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学びについて

社会人が勤しむ勉強に物申すコラム

更新日:

「終身雇用は終わった!」

「これからはグローバルで活躍できないと生き残れない!」

「一人で生きていける稼ぐ力をつけろ!」

 

最近よく聞くのではないでしょうか。

今までは、「平和ボケしている」と言われてきた日本人ですが、こういった声もあり少し状況が変わってきています。

何やら危機感を感じているのか、周囲を見回すと勉強熱心な社会人が増えた気がします。

 

休日はビジネススクールに通うという人なんかも増えたりフリーランスになることを目指す人も増えたりといったところですね。

 

 

しかしながら、最近の社会人の「勉強」に極めて違和感を感じています。

 

 

その勉強は果たして良いものなのでしょうか?

勉強熱心な社会人に少しでも足しになれば幸いです。

 

■目次

最近はやる勉強法のおかしさ
我が国における思想をまずは
日本の正統派思想を学べる本

■最近はやる勉強法のおかしさ

冒頭に述べましたように、最近社会人では勉強熱心な人が増えました。

で、何を勉強しているのかですが、「稼ぐ力をつける」というコンセプトのものが多いのではないかと思っています。

あらゆる勉強がこの「稼ぐ力とつける」というスローガンに向かっているということですね。

 

この流れ自体はマッキンゼー出身の方やMBA取得者などがその社会人の勉強を先導しているというのが私の見立てです。

  • 勝間和代
  • 伊賀泰代
  • 大前研一

・・・・などなど本屋でも売れ筋と言われる人ばかりです。講演会やメルマガも大人気です。

 

つまるところ、マッキンゼーやMBA界隈の人というのはビジネスマンにとってオピニオンリーダーと言っても過言ではない立ち位置なのです。

 

さて個別にこれらの人を検証していくのは難しいので、この流れを作ったボスに焦点をあげます。

現代の社会人が勉強に勤しむ基礎を作ったのは誰かというと他でもない今書いた大前研一です。

 

「稼ぐ力」という言葉自体も大前研一自体が普及させた節もあるくらい影響力の大きな方です。

 

彼が何を今のビジネスマンに伝えているのかを少しここでは書いていきます。

大前研一の主張というのは私も著書をいくつか読んでいたこともありますが、終始一貫しています。

例えば、以下のような意見はその中核ですね。

だが、すでに本連載で何度も指摘しているように、グローバル企業の経営や世界標準の働き方を知らない政治家や役人に「働き方改革」などできるはずがない。それは、政府案に的外れな反応を示す経団連や連合の幹部たちも同様だ。

『上からの「働き方改革」は経営に対する冒涜である』 2017年9月27日

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-616045/

大前研一の主張はここにあるように日本というのは「グローバル企業の経営」や「世界標準の働き方」を知らない人が多すぎるというのがまずはあげられます。とにかくグローバル企業に対抗するためにはグローバルな標準にしなくてはいけないということですね。

 

そして、大前研一のおきまりの流れがあるのですが、こちらのようにグローバル社会に取り残される日本を煽りながら日本人に以下のように語りかけます。

世界のどこに行っても勝負できるようにする力をつけておき、いざとなったら世界へ出て行って世界企業で働ける準備をしておくこと。日本語以外に、1、2カ国語くらいは勉強して使えるようにしておくなど、国外で生活することも視野に入れて、今から様々な準備をしておくことが重要です。

『大前研一「日本が突入するハイパーインフレの世界。企業とあなたは何に投資するべきか」』2017年6月22日

http://www.zaikei.co.jp/article/20170622/379476.html

世界のどこに行っても活躍できるように外国語を見につけたり、「稼ぐ力」を身につけておけとのことです。

 

私も馬鹿みたいにビジネス書を読んでいた時期があるのですが、大前研一のこの主張の流れというのは先ほど挙げたような伊賀泰代や勝間和代にとどまらず多くのビジネス書で主流的な考えとなっているのです。

 

さて、このような人が流行らせる勉強法が日本人に根付くとどうなるかわかるでしょうか。

結論から申せば日本が滅びます。

 

朝日新聞だとか毎日新聞だとかを自称保守系論壇人は叩くことで盛り上がってますが、本当の反日というのはこのような人物とこのような人物が流行らせる考え方にあるのです。

 

 

大前研一の考え方に慣れていると本質を見失う可能性があります。

彼は、何を言っているのかというと「日本を切り捨てろ」と言ってるんですね。

 

「そんなの曲解だ」と思われるかもしれません。もちろん、直接的にいう人なんていないでしょう。。

しかし、反日が朝日新聞と同じ衣装をまとい運動していると思ったら大間違いです。

 

彼も含め「グローバルリーダー」と呼ばれる「成功者」たちは「東南アジアにとびだせ」「日本企業はもうだめだ」、、、いろいろ言っていますが、本質は先ほども述べたように「日本はもうだめだから切り捨てろ」と言ってるんです。

 

申し訳程度に「日本は生産性を高めなければならない」などとごまかしを入れていますが、本質は「いつでも日本を切り捨てられるように準備しておけ」と言ってるんです。

 

今多くの社会人がいる中で、特に勉強熱心な方ほどこのような考え方に毒され始めています。

もし大前研一のような前述の考え方に感銘を受けている人がいれば伝えたいことがあります。

 

それは「美しい」と言えるのかと。

 

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■我が国における思想をまずは

確かに彼らの多くは「金儲け」が上手なのでしょう。

だからこそ「稼ぐ力」を哲学としているわけです。

 

しかし、日本という国が今絶望的な状況にあるとして切捨てようというような発想を持つ人間が「美しい」と言えるのでしょうか。

これは好きか嫌いかの問題ですが、私は嫌いなんですね。

 

お国のために尽くしたいか尽くしたくないかという選択肢はありません。

「お国のために尽くす」のは義務だと考えています。だからこの手の考え方は嫌いなんです。

 

 

こういうことを言うと「軍国主義的」「右翼」「復古主義者」と言われるわけですが、それは曲解も甚だしいです。

ナショナリズムというともう戦後日本においては死語となりつつありますが日本の歴史上偉大な仕事を成し遂げた人が少なからず持っていたものです。

 

 

日本においては長きにわたってナショナリズムを象徴する言葉として「経世済民」という考え方が大切にされてきました。

その代表的な人物が昔であれば二宮尊徳や上杉鷹山、福沢諭吉などが挙げられます。

戦後であっても日本の少なくない経営者がこの「経世済民」という考えのもとビジネスをやっておられました。

 

 

彼らは、お金をやりくりしながら日本を豊かにしようとしたのです。

 

 

ここは日本思想史における代表的な人物福沢諭吉にも現れています。

ですから「金を稼ぐな」といった宗教家となるつもりはありません。

お金を稼ぐことは悪ではないという立場です。

 

 

しかしながら、現代というのはどうでしょうか。

自分の汗で飯が食えれば一人前という考えに汚染され始めてないでしょうか。

 

それは福澤が最も戒めたことです。

もちろん、独立して生活するのは、人間にとって重要なことであり、「自分の汗で飯を食え」とは、古人の教えではあるけれども、私の考えでは、この教えを達成したからといって、人間たる者の務めを果たしたとは言えない。この教えはただ、動物に負けていない、というだけのことだ。

『学問のすすめ』福沢諭吉(2009)ちくま新書

 

営利追求が至上のものとなり個人の自由が最善のものとなるにつれ「経世済民」的な考え方は死滅しつつあります。アメリカ的な個人主義が日本で正義となりつつあるのです。

 

 

それらを「勉強」するにつれ周囲の人々や国を豊かにするという発想が欠如しゆくゆくは国のために誰も働かないという「恩知らず」を量産するのです。

 

もちろんビジネススクールでも其のような考え方を指導していることはあるのでしょう。

ただ、主流的とはとてもじゃないですが、言えないのではないでしょうか。

 

なんか「古臭い」し、「ダサい」のかもしれませんね。

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■日本の正統派思想を学べる本

ビジネス書やビジネススクールの考え方を勉強している人にぜひ読んでほしい本があります。

それを読んだ上で大前研一と同じ考え方をするのでも遅くありません。

ただ、大前研一をはじめとした人たちを盲信するのは待っていただきたいのです。

 

以下にぜひ「稼ぐ力」に熱心なビジネスマンに読んでみていただきたい本を記載いたします。

  • 『論語』孔子
  • 『政談』荻生徂徠
  • 『二宮翁夜話』二宮尊徳
  • 『学問のすすめ』福沢諭吉
  • 『代表的日本人』内村鑑三

日本思想史の原点は孔子様の『論語』です。

其の論語を徹底的に学んだ伊藤仁斎、二宮尊徳や荻生徂徠の考え二触れてみることで日本型ナショナリズムの源流をたどることができます。

 

そして、それをもとに外国の脅威が迫る中で「開国」と「攘夷」を両立させた福沢諭吉と内村鑑三の書物はグローバル化が叫ばれる時代にあっては決して昔のこととは思えない形で語りかけてくるものがあることをお約束いたします。

 

以上お読みいただきましてありがとうございました。

 

 

 

 

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