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仕事について

市場価値を高める方法が知りたい人に言いたい一つのこと

更新日:

これからは稼ぐ力がないと人も企業も生きていけない!

市場価値を高めなければこれからの時代生き残れない!

 

 

最近本屋のビジネス書なんかに目を向けるとこういう記事をたくさん見かけます。

多くの仕事が人工知能などによりなくなると言われたり、グローバル化が本格化することで海外の人との競争にさらされるなどとも言われたりで多くのビジネスマンが危機感を感じているかもしれません。

 

市場価値の高い人や企業にはどうすればなれるのか。。。

そういう問題意識を持っている人はたくさんいるでしょう。

 

そこで今日は、この市場価値の高くなるためにはどうすればいいのかについて記事を書かせていただきました。

 

市場価値の意味

そもそも「市場価値」という言葉について共通の認識をもった上で、市場価値の高い人や企業について考えていきたいと思います。

一般的に広く「市場価値」という言葉が使われる時、多くの人がイメージするのは、マルクスが述べたところの「交換価値」という概念と近い意味があります。

 

マルクスの言う「交換価値」はどう解釈すべきはいろいろありますが、一般的には「あらゆるものはそれ単独で価値を持つのではなく、交換されるという場においてのみ価値を有する。」という理解が広くなされています。(相対主義)

 

下記は『資本論』の冒頭にある有名なテクストです。

商品の交換関係に於いては、交換価値なるものは使用価値から全く独立したものとして現れることは、我々のすでに見たところである。然るに、労働諸生産物の使用価値から現実的に抽象してしまうと、上に限定するごとき価値が残る。故に商品の交換関係たる交換価値に現れるところの共通物とは、即ち価値であるということにある。

『資本論』カール・マルクス(2017)冠清堂

 

言い換えれば、マルクスの考えに基づけば資本主義社会では交換されないもの、交換が困難なものは「価値がない」と見なされるのです。

 

さて、簡単にではありますがまとめましょう。

今巷で話題の「市場価値たかめよ」や「稼ぐ力をつけよ」といったバズワードはひとえに「自分の市場における交換価値を高め高い収入を目指せ」という意味ということです。

 

「市場価値の高い人=高額な報酬を得ている人」とは限らない

今の話を聞いて「そんなことを今更くどくど言わなくてもわかっているよ」と多くの方にとってはなっているかもしれません。

 

ただ、ここからが本題です。

私はカール・マルクスやアダム・スミスたちが定義したようなこの「交換価値」には致命的な盲点があると考えています。

それは「多額の報酬を得ている人=交換価値がある人」とは普遍的に言えないということです。

 

その錯覚にとらわれること自体が真の稼いでいる人たちの実態を見えなくさせるのです。

 

実際のところ一定ラインを超えた高収入を得る人というのは「稼ぐ力」からイメージされるような競争力のある人間とは異なります。

 

本当に稼げる人というのは「市場」を作り出しているルール自体に働きかけを行い、自らに利益となるように変更を行う人です。

 

私の一貫した主張なのですが、「政治と経済は密接不可分である」ということです。

「市場」なるものがそもそも存在することはありえず、「政治」を通して出来上がった「市場」を通して経済活動が行われているのです。

 

その例をいくつか見ていきましょう。

こちら有名かもしれませんが、ご容赦ください。

例にあげるのは世界で最も「市場価値」(時価総額)があるとも言われるグーグルです。

 

 

グーグルといえば新しいイノベーションを起こし莫大な利益を上げている会社というイメージが一般的です。

もちろんそれは間違いではありません。

 

しかしながら、彼らの最近の彼らの利益の出し方は少なくとも一部については変化しています。

最近の彼らは「買収」や「ロビイング活動」による権利取得・権利保護によるキャッシュの創出を積極的に行っています。

 

 

「買収」の方についてよく目先の金額に目が行きがちですが実は末節だったりします。

本当の狙いはその企業が持っている権利を取得することで競合他社を駆逐したり新規参入を妨害することが狙いであることが少なくありません。

 

2012年、グーグルという会社はモトローラ・モビリティというメーカーを買収しました。

グーグルがメーカー機能が欲しかったから買収したのかというとそうではありません。

 

その際、紐付いていた1万7000件とも言われる特許が彼らの狙いでした。

 

この買収で得た特許によりグーグルはサムスンやアップルと繰り広げていた特許戦争を有利に進めることができました。

 

グーグルがモトローラ・モビリティ買収を通して欲しかったのは権利買収だということはその後のレノボへの迅速な売却とその仕方にも現れています。

2014年にレノボへ売却されましたが権利関連はグーグルは今なお保持しているのです。

https://toyokeizai.net/articles/-/30412

 

他にも有名な例でいきますと闇の深い製薬メーカーなどもあるでしょう。

ファイザーなどはその筆頭例ですが、「プレベナー 一三」というワクチンにおいて40億ドルを超える稼ぎを得たと言われているのですが、この源泉は独占して製造販売できたことがあります。アメリカの医薬品はこういったものが数多くあり、随分と古い医薬品でも高い薬価を払わせられていることが少なくありません。

 

 

例はこのくらいにします。

 

今の例を通して私が述べたいことというのは、これらの企業を許してはならないと糾弾することではありません。

 

近頃は政治力で巨万の富を築いている企業が少なくないということです。政治力は市場での競争で勝ち取る利益とは比べ物にならない利益を自社にもたらしているのです。

 

有名企業の多くがお抱えの弁護士などをロビイストとして政治の世界に送り込み、自社への利益誘導を公然と行っているのです。

このロビイング活動に出す金額が研究開発への費用より数段多く支払っている企業も少なくありません。

 

参考までですが、下記サイトはアメリカにおける企業のロビイング金額が見れるサイトです。

https://www.opensecrets.org/lobby/top.php?showYear=2017&indexType=s

年毎にばらつきありますが、グーグルやアマゾンなどの名だたる企業が載っています。

 

 

もちろん権利保護自体が否定されるべきではありません。

しかしながら、過剰な利益追求のためにはなりふり構わない状況が加速し、多くの国民がその代償を払わされているという構図は喜ばしいものではありません。(多くの有識者が最近指摘している)

 

「競争」を資本主義の本質と考える人でさえこの現実をしばしば見落としがちです。

 

 

「市場」に対する誤解

一般的にイメージされる「市場価値」の高い人は確かにものすごい営業マンだったり、ものすごい影響力のある人だったりします。確かに実在しています。彼ら・彼女らはすごい。

 

しかし、彼ら・彼女らとは桁違いの富を得ている「本当に稼いでいる人たち」を見逃すべきではありません。

 

彼ら・彼女らはもはや「市場」なるもので競争していません。

「市場価値」などありません。

 

 

自分たちに都合のいいように「市場」を改変したり、ロビイング活動を通して既得権益に入り込んでいるだけなのです。

 

 

例えばソフトバンク社ですが以前ウーバーの筆頭株主になりましたが、あれは日本でのウーバー全面解禁を狙ったものではないでしょうか。(現時点ではタクシー業界に阻止されていますが)

 

もちろんタクシー業界自体もロビー活動をしているので一筋縄ではいかないわけですが、ウーバーの解禁でタクシー業界の既得権益を打破するという紙芝居とともに自分で既得権益を独占するシナリオはできるまでやってくると思います。

 

今後注目してみていただければ面白いかもしれません。

まあいずれにせよ「稼ぐ力」「市場価値」という言葉は本質を見誤らせます。

 

 

 

本当にイメージしているものと同じか改めて考えてみてもらえればと思います。

資本主義という言葉自体が幻想になりつつあると見えてくるかもしれません。「競争」で利益を出すというのが普通ではなくなってきています。

 

 

こくち

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