「アベノマスク」
この言葉を聞くとすごい嫌な顔をするということを首相の側近がもたらしたみたいな話を耳にしたことがあります。
まあ、こういった形でバカにされることは仕方ないのではないでしょうか。
そして挙句、この度アベノマスクの進化系であるカビノマスクという言葉まで誕生しました。
本日はこれについて少し書いていきたいと思うのですが、アベノマスクやカビのマスク騒動というのは安倍政治の集大成的なものだと個人的には思っています。
アベノマスクとは
まずアベノマスクとは何かについて少しおさらいしましょう。
この言葉は知っていてもなんのことやらという方もいるでしょう。
そもそもでいうと、安倍首相は3月の記者会見含めて新型コロナの対策として下記のような形で大風呂敷を広げてきました。
3月14日
・大胆なメッセージ性の強い対策をしていかなければならない
・一気呵成(いっきかせい)に、これまでにない発想で、思い切った措置を講じてまいります。
・今後も必要、かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたい
3月28日
・かつてない強大な政策パッケージを練り上げ、実行に移す考えです。
・前例のない中小・小規模事業者支援を実施いたします。
・かつてない規模の対策を取りまとめてまいります。
しかし、2月の頃からこういう発言をしていたこともあり「具体策がない」「いつになったら決めるんだ」と批判の声が強まっていたわけです。
ただ、ついに「具体案」が出てきて、それがアベノマスクだったのです。
アベノマスクとは全世帯に布マスク2枚を送り届けるというもので、確かにいう通り「前例のない」「大胆な」政策であることがわかりました。
投入される税金は200億円ほどと言われていたのですが、最終的には倍以上の466億円計上されてまで執行されることになりまさに「政権肝いりの政策」なのは間違いありません。
そうはいっても案の定大きな批判が浴びせられます。
というのも謎が多すぎるのです。
まず「一世帯」二枚ということ。
というのも子供がいる家庭は何か事情がある場合を除いて多くの場合が、3人以上いるからです。
どういう想定で「2枚」というのを出してきたのかすこぶる謎なのです。
専門家がアドバイスしたのだとしたらそれを知りたいが、今のところその話は出てきていません。
続いて二つ目です。百歩譲って枚数の件は不問にするとしましょう。
それは布マスク自体に効果がないという疑問が上がっている点です。
これについては多くの専門家・専門機関が指摘する。
例えば、米国立労働安全衛生研究所の実験によると、微粒子に対するフィルター効果は、医療現場などで使うN95マスクが95%以上、タオルが40%前後、スカーフが10~20%程度、布マスクは10~30%程度だったそうです。
この情報が科学的に検証されているとするとタオルを顔に巻いてた方がマシなレベルだということがわかります。
そんな感染症において成果が見込めないと思われるものに400億円以上かけるというのは狂気の沙汰だと言えるでしょう。
最後に三つ目ですが、安倍マスク擁護論が採算主張していた布マスクのメリットである「使い捨てのものとちがって何回でも使えるというメリット」がある前提をクリアしなければ成り立たないことにあります。
アベノマスクが有効であるためには滅菌処理などを我々素人が完全にできるという前提です。
というのも布マスクは繰り返し利用できるのは事実だけど、滅菌ができてなければ菌が培養したものをつけ続けるというむしろマイナスな効果しかもたらさないからです。
それが一般人にやり切れるでしょうか。
何千万世帯とある中でそれをやりきれるといえるならば、政治家としてその前提でやるのはいかれているというしかない。
カビノマスク問題について
そういった疑惑、疑念がある中で結決行されたアベノマスクですが、「カビノマスク」と呼ばれるようになります。
これまで、アベノマスクについては散々批判もありながら、安倍応援団が「布マスクだって効果があるんだあ」「プッシュ型の支援をやったことを先ずは評価しよう」「布マスクは何回も洗えるから環境に優しい」などと目も当てられない擁護を続けてきました。
しかし、そういった親衛隊の援護射撃も虚しく、「ものづくり大国日本」という名に泥を塗るかのような展開が訪れたわけです。
それをカビノマスクと呼んでいるわけですが、カビノマスク問題は大きく二手に分かれます。
まず一つ目がその名の通り配布されたマスクにカビが生えているものがあるなど現代日本でにわかに信じがたいクオリティのものがなぜ配られたのかというものです。
アベノマスクは実は先行して14日から介護施設や学校向けに配布がされていました。
しかし、その配布された分から髪の毛や虫の混入が報告され、妊婦向けのものからも「変色している」「髪の毛が混入していた」「異臭がする」と自治体から報告が相次いでいるのです。
他にもカビと思われる黒ずみや虫の混入なども見られ、その不良品報告の数は、朝日新聞の報道では7800枚にも及びました。
この中には17日以降一斉配布の対象者からの申し出も含まれ、結局配布は中断されるに至ったのです。
またクオリティが低いということを事実隠蔽していたことも濃厚です。
加藤厚労省は21日に全戸向け布マスクの不良品について、「ほとんど報告は来ていない」などと述べていたが、安倍麻生そっくりの嘘つきぶりを発揮したのです。
過労死の遺族の方が話しているときに笑っていただけの外道人間なだけはあります。
安倍政治の集大成たる理由
また、加藤厚労省に限らず、菅義偉も開き直りました。
22日午前におこなわれた菅義偉官房長官の会見では、「生産流通の過程において、報道のような一定程度の不良品が生じることはある」などと不良品マスクがあったことを開き直りました。
また「配布をおこなう前段階において適切に除外されている」と断言し民間企業であれば父さんものの居直り会見を実施しました。
また冒頭に466億円という予算どりの話をしましたが、この使途が非常に不透明なのです。
福島瑞穂議員が受注業者を問い合わせたところ、厚生労働省の担当者は「(契約企業は)興和54.8億円、伊藤忠商事28.5億円、マツオカコーポレーション7.6億円」と回答したのですが、これを足しあげると90.9億円しかなく、配達コストが128億円を加えても200億円くらいの使途が不明なままとなるのです。
ここで謎を解く鍵が政府側が頑なに開示したがらない「第四のメーカー」です。
カビノマスクについて「四つのメーカーから調達した。このうち三つは先ほど述べた会社。残り1社については現時点では答えられない」と回答しており、検察が普通に動く案件だろうと突っ込みたくなるものです。
アベノマスクおよびカビノマスク問題というのは結局その意図にいかなる崇高なものがあったかは関係なく結果を見たときに、「ただでさえ効果が怪しく、また衛生的な観点から我々が適切に使用できるかも怪しく、膨大な予算をかけてやる必要性が怪しいものなのです。
そしてそういった中でそれを強行した挙句に、まともな品質体制で作られたのか怪しいゴミみたいなマスクが飛び出した上に、使途不明の金が半分近くあるというめちゃくちゃなものなのです。
頑なに4社目の業者を隠しているということで安倍内閣おきまりの「ない」と言い始めれば「なかったことにできる」という全体主義的スタイルをごり押ししてくるいつも通りのパターンなのです。
これが戦後最長政権とは悲しいものですね。
4社目が出てくるのを今は待ちましょう。積みは積みです。