前回の記事は非常に多くの方に読んでいただけました。
誠にありがとうございました。
いくつかこの反応を見ていて感じることがありましたので、本日はそれを踏まえた記事を書かせていただきました。
今テレビで嫌韓一色に染まっている理由にも繋がってくるかと思います。
「差別」と「批判」の区別は本当についていなかった
大きく二つ学べたことがありました。
まず一つ目ですが、今更感もあるのですが「差別発言をするな」といったら、そのコメント欄で差別発言をしていただくというある種香ばしい光景を得られたことでした。
「お前は本当に日本人なのか?」と何度かかれたことか。(2chでもスレが立てられていたのですが、そちらも山盛りの差別発言でした。)
本当に差別と批判の区別がついてないんだなあと感じた次第です。
ところで、これら差別発言のオンパレードを読みながら思い出したことがありました。
アドルノ・ホルクハイマーが『啓蒙の弁証法』で述べたことです。
彼らは近代が世の中を進歩させる上で「理性」が必要不可欠なものであったことを認めつつも、一方でむしろ危険な因子を生み出していたと強く指摘していました。
その筆頭例に彼らがあげたのが反ユダヤ主義でした。
「ユダヤ人が裏で世界を支配していて我々を苦しめている」という陰謀論です。
もちろんその詳細は極めて非論理的なものだったわけですが、しかし当時はそれに騙された人が多くいたことで大量虐殺が実際に起きてしまったわけです。(ナチスは胸ぐらを掴んでユダヤ人を殺させたわけではありません)
理性で合理的な判断なるものを取り入れ進歩したならば、このような下劣な陰謀論に騙されることはなかったでしょう。しかし、現実はそれに拍手喝采をしたのです。
この「反ユダヤ主義」と最近の嫌韓騒ぎは大差が無いのです。
というのも、実際に当時の反ユダヤ主義ではユダヤ人へ差別的な対応を取らなければドイツ人でないと言ったような趣旨の叩きが横行していました。これはまさに、韓国への叩き方に意義もうしだてすれば「工作員」「反日」と呼ばれるのに同じです。
ジェノサイドが起きるとまでは思わないにせよ相当危険な思想が社会に蔓延しているということだけは言わなければなりません。
ちなみに誤解なきように補足すると、私自身は韓国の肩を持つわけでもなければ、むしろ韓国にもまずい点はあったと考える立場です。
実際、韓国が正しいと一言も書いていませんでした。ネット世論の韓国叩きがきもいという文脈でしかなかったのです。
メディア的にも美味しい韓国叩き
もう一つ韓国叩きから学べたことがありました。それはこれがメディアにとって「旨味」があるということです。
実は、前回の記事がバズったことで私のブログは過去最高のデイリーアクセス数を記録しました。
普段の十倍くらいはアクセスがいきました。たまにバズることはあるもののここまでのバズり方には驚きました。
ただし、どうやらこれは単なる偶然ではないようです。
実際下記のような記事がネットでも飛び出しています。
視聴率とれるからとりあえず、韓国関連の報道を流しとけという不文律が今やマスコミの中にあるとのこと。
『過熱する韓国報道、底流に何が 情報番組「視聴率高い」』朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM9530P9M95UCVL006.html
『週刊テレビ評:嫌韓ワイドショー 憎悪あおり「数字」得る愚行=金平茂紀』毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190907/dde/018/070/004000c
私自身このニュースを見る前に感じる瞬間がありました。
たまたま先週の平日が非番だったので行った温泉スパで何気なくテレビを見ていたのですが、どのチャンネルも午前中から午後に入ってもずっと韓国に関してばかり報道をするのです。
「ずっと」というと「いやそれは大げさでしょ」と思われるかもしれませんが、本当にグッデイにひるおび!などチャンネルとわずずーっと韓国に関する報道を流していたのです。
しかもその報道内容がひどいのです。
百歩譲って今までのような輸出管理の一件ならまだ許すにしても、法務大臣候補の息子が大学を不正入学したという話を永遠と報道していたのです。
おそらくこれまでの韓国関連ニュースに視聴者が飽きたのだろうという判断から他のニュースを引っ張り出してきたのだと思われます。
(輸出管理よりも裏口入学の話題の方がわかりやすいというのもあったかもしれませんが。)
ところで素朴な疑問として、外国の法相候補の息子の裏口入学というトピックを何時間も取り上げるほどニュースバリューがあるのでしょうか?
私にはとてもそうとは思えません。
仮に「スキャンダル」というカテゴリーで選ぶのならば同時期に明らかになった自民党の上野議員が録音テープで裏を取られている口利き疑惑の方がどう考えても「日本国民」にとってニュースバリューがあります。(しかし、こちらはほとんど取り上げなし)
『口利き疑惑で辞任 上野厚労政務官がコーヒーぶちまけ金銭要求』
https://bunshun.jp/articles/-/13598
そうまでしてでも、報道し続けたのは理由が一つしかありません。
隣国の裏口入学の方が「数字が取れる」からです。
ここで私はテレビ局を叩こうというつもりはありません。
テレビ局が視聴者の関心があるものを提供するのはある種当然です。
注目したいのは、そのテレビ局の利害に叶う「視聴者のニーズ」について「韓国」関連の話題が他を圧倒しているということなのです。
今の話を補強するために少し付け加えます。
なぜなら、「韓国」だからテレビで長く報道し続けているわけではないという意見があるかもしれませんからね。
しかし、これが「アメリカ」や「ロシア」であれば長時間ワイドショーで報道し続けることはありません。
なぜか?
その根拠を見つけることは難しくありません。
例えば、韓国を叩いている方々の多くがいうこととして「約束を守らない国家」というのがありますが、韓国が仮にそういう事案があったにせよアメリカやロシアはどうなんだと考えてください。
ロシアについていえば、北方領土返還をチラつかせながら結局は3000億円をぼったくった上に、一島の返還すらもする気がないことが近頃プーチンから明らかにされました。「日本側の立場に立てば」約束を守れと激昂しても当然ですし、ニュースで連日取り上げて叩いてもいいものです。
「我が国固有の領土」と言い続けてきましたからね。
アメリカに関しても幾度となく梯子を外されながらもそれが特集されることはありません。
結局、「韓国」じゃないとダメなのです。
耳目をひくにはそれ以外ないのです。
韓国を叩きまくった代償
ちなみに「韓国」を叩いて楽しんでいる方々はこの叩きまくった代償に全く気づいていません。
おそらく意図的に自己欺瞞をしているのでしょうか。
実際、「この国と付き合っても何の利益もないから断行するのが良い」と言い放つ人が少なくありません。
しかし本当にそうでしょうか。
インバウンドで稼ぐと言っていた安倍政権の成長戦略ですが、韓国向けの便が大幅に減ることは影響がないと言えるのでしょうか。
下記は日経の記事ですが、便がかなり減るとあります。
『関空「韓国線、週64便減る見通し」 日韓関係悪化で』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48510990T10C19A8LKA000/
大韓航空、日本6路線で追加運休 両国関係悪化で
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48771270Q9A820C1910M00/
もしこの飛行機に韓国の方が一人も乗っていないのであれば、自称愛国者の方々の「デメリットはない」という主張は正しいでしょう。
しかし、そのようなことはありません。
インバウンドを期待している日本の産業もダメージを受けることは避けられません。
結局、韓国叩きの盛り上がりが教えてくれたことは、それは「花火」のように一瞬の楽しみと引き換えに、実利的言えば目に見えて実害が出てきているということなのです。