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自己啓発書はなぜ無駄なのか?

更新日:

最近、本屋によく行くのですが平積みコーナー(人目につくところ)に行って驚きました。

以下のような本で溢れているのです。

  • 一流の人がやっている9つのこと
  • 稼げる人は休日に何をやっているのか
  • 成功者が実施しているマインドセット

 

みなさん「成功」したいようですね。

自己啓発本というのはそのように「成功」したい人にとってはバイブルだと言えるのかもしれません。

 

 

しかしながら自己啓発書を百冊くらい読んだ上で言いますと時間の無駄です。

上から目線と思われるかもしれないので自己弁護しますと当初はめちゃくちゃはまった人間の側です笑

 

反省ですね。

そしてこれを読んでいただいた方に同じ無駄をしていただきたくないという次第なのです。

 

今日は、自戒も込めてなぜ自己啓発書は時間の無駄なのかを書かせていただきます。

 

■目次

自己啓発書の底が浅い理由
自己啓発書が流行る社会の病
本当に自己啓発したい人がまず読むべき一冊

■自己啓発書の底が浅い理由

今でこそ偉そうに自己啓発本を無駄だと断言している私ですが、長らくその無駄な世界から抜け出すことができませんでした。

理由としては、「自己啓発本」が作る暗黙の前提が作り出した世界観に入り込んでしまっていたからです。

 

その暗黙の前提に気づくのに時間がかかったのですが、ここでは自己啓発書が暗黙の前提としていることを書いていきましょう。

これが見えてくることで、多少なりとも自己啓発所の作り出す世界観がいかに狭いものであるかが少し見えてくると思います。

 

結論から述べますと、「人生における成功」を「功利主義のカテゴリー」において定義していることに他なりません。

功利主義のカテゴリーというのは平たく言えば「儲かるのか儲からないのか」が良い悪いを規定している世界のことを言います。

 

それ以外の要素はone of themである可能性はありますが、最上位に来ることはありません。

 

有名どころでいうと千田拓哉さん、本田健さん、本田直之さん、潮凪洋介さん、中谷彰宏さんあたりはほぼほぼ間違いなくこの功利主義の哲学が貫徹されています。「豊か」や「成功」に対する認識が小異あれど同じです。

 

これらの著者は我々が無意識的に考えている根本的な疑問に一切答えてくれません。

「成功とは金持ちになることなのか。」

「成功とは良い女を獲得することなのか。」

「成功とは海辺でバカンスを好きなときに楽しめることをなのか。」

「成功とは渋谷区のタワーマンションに住むことなのか。」

 

私は当初これらの世界観を思考停止し受け入れる土俵に上がっていたため「これこそが人間たるものが目指すべき姿だ」とさえ考えていた節があります。ただそのように思考停止することは危険であると言わせてください。

 

もしかして自己啓発本にあなたが没頭しているのであればその可能性はありませんか?

本来であればうきあがるはずの上のような疑問を押し殺していませんか?

 

この前提を覆すことで自己啓発が抱える壮大な無駄が見えてくるはずです。

このような生き方を私は否定するつもりはありませんが、選択の結果このような選択をしているかがまずは重要です。

 

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■自己啓発書が流行る社会の病

そもそも論としてなぜ自己啓発書が流行ってしまうのか?

ここに次は目を向けてみます。

 

なぜなら、社会が自己啓発書をもてはやす背景がなければ読む意味のない無駄なものと分かるからです。

ではもてはやす背景とはなんなのか?

 

私が考えるに一つの解として多くの人が「なんのために生きているのかわからない」という状況に追い込まれていることと関係があります。

 

つまり、何も信じられず暗闇の中にいる個人こそ、自己啓発書にどハマりするということです。

 

このように私が考える背景には、ハンナ・アレントの影響がかなりあるのですが、彼女は『全体主義の起源3』で極めて興味深いことを述べているのです。。

内容がいかに荒唐無稽であろうと、その主張が原則的にかつ一貫して現在及び過去の拘束から切り離されて論証され、その正しさを証明しうるのは不確定の未来のみだとされるようになると、当然にそのプロパガンダは極めて強大な力を発揮する。このようなやり方は、過去が疑わしく現在が耐え難くなった危機の時代には必ず威力を揮うものなのである。この種のプロパガンダは全体主義運動によって発明されたものではなく、また科学的立証を熱烈に求める現代の大衆の傾向が現代政治一般において非常に大きな役割を果たしているのは事実であるから、他ならぬこの事実のゆえに人々はこの現象を、近世の・・・・科学盲信の徴候として説明しようとしてきた。

『全体主義の起源3』ハンナ・アレント(1974)みすず書房 p71

ここでアーレントが述べていることというのは、人間は自分にとって信じられるものが消失した時にとんでもないものに飛びつく可能性があるということです。これまでであれば所属する階級や宗教が自らの歩む道を規定してくれていました。

 

しかし、ニーチェやドストエフスキーの作風に現れるように近代以降我々は神と所属階級を失いました。

 

こうして暗闇でひとり立ち尽くす個人と成り果てるわけですが、導きなしで生きていけるほど人間は強くありません。

つまり孤立した個人にとってはいかなるイデオロギーであれ何にも寄りかからないよりはましだという発想になるのです。

これが極めて危ういのです。

徹底したイデオロギー的思考の内的強制は、このように隔離された個人を、永久不変の、徹底的に論理的であるがゆえにどんな場合にも先の見えた過程の中に引きずり込むことによって、この外的強制の効果を保障する・・・

『全体主義の起源3』ハンナ・アレント(1974)みすず書房 p292

 

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■本当に自己啓発したい人がまず読むべき一冊

宗教にはまっている人や慣習に重きをおく人に対して「化石人類」「気持ち悪い」と揶揄するのが我々の時代における一般的な反応でありますが、では「功利主義にハマることは高尚なのか」と言わざるをえないのが現代社会です。

 

今だからこそ言えますが、宗教や慣習を大切にしている人は本能的にそれを捨てることが人間としての進歩ではないということに気づています。

 

 

逆に、自己啓発書やビジネス書の方が我々の考えや行動を縛る上にそれに無自覚であるという意味で危険です。

だからこそ何やら薄汚い人間が出来上がるわけです。

 

私はお金を稼ぐことを否定しません。

しかしながら、いわゆる『金持ち父さん 貧乏父さん』的な考え方はなんとなく薄汚くて嫌いです。

これは好きか嫌いかの問題なので、好きなのであれば自己啓発書を読み続けるのが正解でしょう。

 

もはや宗派の違いです。

私は単純に「目的」と「手段」という功利主義のカテゴリーで人生を捉えることが嫌いなだけです。

ここに論理的整合性を求められても困ります笑(ソース出せ!はなしで)

 

 

 

最後に功利主義的側面で世の中を見ることに抵抗がある人にぜひ読んでいただきたい本があります。

 

ハンナ・アレントの『全体主義の起源3』と言いたいところですが、中々ハードルがあるのも事実です。

もう少し読みやすく真に我々を啓発する一冊を紹介します。

 

その一冊とはショーペンハウエルの『読書について』です。

この本は「あるべき読書の姿」について書かれた本ですが、おそらく歴史上トップラクスの読書論が書かれています。

読むことで伝統が生み出した正統と言われる思想を身につけなくてはならないという発想になるでしょう。

 

ショーペンハウエルは『読書について』で以下のように述べます。

したがって読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。その技術とは、多数の読者がそのつどむさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである。・・むしろ我々は、愚者のために書く執筆者が常に多数の読者に迎えられるという事実を思い、つねに読書のために一定の短い時間をとって、その間は比類なく卓越した精神の持ち主、すなわちあらゆる時代、あらゆる民族の生んだ天才の作品だけを熟読すべきである。彼らの作品の特徴を、とやかく論ずる必要はない。良書とだけいえば、誰にでも通ずる作品である。このような作品だけが、真に我々を育て、我々を啓発する。

『読書について』アルトゥール・ショーペンハウエル 岩波文庫 p133

 

真に啓発するのは自己啓発書ではなく、「良書とだけ言えば誰にでも通ずる作品」なのです。

これこそが真っ当であると聞いて「なるほどと思うか」、「いや違うと思うか」は個人差があるのは承知しています。

 

しかし、私の考えではこれほど当たり前のことを言っていながらこれほど本質を突いている読書論を見たことがありません。

 

今こそ歴史に名を残す名著を読み誤った論理の鎖に縛られないようにせねばならぬのではないでしょうか。

 

 

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