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時事

桜を見る会の問題は何か~公職選挙法や政治資金規正法違反という疑惑について~

更新日:

今ワイドショーやネットで「桜を見る会」というワードが非常に急上昇しています。

 

その理由は、「各界の功労者を招待」という立て付けをとっていながら実態はそのほとんどが地元支援者に対して税金を使ってもてなしていたのではないかという疑惑が濃厚になっているからです。

 

 

これまでにも多くのスキャンダルがあった安倍首相ですが、今回は今まで以上に首相自身を追い込むのではないかとさえ言われています。

さて、この「桜を見る会」の問題点は何かということについて簡単にではありますが本日はまとめました。

 

 

「桜を見る会」問題の本質

まず、この「桜を見る会」の問題がどこにあるのかについて手短に述べたいと思います。

 

結論から述べますと、「税金を私物化したこと」です。

非常にシンプルです。

 

もう少しだけ具体的に言いますと、「税金をつかって地元の支持母体を招待しもてなしていた」ということです。

 

安倍首相は公務員の一人ですから「全体の奉仕者」でなければなりません。(憲法15条)

それにもかかわらず、国庫にある共有財産を私的に流用したわけです。

 

 

さて、この「桜を見る会」に関わる問題について少し誤解している一部世論がありました。

こういったものに惑わされないようにここで傾向と対策を書いておきます。

 

 

大きくは二つです。

 

まず、首相が主宰する「桜を見る会」自体が悪いのではないかという問題提起をするものです。

そして、もう一つは、「5000万円」という金額を見て「それほど大したことがない」「これでもめてる人件費のほうが無駄」というコスパ論を展開するものです。

 

 

 

まず、首相が主宰する「桜を見る会」自体が悪いものとみなすのは一見問題視しているように見えて本質を捉えていません。

そもそもでいえば「桜を見る会」を開く分には問題ないのです。

 

税金を使うイベントですから「全体の奉仕者」として多くの人が納得できる形で参加者を選べば何も問題がありません。

 

問題は「各界の功労者をねぎらう」というたてつけをとりながら、山口県の支持母体を大量に選出していたところです。

著しく公平性を欠いており、自分の利益のために便宜を図ったと言わざるを得ません。

 

 

続いて、もう一つのコスパ論についてです。

こちらは論外なのですが、論外でないと思っている人がそれなりにいるので補足します。

 

 

この論理を尊重するならば、犯罪者が街にあふれかえるような社会を許容することになります。

 

 

なぜなら、この論理に基づけば「警察官を雇う人件費のほうが高くつく」という考えや、「強盗が現れたが警察官に捕まえにいかせるほどの金額ではない」という考えを生み出すからです。

 

 

そろばん勘定しかできないからこの問題点がみえなくなっているわけですが、我々の社会にはそろばんでは勘定できないけども極めて大切なものがあります。

 

 

その筆頭にくるものが「秩序」です。

 

 

この「秩序」というものは、「ルールを守ろう」とする意識を持つところにおいて成り立つわけですが、それに対する意識が低下すると社会は危機に瀕するのです。

 

 

のんきにそろばんだけはじいている人でさえもが、この「秩序」があるという前提にたっていることを忘れているのではないでしょうか。

 

 

例えば、目の前にナイフやピストルを持った人間がいてまともな商取引やそろばん勘定など成り立つでしょうか。

もちろんなりません。これはカツアゲ、脅迫であり、「取引」や「交換」は発生していません。

 

 

 

いわゆる市場原理主義者は元から自生的に「市場」というものが存在していると考えているためにこういう発想はできないでしょう。

 

だから目先の金額計算しかできない。

 

我々の秩序意識が崩壊したところではまともな社会交流は何一つ成り立たないという前提に立ち返ることがこの問題では求められています。

 

 

 

少しテーマが大きくなりましたが、話を戻しますと、安倍総理の「桜を見る会」でやったことというのはこの「秩序」を破壊する行為なのです。

 

公人であり、しかもそのトップである人間が率先して逸脱すれば社会に与える影響は「5000万円」以上のものがあるのです。

 

金額が1円だろうが5000万円だろうが500億円だろうが関係ないということは押さえる必要があります。

 

「桜を見る会」は民主党時代にもあったから野党にとってのブーメラン?

さて、この「桜を見る会」は並みの常識があればおかしいことだとわかるのですが、安倍首相の問題点をまともに指摘できない集団がいます。

 

その中でも特に見られたのが安倍応援団と言われる人たちです。

その彼らが得意げに述べるセリフが「桜を見る会は民主党時代もやっていたのだから野党はブーメランだ」というものです。

 

 

普通に考えれば、「ホームラン級のア○」なのですが、安倍政権の支持層には結構いるもんですから、一応この意見の問題点を述べておきたいと思います。

 

 

結論から申し上げれば、「民主党時代も桜を見る会をやっていた→だから自民党も問題ない」という考えは犯罪者の論理です。

 

 

スピード違反で取り締まられた人が「他の車もスピードを違反してた」と叫んでいる例がいい例ですね。

 

 

確かに民主党の鳩山政権時代には「桜を見る会」は開催されていました。

その際もそれなりの規模であり、精査すれば例に挙げたような「スピード違反」にあたる行為があった可能性はあるでしょう。

 

 

しかしながら、それだからといって今「スピード違反」にあたる行為をしている安倍首相が無罪放免になるのでしょうか。

仮になると本気で思っているならば、前述したように「秩序」意識が崩壊している人であると述べざるを得ません。

 

 

 

もしも「民主党時代も桜を見る会があったがそれは問題だったのではないか」と考えるならば、その当時も精査して問題があれば当時の関係者を検察が調べればいい話です。

 

二つスピード違反があれば、「どちらを取り締まるか」と考えるのはどう考えても不適切であり、両方気づいた段階で取り締まるのがが正しいのです。

 

これはイデオロギーや思想の問題ではなく、「まともかまともじゃないか」というそれ以前の話です。

 

 

「桜を見る会」は開催中止で解決する話か?

さて、本日11月14日に「桜を見る会」は今後中止にするということを政府は発表しました。

これで今の騒動を鎮火したいという思惑があるのでしょう。

 

「今後やりません」ということを念頭に発表したわけですが、これをもって収束させてよいのでしょうか。

そんなことはありません。

 

 

それどころか明確に法律違反の可能性が高いと言われており仮に該当するならば、罰を受ける必要があります。

 

該当するとされているのは公職選挙法と政治資金規正法です。

 

まず、公職選挙法違反の疑惑がたっているのは、ここまでにも触れてきた通り「桜を見る会」は「税金」で行われているのに、自分の選挙区のためにばらまいているのではないかというところです。

 

実際参加者には山口の安倍首相後援会の方々がたくさんいたとわかっており、共産党の田村議員の質疑ではその方々のブログがいくつも取り上げられています。

 

そして、もう一つが政治資金規正法の違反です。

この「桜を見る会」開催にあたって前日にホテルでの会食をしたそうなのですが、その会は参加費が5000円とされていました。

 

しかしながら、野党側がホテル側に問い合わせたところどれほど下のグレードの立食パーティーでも最低1万1000円はすると回答があったのです。(https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3830427.html

 

 

この差額は、ホテルが割引をしたわけではない以上「誰かが出した」としか言いようがありません。

 

 

仮にその「誰か」が安倍首相ならば政治資金収支報告書に書かなければなりません。

 

百歩譲って、安倍首相及び事務所が拠出していない場合でも政治資金規正法では「政治資金パーティー」に該当するものであれば、収支報告書に記載する義務があります。

政治資金規正法は、政治団体が会費を徴収して行う催し物を「政治資金パーティー」と規定し、すべての収支を政治資金収支報告書に記載することを義務づけています専門家は、催しを行った政治団体は、例えば会計を旅行会社などに任せた場合や利益が出なかった場合でも、収支や日時、参加人数などを記載するべきだと指摘しています。

「桜を見る会」 何が問題か  山口 News Web 2019年11月17日

https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20191114/4060004298.html

 

もちろん、政治資金規正法はザル法なので「間違ってたので直しました」といえば許されてしまうわけですが、総理の側には説明責任は少なからず発生します。

 

個人的には参加者名簿を1年以内に破棄していると言っていたので相当都合が悪い事情があると見ていますが、そこは時間を稼いで国民が忘れるのを待ついつもの作戦に出ることでしょう。

 

 

そういう意味では、我々一人一人がこの問題を単なるスキャンダルと考えたり「たかが5000万円」と考えたり、「他に議論をすることがあるだろう」と考えることなく、気長に野党やメディアの調査に関心を持ち続けることが求められるでしょう。

読書会を大阪とスカイプで開催しています。

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