今日たまたま国会中継を見ていたのですが、首相からとんでもない発言が飛び出しました。
それが「シンクライアント」という言葉です。これはこれまでの政府説明を破綻させるものの可能性が高いのです。
そのせいもあってかツイッターや2ch含め「シンクライアント」という言葉で大盛り上がりになっています。
ところで、シンクライアントと聞いてもITをかじったことがない方はピンと来ないかもしれません。
しかしながら、繰り返しになりますがこの「シンクライアント」という首相の発言が一連の「桜を見る会」に対する疑惑真相解明に繋がる可能性があるのです。
そして、そのことは「桜を見る会」にとどまりません。
これまで政府が「破棄した」といっていたものやデータが改ざんされたものなども全て元データにたどり着ける可能性が高いのです。
本日は、このシンクライアント発言がどのくらい重要なのかについて書かせていただきました。
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「シンクライアント」発言が飛び出したシーンについて
まず、「シンクライアント」発言が飛び出したシーンを振り返りましょう。
安倍首相は参院の本会議においてここまでワイドショーなども騒がせている「桜を見る会」について自らが潔白であることを説明する答弁を本日行いました。
野党が「桜を見る会」に疑惑を強めたきっかけの一つに共産党の宮本氏が参加者の名簿データを渡せという請求した件があります。
この資料請求に対して、政府は何をしたかというと「たまた名簿を破棄するタイミングが来たので全端末から破棄してしまった。だからもう開示できない」という答弁をしたのです。
強盗団が警察に事情聴取されて苦し紛れの言い訳をしている感が強いと言えます。
だからこそ、この対応を受けて野党側はこれまで以上に「桜を見る会」についての調査を強化する意向を固めました。
ただ、このいかにも強盗団という主張ではあれど、ここで実は手詰まり感があったのです。
森友の時もそうでしたが、行政の側が情報を「コントロールできる側」にあるため、ないと言われてしまうとそれ以上に野党側としては入り込むことができないのです。
要するに、端末からも紙媒体のコピーも全て破棄したと言い張れば逃げ切れたわけです。(もちろん国政調査権はあるが、内閣が過半数を抑える政党から形成される以上、与党が拒否した場合行使することは難しい。)
しかし、ここで今回の「シンクライアント」発言が飛び出します。
この「シンクライアント」発言は、首相による自爆テロといってもいいでしょう。
端的に言えば、「名簿のデータがまだある」もしくは「名簿のデータは復元できる」ということを自白してしまうものだったのです。
安倍「シンクライアントなのでデータは復元できない」という発言は大喜利
ここで「シンクライアント」がどういうものかを補足します。
安倍首相がのべた「シンクライアント」はシンクライアントサーバ方式の略称で、これは端末の側にデータの保存やデータの処理をさせる機能をほとんどおかずにサーバの側でほとんどを管理させるという仕組みです。
インターネットが生まれて以降主流的なシステム構造です。
インターネットが出現する前は、多くの人がUSBメモリやディスクなど物理的な媒介に一旦保存して端末から端末へのデータを移行していました。現代からすると非常に非効率なデータ活用です。
また、仮にそのメモリかディスクが壊れ、端末も壊れればこの世からそのデータは永遠に消えてしまう状態だったのです。
しかしながら、インターネットが発達したことで世界は変わります。
会社であれば自社のサーバにデータを保存しておけば、いちいちそういったツールを使わなくてもそこへのアクセス権さえあれば誰でも気軽にアクセスできるようになりました。
そして、特定のハードウェアが壊れても、googleドライブのような形で外部サーバにデータが保管されていれば、何か一つのハードウェアが壊れてもそれさえ取り替えれば、再度データにアクセスできるようになったのです。
さてここが重要なので繰り返します。
シンクライアントサーバ方式が世界で主流的なのは二つメリットがあるからだと私は書きました。
一つが、気軽に大規模に多くの人が特定のデータにアクセスできるという「有効活用」の点です。
もう一つが、特定の物理的な機械が壊れても復元できたりまたすぐにアクセスできるシステムのリスク管理体制の向上です。
今回強調したいのは後者の方です。
改めてですが、安倍首相は官庁が「シンクライアント方式」を採用していると述べました。
ということは特定の媒体からデータが削除されても復元できるシステム構成をとっているということは明らかとなってしまったのです。(まあいうまでもなくできるんですが)
補足すると、官公庁ともなれば、パソコンや物理的なサーバの一台や二台からデータを削除したくらいで元データが消えるようには絶対になっていません。
これはユースケースを考えればわかります。
仮に官僚の誤操作もしくは官僚のいたずらで年金のデータをサーバから全削除してしまったことを想像してください。
「全国民の年金データが消えたので年金は払えません」で納得しますか?
暴動が起きるでしょう笑
そんなことが絶対起きてはならないとシステムを設計する側は考えます。
なので、必ずサーバからデータが消えても復元できるように外部のディスクだかテープだかに「●月●日〇〇時のデータ」という形で何時間かに一回残しています。
銀行なども同様のシステム構成をとっています。
あなたは今銀行に預金を預けているかと思いますが、仮に銀行のサーバが故障で壊れてお金が払えませんと言われたらどうしますか?
キレるでしょう?
そして、銀行は確実に倒産します。
絶対にそんなことは起きないように法人側はしています。
誰かの日記が消えてしまうというレベルではすまない官公庁は銀行と同等のレベルでデータが消えないようなサーバ構成をとっています。
政府が「処分したので名簿を出せない」といくら言おうとも、「シンクライアント」方式を採用しているのであれば、データが復元できるのです。
「シンクライアント」なのでこれまでの疑惑が全てクリアにできることがバレる
そして、ここからも大事なのですが、仮に「シンクライアント」という方式を採用しているのであれば、これまで政府が隠蔽して来たものや嘘をついたのではないかと言われているものも全て検証ができるのです。
いついつ時点でのデータというのがシステム会社に問い合わせれば確実に出すことができます。
森友で改ざんされた公文書のデジタルデータもどのように改善されたか外部の記憶装置を辿れば確実にわかりますし、自衛隊のPKOの日報が出てこないという件も紙だけで残すなんてありえませんから、確実に復元できます。
というよりそうでないとおかしい。
企業でさえ、誰かが悪さしたり外部からの攻撃で何もかも消せてしまうような状況は企業の存続リスクになりますから避けようとします。
官公庁ともなればそれ以上のガバナンスを取るのは当然です。
シンクライアント方式だから「修復できない」のではなく、シンクライアント方式だから「修復できる」のです。
安倍首相はおそらくシンクライアントサーバ方式が何か全く知らないで原稿を読んでいるのでしょう。
これは誰かの謀略かもしれませんが、何れにしても野党はこの切り口で攻めれば確実に成果につながります。
ITの専門家などを読んだり、システムを管理しているであろう富士通だかNECだかの担当者を参考人招致すればいいのです。
もちろん可能性は低いですが、何を考えたかシステムを作った当時の人が「公文書を完全に削除できる」ようなシステム構成をとった可能性はあります。
ただ、システムを入れる時点でその発想をするということは極めて考えにくいと言えます。
先の年金データの例で見たように、消せてしまうリスクと消せないリスクを選ばなければならない場合、良識あれば責任者は後者を取るでしょう。公文書が削除できてしまう方がリスクですし笑