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時事

2018年に再燃した大阪都構想の住民投票を前に知っておきたいこと

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年の瀬の祝日ですが、いかがお過ごしでしょうか。

今日は、昨日今日とニュースが盛んに行われている大阪都構想について取り扱います。

 

3年ほど前に住民投票にて否決され橋下徹氏の政界引退の引き金となって以来3年ぶりくらいに話題になっていますね。

 

例えば、毎日新聞の記事では以下のように書かれています。早ければ2019年の統一地方選(4月)に合わせて知事と市長のダブル選を行い大阪都構想への民意を仰ぐとのことです。2018年の今の段階でいうということは住民投票も2019年のうちにやるくらいのつもりではないでしょうか。

来年11~12月の任期満了に伴う大阪府知事と大阪市長のダブル選が、前倒しされ、来年4月の統一地方選と同日選となる公算が大きくなった。

『大阪知事・市長、辞職意向 都構想巡り 統一選とダブル選か』毎日新聞 2018年12月24日

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20181224/k00/00m/010/001000c

ところで、なぜ知事と市長を辞めないといけないのでしょうか。

その背景を少しお話しします。

 

実は、大阪維新の会は大阪では人気があり第1党なのですが、単独で過半数を押さえているわけではありません。

それゆえに、主導権は握れるもののと決め事の多くで会派を組む必要があります。

 

しかし国政と異なり自民党とは対立関係にあるため、公明党と長らく共闘してきました。

 

ただ、大阪都構想の住民投票実施時期については公明党とも合意が取れずこのほど決裂したようです。

 

こうなれば大阪維新の会に残された道は一つで、「単独過半数を選挙でとって大阪都構想の住民投票を発議する」しかありません。

その本気度を伝えるために自らの首を知事と市長はかけてはっぱをかけている訳です。

関係者によると、松井知事、吉村市長ら大阪維新の会と、公明府本部の複数の幹部らが今月21日に会談し、都構想の住民投票の実施時期について協議したが、物別れに終わった。松井知事らは府・市議選がある4月7日と同日選になるよう、知事・市長を辞職し、住民投票実施の是非を争点にする狙いがあるが、他会派からは強引な手法に反発が出るのは必至だ。

『大阪知事・市長、辞職意向 都構想巡り 統一選とダブル選か』毎日新聞 2018年12月24日

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20181224/k00/00m/010/001000c

 

ところで、あなたは大阪都構想がどういうものかご存知でしょうか?

2015年当時は風のようにやってきて去っていったイメージの人も多いのではないでしょうか。

当時、橋下氏が語る内容に何か「期待感」のようなものを感じていたという理解に留まるかたも少なくないのではないでしょうか。

 

事実私自身が2015年当時はその程度の理解でテレビを見ていました。

 

しかし、統治機構を大きく変える大阪都構想は「なんとなく良さそう」で選んでいいものではありません。

熱が高まってくるまでに今やっておくべきは過去の「検証」です。

 

つまり、大阪都構想というものがどういうものでそんなメリットだらけのいい話なのかといったところを見ておく必要があるのです。

大阪都構想とは何かをわかりやすくーメリットを中心にー

さて、まずは2015年の大阪都構想がどういうものだったかをなるべくわかりやすく記載した上で本題に入っていきましょうか。

 

その前に少しだけそもそもの話をしておきます。

大阪都構想というものの実像がテレビで度々報道されたにも関わらず理解が深まっていないのはなぜかという話です。

 

前回否決されたのは「理解が深まらなかったからだ」という意見が双方の陣営からでるほどでしたからね。

実は状況が理解できないのには明確な理由があります。

 

その理由は大阪都構想というものが賛成派と反対派からの「見方」により大きく解釈が異なるからなのです。

賛成派はメリットだらけの政策であると語る一方で、反対派はデメリットしかない愚策だと述べる訳です。

 

 

その上で、あえて大阪維新の会という大阪における主流派の見方で端的に大阪都構想を説明します。(提案してきた側の説明を先に聞いた方がいいでしょうし)

大阪都構想というのはわかりやすくいうと、「大阪市と大阪府が双方存在することで意思決定が遅くなったり、双方がそれぞれに行う公益事業がかぶることで大きく無駄が生じたりといった二重行政状態のない効率良い財政運営をする構想」です。

 

実際、日経新聞の調査でも明らかになっていますが賛成派はここに書いたように「二重行政が解消されるから」というものを2番目に挙げています。「思い切った改革が必要だから」というのも二重行政状態の解消とニアリーイコールなところもありますので、双方合わせると大阪都構想賛成派の8割程度がこの理解だとお分かりいただけるのではないでしょうか。

『大阪都構想、有権者の賛否拮抗 日経・テレビ大阪世論調査 』日本経済新聞 2015/4/30

https://www.nikkei.com/article/DGXLASHC30H2G_Q5A430C1000000/

さて、メリットについて抽象的な話だけでなく大阪維新の会が発表する具体的なメリットも見て見ましょう。

 

大阪都構想に関する公式ホームページでは「初期投資が600億円かかるものの財政効果が4000億円はでる」と断言しています。

都構想は600億円の初期投資をかけて児童相談所、福祉局等の役所組織を5つに増やして住民サービスを強化すると同時に、ムダな二重行政は無くして、初期投資を大きく上回る4,000億円以上の効果額を生み出す改革です。この制度設計や数字は役所が正式に作成したものです。さらに経済効果額は数兆円以上と言われています。もちろん税金や公共料金が上がることもありません。(下線は引用者。黒字は引用元)

大阪都構想の公式ホームページより

http://oneosaka.jp/tokoso2015/

しかもそれは「役所が正式に作成したもの」だから維新の会の側の独断論ではないとも書かれています。

 

これだけ見ると確かに「メリットしかないやん」となりますね。

これに反対する人は「何かよほどの既得権益があるのではないか」もしくは「相当なバカなんじゃないか」にしか見えなくなってくるのです。

 

おっしゃる通りそんなメリットだらけならば大阪都構想が否定される意味がわからないですよね。

ただ、反対派は冒頭に触れましたように全く異なる見方をしています。

 

 

大阪都構想のデメリット(財政効果の試算がデタラメ?関係のないものを入れている?)

大阪都構想に反対する自民党や共産党など多くの政党は全く違うようにこの構想を見ています。

誤解を恐れずに言えば大阪都構想はデメリットだらけの愚策だと考えています。

 

私も客観中立を気取るつもりはないのでここで立場を書いておきますと都構想には大反対です。

 

なぜか?

これは端的に言えば大阪維新の会が嘘ばかりついているからです。

 

例はいくつもあるのですが、その筆頭が先の「財政効果が4000億円でる」というもの。

2013年当時の日経の記事を少し引用します。

大阪市を特別区に分割して大阪府とともに再編する「大阪都構想」を巡り、府と市は9日、具体的な制度設計を議論する法定協議会に、都構想で節約できる「効果額」は976億~736億円との試算を盛り込んだ事務局案を提示した。二重行政解消や人件費削減による効果としているが、都構想と関連の薄い項目も含んでおり、今後議論を呼びそうだ。

『「大阪都」の節約効果、最大976億円 府市が試算 「年4000億円」目標に遠く及ばず』日経新聞 2013/8/9

https://www.nikkei.com/article/DGXNASHC09036_Z00C13A8AC8000/

日経新聞は何をいっているかというと、大阪維新の会がホームページで発表している大阪都構想の財政効果として当初言われていた「4000億円捻出」というのが大嘘だと言っているのです。幅は持たせていますが、4分の1以下の出力しかないとこの記事では書かれています。

加えて、最後に書いているように「都構想と関連の薄い項目も含んで」この金額のようなので、本当はさらに少ないのではないかとここでは指摘されています。(具体的に挙げられていたのは今はすでに行われましたが地下鉄の民営化やごみ収集の民営化などと言われています。)

 

さらにこの後別の調査ではこれよりもさらに圧倒的に低い1億円程度しかないのではないかという資料も出されました。

初期投資がシステム改修や庁舎設計に600億円と維新側もかかると認めていましたので、効果額が下がれば下がるほど「単なるデメリットしかない改悪」という反対派の筋はかなり通ってきます。

 

なお、橋下氏はこのような大阪都構想反対派の批判について追加で反論を加えました。

2015年の住民投票の前段階で新しく出てきたのは「2762億円」という効果額です。

 財政シミュレーションでは平成29年4月の特別区設置から45年度までの17年間の累計で、約2762億円の財源が新たに生まれ、財政運営は可能としている。

『財源は確保できるか…財政効果も真っ向対立』 産経新聞 2015年5月15日

https://www.sankei.com/west/news/150515/wst1505150019-n1.html

しっかりとシミュレーションをしているので「間違いない」と橋下氏は述べた訳です。

 

ただ、このシミュレーションに大きく批判をさらに加えたのが反対派です。

だが都構想に反対する自民党、公明党、民主党、共産党は再編効果額の大半は大阪府市体制でも行える改革の効果が含まれていると反論し、その代表格として市営地下鉄の民営化を挙げる。さらに2762億円の「財源創出」に市有地の売却益を組み込んでいることも不適切と批判している。

シミュレーションのベースとなっている市の財政収支推計も不確実性をはらんでいると指摘。例えば、大阪市が続いた場合の34年度の収支不足額についてみてみると、24年の発表資料では179億円としていたが、25年は221億円、26年は36億円、27年は65億円と大きく変動している。

『“損得”真っ向対立 橋下氏「2762億円の財源創出」、反対派は「まやかしだ」』 産経新聞 2015年4月30日

https://www.sankei.com/west/news/150430/wst1504300091-n2.html

反対派は何を言っているかというと、2762億円という橋下氏が述べた財政効果は「シミュレーションが甘すぎる」というのと「関係のないものを入れるな」ということです。

最後に〜大阪都構想反対派を「既得権益」とみる方へ〜

さて色々見てきましたが、時計を現在に進めましょう。

 

冒頭のニュースを鑑みると2015年に実施した大阪都構想に手を加えたものがおそらく2019年には出てくるでしょう。

そして、また賛成派と反対派に別れた議論は先の住民投票の議論を見てもまた現れるでしょう。

 

 

さてそういった中で我々は大阪都構想という騒動にどう向き合うべきなのかについて2点最後に書いていきます。

まず申し上げたいのは「改革への期待感」とか「二重行政の解消」などの漠然としたイメージに流されるべきではないということです。

 

 

そして、二つ目が何よりも大事で、「財政効果」という数字遊びは賛成派反対派双方に課題はあると思うので、明細をチェックし、どちらが人間として信頼できるかを考えていくということです。

 

具体的には前回のような「地下鉄の民営化」を筆頭とした都構想でなくてもできることが明細に加えられていないかと言ったことのチェックです。

なぜこのことが大事かというと「意図的に騙そうとしている」集団が語るメリットは嘘がたくさん含まれている可能性が高く、そしてそのような政策に乗っかれば後からデメリットが大量に出てくることが容易に想像されるからです。

 

ご存知、大阪の市営地下鉄は大阪都構想をしていませんが今年2018年に見事民営化されました。

このことは都構想が地下鉄民営化の必要条件でなかったことを示したわけです。

 

財政効果の粉飾決算だったと言っていいでしょう。

 

 

前回のことを踏まえれば我々としてはより厳しい目で大阪維新の会が提起してくるものを見ていく必要があるでしょう。

 

p.s

またいかがわしい試算が出てますね

 大阪都構想が実現すれば経済効果は10年間で1・1兆円――!? 大阪府大阪市が委託した研究機関の試算に自民、公明両党が「恣意(しい)的だ」と反発を強め、協議が停滞。しびれを切らした松井一郎府知事は16日、本来の議論の場とは別に協議会合を強行開催する方針だ。

『大阪都構想「経済効果1.1兆円」本当か 警戒する自公』 朝日新聞デジタル 2018年11月16日

https://www.asahi.com/articles/ASLCG43H9LCGPTIL00P.html

 

こくち

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