今や「モリカケ以外に議論することがあるだろ〜」という声すら聞こえなくなるほどに森友問題という言葉を聞くことがめっきり減りました。
しかしながら、忘れることなかれ。
森友学園にまつわる問題で決済文書の改ざんがあったのはつい十ヶ月ほど前の2018年3月です。
この問題はまだまだ決着をつけるまで風化させてはいけません。
結局、あれだけ騒いで起きながらなぜ九億近い土地が八億以上まけられたのかや決済文書がなぜ財務省により改ざんされたのかは明らかになっていません。
「モリカケはフェイクニュース」などとのたまう方もおりましたが、値引きの根拠自体がフェイクの方が明らかに可能性が高い。
さて、そんな森友学園の土地売買をめぐる疑惑ですが、いよいよ「確信」に近づいてきました。
本日は共産党および赤旗が陰ながらスクープした記事を参照しつつ、森友問題について新着記事を書きました。
森友問題とは何だったかーおさらいー
さてこのブログでは九官鳥のごとく森友問題について取り扱ってきましたが、今回初めて読む方もおられると思い、改めて森友問題とは何だったのかについて私なりにまずは簡潔におさらいを書きます。その上で本題に行きます。
すでに周知の方は次の章よりお読みください。
森友問題というのは一言で言えば「国有地という国民の財産が恣意的に不当に払い下げられたのではないか」という疑惑を巡る問題です。
具体的には、約9億6千万円とも言われる金額が8億円近くも値引きされ「森友学園」を経営する籠池氏に払い下げられたのですが、そんなに大幅な値引きをするなど正当性がないのではないかとある議員が疑惑を抱いたことから徐々にヒートアップして行きました。
問題の土地は、上空が大阪空港への飛行ルートに当たるとして、国交省大阪航空局が騒音対策のため保有していた小学校の建設用地(8770平方メートル)。土地の評価額は9億5600万円とされた。
『森友国有地問題、8億円値引きの算定根拠不十分 会計検査院、国会に報告へ』 産経デジタル 2017年11月21日https://www.sankei.com/affairs/news/171121/afr1711210040-n1.html
なお、この疑惑に対して安倍首相、麻生財務大臣、佐川前理財局長などを擁する行政府側のの言い分はこうです。
土地の販売後に地中に大量のゴミがあることが判明した。そこで、行政側としては撤去して現状復帰をしたいところだったが、森友学園の開校日が迫っておりとてもではないが撤去をすることが時間的に難しかった。そこで、行政側は特例的にゴミの量を算定し、それに該当する金額を販売価格から割引した。
「ゴミがあるから八億円の値引きは当然だ」という趣旨ですね。
ただ、この「ストーリー」が行政側の内部リークや日本共産党などの独自調査により次々に破綻したのです。
いくつか理由があるのですが、筆頭に来るものだけご紹介します。
すでにこのブログであげたものではありますが、不動産鑑定士による評価価格です。
実は、売却された土地の評価価格は専門家の試算では9億6千万円でも実は割安でさらに高い13億円程度だったと見積もったのです。
詳細は下記記事をご覧ください。
他にも実は籠池氏とのやりとりでゴミがあるというデタラメストーリーが随分と前から離されており、実際には撤去する時間さえあったという指摘などもあります。(行政側はゴミが捏造なのを知っていたが籠池氏はあくまでゴミがあると思い込んでいたようだが)
いずれにいたしましても、状況としては、時が進むにつれ「値引きの根拠」が鮮明になるどころか結局9億6000万円が大幅値引きされた根拠がどんどんなくなっていったというのが森友問題の概要です。
森友問題の核心部である「ゴミ」は捏造で決まり
さて、そんな「疑惑」が「確信」に変わる報道がこの度あったわけです。
それを本記事ではご紹介します。
地元大阪出身で森友問題における追求の急先鋒である辰巳孝太郎議員が真実に大きく一歩近づけてくれました。
野党側は吹田市内で記者会見を開き、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は「(国は)藤原工業が提出した試掘調査を根拠に新たなゴミが出ているとして8億2000万円も値引きしたが、藤原工業自身がでたらめだと認めた。国が値引きをした根拠が崩れた」と指摘し、今後の国会で追及していくと表明しました。
『地中ゴミ深さ根拠ない森友問題 野党ヒアリングに業者』 しんぶん赤旗 2019年1月18日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-18/2019011815_01_1.html
この記事について解説をします。
まずはゴミの「深さ」が言及されていますが、なぜ「深さ」が大事なのかから記載します。
端的に答えますと「八億円」という巨大な金額を値引きするにはゴミがちょっと転がっているくらいでは無理なんです。
それゆえに、大幅な値引きを正当化するには「ゴミ」が地中のかなり深くまでないと行けないのです。
具体的には地上から数センチではダメで数メートルはゴミだらけでなければこのような大幅値引きはあり得ません。
野党は、値引きの根拠として深さ3・8メートルからゴミが出たとした国の説明について、同学園が開校を計画していた小学校の施工業者「藤原工業」(吹田市)の藤原浩一社長に聞き取りをし、同社長がこれまで藤原工業側が国に示してきた地中ゴミの深さに根拠はないと述べたことを明らかにしました。
『地中ゴミ深さ根拠ない森友問題 野党ヒアリングに業者』 しんぶん赤旗 2019年1月18日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-18/2019011815_01_1.html
3.8メートルからゴミが出たから八億円値引きしたのは致し方ないというのがこれまでの政府側の主張です。
しかしながら、辰巳孝太郎氏が森友学園の施工会社である藤原工業という会社の社長に聞き取りをしたところそれがデタラメだと白状したのです。
これで、不動産鑑定士もデタラメだと認め、会計検査院(憲法において定められた国庫の支出入に関して監督する独立機関)もデタラメだと認め、施工会社もデタラメだと認めたのです。
私は総理の便宜供与があったとか忖度があったとかそういう話は嫌いなので、その手の主張には耳を貸しませんがこの赤旗の記事は相当重いものがあります。
少なからず、これまで正当性を主張してきた安倍首相を筆頭とする行政府は「なぜ大幅値引きされたのか」を説明する義務が生じなければ悪しき先例となります。
「疑わしきは罰せず」は本件には当てはまらず
ただ、残念ながら安倍首相の支持層にはこれでもなお届かないかもしれません。
藤原工業の供述がなくてもこれまですでにほとんど破綻していたのに下記のようなことを言い続けていました。
・辻元清美の野田中央公園の方が怪しい。あちらを報道しろ
・悪魔の証明を求めるな
・中国や北朝鮮などの脅威がある中でそんなことを議論している場合ではない
どれも全て「反論」になっていないのですが、正当性があるかのように装うタチの悪いものばかりです。
全て答えていきますと、1つ目については辻元清美が潔白かどうかは知りませんが、この話を持ち出した維新の某議員自体がいったんこの問題がデタラメだと認めたではありませんか。なのに壊れたオルゴールのように至る所で野田中央公園野田中公園としつこいのです。
さらに言えば、それを追求するにせよ森友問題を脇に置いていいわけがありません。
事実上不当廉売と確定したのですから。
続いて二つ目ですが、外圧を煽って内政を好き放題するというのはナチスを筆頭に腐敗した国家が度々利用してきたものです。
これも先のと同じで反論になっていなくて森友問題がどうでもいいの理由づけには全くなりません。
両方議論すればいいし、事実議論されています。ニュースでは一部しか報道されていないため森友ばっかりやっているという印象を持つ方がいるのでしょうが、実際の国会を一度でも見ればめちゃくちゃ色々なトピックを議論しています。委員会にまで渡れば相当な時間防衛についても議論されています。
「偏向報道」と騒いでいる側が「偏向した受け取り方」しかしていないという笑えないことを示してくれる象徴的な発言とも言えません。
そして、最後の「悪魔の証明」理論(やっていないことを証明することを意図するとされる)ですが、これは一見尤もらしく見えるため前二つ以上に厄介です。
しかしながら、「悪魔の証明」が意味する「無罪推定の法則」というのは行政には認められていません。
むしろ行政の側には国民から税金を頂戴している以上クリアにどういう使い方をしたかを一円に至るまで説明することが義務付けられています。
「無罪推定の法則」はあくまで裁判で被告人の人権保護を目的として現れたものでしかなく、行政には疑惑があれば徹底的に多くの人が理解するまで説明する義務や情報開示義務が生じます。
それにもかかわらず、リクエストした文書が黒塗りだったり、何ヶ月待っても文書が出てこなかったり、文書が改ざんまでされたりと行政がデタラメ過ぎるんです。
本件の「ゴミ」の件でも、正当性を押し通すために一枚の写真を「あたかも複数箇所で撮ったかのように偽装して」報告書には添付されていました。
今の行政に説明責任を求めてはいけないとすればもうそれは北朝鮮や中国と変わりません。
民主主義国家であるならばこの問題は間違いなくまだまだこれからです。
以上となります。
過去の改変は二つの理由から必要とされる。ひとつは補助的な理由で、いわば予防策である。・・・・比較の基準を有さないがために、現在の状況を黙認している。それ故、・・・丁度外国との接触が断たれねばならないのと同様に、過去からも切り離されなければならない。なぜなら、彼は祖先よりも恵まれた生活を送っており、物質的な快適さの平均水準も絶えず上がり続けていると信じる必要があるからだ。
そして、現実がそうでないとすれば、事実は改変されなくてはならない。
『1984』ジョージ・オーウェル(2009)ハヤカワepi文庫 p320