところなく堪能できます。

 

 

一応、ワンポイントアドバイスとしては、第一巻の上はアメリカの民主制度をつらつらと書いているだけなので時間のない方はそれは飛ばしてもいいと思います。

 

 

トックビルには一点だけ弱点があります。

彼は、「民主主義がなぜ起きてきたのか」「民主化は何が原因で加速するのか」を見抜くには至らなかったという点です。

 

エマニュエル・トッドがこの辺りは『帝国以後』や『デモクラシー以後』で解説していますので、こちらも参考文献として興味があれば合わせて読むのをおすすめします。(岩波文庫じゃないですが)

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■ジョン・メイナード・ケインズ『雇用利子および貨幣の一般理論』

4冊目の岩波文庫はどちらかというと「資本主義」の本にフォーカスを当てた名著です。

行動経済学の始祖とも言われ、多くの経済思想に影響を与えたケインズを取り上げます。

 

ケインズの経済思想は新しさがたくさんあるのですがここでは字幅の関係で簡潔に述べるにとどめたいと思います。

 

大きくは3つあります。

一つは彼は経済学が前提とする「人間は合理的に考えて行動する」という前提を疑ったことが挙げられます。人間は感情で動く生き物で常にすべての人がある一定の行動を取ることなどありえないというものですね。

 

そして、もう一つですが経済学には時間軸がないということを取り上げたことが挙げられます。

この前提に立つことで「雇用」や「利子」「物価」などの概念が経済に与える変数として考えることができるようになったのです。

 

 

そして最後が最も有名かもしれませんが「消費」こそが経済活動の唯一の目的という見方をしたことです。

有効需要という言葉はご存知の方も多いことかと思います。

消費は、わかりきったことを繰り返すなら、あらゆる経済活動の唯一の目的であり、目標である。雇用の機会は総需要の程度によって限界を画されている。総需要を生み出すのは現在の消費、あるいは将来の消費に対する現在の備え(投資)、ただそれだけである。

『雇用、利子および貨幣の一般理論 上』ジョン・メイナード・ケインズ(2008)Kindle2145

いわゆる経済学と呼ばれるものは長らく「供給側から」経済を見てきたと言われ、セイの法則がいい例ですが、供給が需要を作り出すというトンデモ論がケインズ以前は常識でした。

 

ただ、お腹いっぱいの人に飯は食わせられないのは当たり前で、需要の方から考えないと経済は考えられませんということをケインズは指摘したんですね。

 

ケインズを今日読む意義ですが、今の経済を語る「プロ」が実はこの需要側および労働者側から物事を見れない人が多いんですね。

だから自由貿易を進めれば国が豊かになるとか消費税を増税しないといけないとかいう話をプロが平然としています。

そういった人に騙されない防波堤にこの本はなる気がします。

 

 

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■マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

最後にとりあげるおすすめの岩波文庫は世界的名著とも言われ社会学という学問ジャンルの始原とも言われるマックス・ウェーバーの本をおすすめします。

 

これは我々の生きる「資本主義」という社会はマルクスが想定したように「個人的利害」(interest)で動く人だけではないのではないかという問題提起をした一冊です。

 

資本主義の発展が顕著に見られる国においてプロテスタントが広まっているという風に当時ウェーバーは考えたのですが、そのことの是非はともかくとして、宗教という「個人的利害」以外を行動原理がむしろ資本主義を発展させうるという反証をして見せたことが読み物として面白いのです。

 

もちろんプロテスタントの国でも経済発展が顕著でない国もあるし、カトリックの国で経済が栄えている国もありました。

普遍性はありません。ウェーバーも厳密性は求めていなかったと思います。

 

ただ、資本主義というものを単純化してみることの危うさについて警鐘を鳴らすいうウェーバーのものの見方が非常に我々を啓発してくれるのです。

 

ちなみに日本はキリスト教ではないので、タイトル的には関係なさそうな本にも見えますが、日本こそ資本主義の「私的利害」が人々を突き動かすという前提を崩している国もないと私は考えています。

それの要因はキリスト教ではないのは間違いないですが、それ以外の何かが資本主義の発展に役に立っているのは間違いありません。

 

この辺りについては山本七平さんが生涯にわたって研究されていましたので合わせて読んでいただくと良いかもしれません。

 

以上、インテリ気取りにもおすすめの岩波文庫を紹介してきました。(すいません)

私もすべて読めていないのであくまで参考までにしてもらえればとは思いますが、間違いなくここにある5冊はおすすめです。

 

いやこっちの岩波文庫の方が先に読むべきだとかあればコメントお待ちしています。

 

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