今メディアを沸かしている企業というとどこが上がるでしょうか。
このブログで最近取り上げている「ソフトバンク」がその一社ですがもう1社あります。
それは関西電力です。
言わずと知れた「超」のつく大手インフラ系企業です。
現在この関電がやばい問題を起こしているということでメディアが数多く取り上げています。
さて、腐りに腐りきったとまで言われている関電ですが、何をしたのでしょうか。
本日は関電の問題を取り上げつつ、そこから見えてくる日本の腐り具合について書かせていただきました。
関電問題の概要をわかりやすく
まず、関電が悪そうなのはわかったが何が問題なのかと言う所のキャッチアップができるように事件の概要をまとめようと思います。
問題の本質を一言で言うならば、関電の社長から役員に至るまでの経営層20名近くが原発施策を推進する見返りに3億円以上のキックバックを受け取っていたと言う話です。
ここまで露骨にかつ直接に述べている記事は少ないですが、構図から言ってそうとしか言えません。
そう推察するに足る根拠の1つが森山栄治氏という元助役の存在です。
メディアでも度々名前の上がる森山氏ですが原発斡旋のハブになっていた人物だとされています。
朝日の記事では森山氏を「仕切り役」だったと言及しています。
関西電力の歴代トップらが、原発が立地する福井県高浜町の元助役(故人)から計3億2千万円分もの金品を受け取っていた。元助役は原発関連の仕事を調整する「仕切り役」とされる。
『(時時刻刻)原発マネー、不透明な渦 工事発注先→元助役→関電会長らへ3.2億円』 朝日新聞デジタル 2019年9月28日
実際にどのような「仕切り」をしていたのでしょうか。
それについては長周新聞(共産党の準機関紙と言われるが汚職の時の筆致は素晴らしい新聞社)が非常にわかりやすくまとめてくれています。
昨年1月に金沢国税局が高浜原発や大飯原発の関連工事を請け負う高浜町の建設会社への税務調査に着手したことで、これらの会社から工事受注に関係する手数料として森山氏に約3億円の資金が流れていたことが発覚した。
『関電幹部の袖下に3億円 キックバックで還流する原発マネー 収賄で逮捕されて然るべき』 長周新聞 2019年10月1日
要するに森山氏は関西エリアの原発の工事を請け負った建設会社(吉田建設)がその発注に対する手数料として3億円拠出したのを受け取り関電内で差配していたということです。
さてこの事件の概要を聞いて1つの感想が浮かぶでしょう。
「ここまで綺麗な汚職もない」と。
関電もですし、発注した建設会社もですし、森山氏もですがとにかく登場人物が全員悪党なのです。
関電問題から見える政治腐敗
さて、登場人物にとにかくまともな人がいないということをわかっていただいた上で記事を進めます。
実は腐敗しているのは関電や建設会社だけではありません。
政治権力です。
そう言える理由としてなぜか行政の傘下にある検察権力が全く動かない点が挙げられます。
もちろん今の段階でこのキックバックの件を贈収賄として逮捕する容疑が固まっていないから動いていない可能性もあります。
しかしながら、少なくともこの一件は建設会社に対する税務調査から明らかになった事件です。
ということは、とりあえず脱税でまずは豚箱にぶち込めばいいのです。
その上でさらに容疑を積み上げればいい話なのです。
脱税の意図があったと思われる根拠には3億円以上と言われるキックバックの受け取り方からも推測が可能です。
注目すべきは金品の内容だ。7831万円という半端な額を渡された人もいれば、米ドルで渡された人もいる。さらにスーツ、金杯、金貨、小判、金の延べ棒などが渡されたという。
『関西電力の役員「金の延べ棒」受領に隠された脱税の可能性』
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191002-00010011-flash-peo
金などの非現金で渡されていたとあります。
現金だとバレやすいという考えが強くあったのだと思われます。
これが黒でなければ世の中の脱税など何も取り締まれなくなります。
なお小ネタですが、社長の会見での言葉が非常に面白いのをご存知でしょうか。
「お菓子なのかと思っていたら、下に金貨があって驚いた」ですって。
藤田まこと主演で映画化していいレベルです。
少し話が逸れたので戻しましょう。
改めてですがここまであからさまな脱税と収賄が濃厚なのに検察権力が動こうとしないというのが関電問題の非常に大きな問題の1つです。
しかも、関電経営層がこれを見越しているのではないかというところが問題のやばい部分を物語っています。
例えば、記者会見で関電側は「不適切だが違法ではない」ということを連呼していました。
ここまで何度も言い切れるということは検察が自らの逮捕に動かないであろうことを見越しているようにも見えないでしょうか。
実は同様のことを元検察の郷原氏も述べています。(https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20191007-00145654/)
脱税だと指摘されて「もう返したから問題ないもん」という論法や「一時的に保管していただけ」という論法が今関電側では繰り出されているわけですが、繰り返しになりますがこれが犯罪にならないならば泥棒も取り締まることができません。
日本は法治国家ではない三流国であることを自白していると言っていいでしょう。
原発に賛成することが「保守」「愛国者」だという考えの危うさ
改めてですが、今回の関電の一件はいくつかの深刻な事態を教えてくれるものでした。
まず、未だに越後屋顔負けの贈収賄が当たり前のようになされていたことがその1つです。
そして、あからさまな脱税および収賄が見えているのに全く動こうとしない検察から分かるように日本が法治国家と言えないことのが1つです。
さて、最後にもう1つあることを述べなくてはなりません。
それは「原発」の意義が本当は何もないのではないかということです。
というのも、これまで原発という発電方法は賛成派さえも福島原発の件などを受けてリスクのあるものだと認識してきました。
しかし、それでも原発は無くすべきではないと推進派は抗弁してきました。
その根拠には「電力安全保障の関係で使わざるを得ない」という論法だったり、「実はトータルで見たら火力より安い」という論法が生き延びていたように思います。
しかしながら、今回の一件は経営層たちが多額のキックバックを受ける「見返り」がなくては原発自体が推進できない代物だったという可能性を示唆しているのです。(デメリットしかない)
冷静に考えて、原発がいい発電方法ならばキックバックを渡してまでやる必要がない訳で、多くの住民の不安や反対があってもそれに対して説明責任を果たせばいいだけの話です。原発が市民にとって「妥当なもの」ではなかったと考えれば色々と点が線につながるのではないでしょうか。
さて、ここからは完全な妄想にお付き合いください。
ここまでくると私には背後に「政治家」の影を感じずにはいられません。
何故ならば、真ん中の章で述べたように収賄といわれるリスクを冒してまでここまで関係者が露骨な行動を取れたのは自分が逃げ切れるという確信があったとしか思えないからです。(森友事件の佐川氏のように)
興味深いのはここまでの大事件でありながら自民党が関電関係者の国会招致を拒否しているということが何かを物語っています。
日本共産党の小池晃書記局長は9日、国会内で記者会見し、関西電力の「原発マネー」還流疑惑について関電幹部の国会招致を自民党が拒否していることを批判し、「与党・政府の疑惑に対する認識そのものを正面から問わなければいけない」と訴えました。
『関電幹部の国会招致 自民拒否』 しんぶん赤旗 2019年10月10日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-10/2019101001_04_1.html
赤旗に限らずこのことは他のメディアも報じています。
自民党の森山裕国対委員長は9日、関西電力役員らの金品受領問題を巡り、八木誠会長が辞任の意向を固めたことに関し、同社役員らの国会招致に否定的な考えを示した。自民党はこの後、衆院予算委員会理事懇談会で、八木氏ら幹部7人の参考人招致を拒否する考えを伝えた
「自民、関電幹部の招致拒否「民間企業の不祥事で招致をした前例はない」SANSPO.COM 2019年10月9日
https://www.sanspo.com/geino/news/20191009/sot19100912430014-n1.html
常識的に考えて、呼ばれて不都合でないならば国の電力政策にも関わる不祥事を流していいという判断はくだりません。
しかも、自民党は原発を推進する立場です。
原発政策がクリーンなものであるとして、それに対して私のように疑義が向けられるネタを関電が作った訳ですから本来であれば怒り心頭でなければおかしいでしょう。
ほぼ間違いなく自民党の有力議員がこの関電キックバックの事件に絡んでいるでしょう。
おそらく今後自民党議員への怪しい金の流れが報道されていくのではないでしょうか。(すでに世耕氏と稲田氏について報道されていますが)
関電問題を通して、日本という国が根本的にダメになっているのだということをこの目に刻んでいきましょう。
リクルート事件以上のやばいにおいが私にはしています。