連日報道され、そして次から次へとそのヤバさが表面化している統計不正ですが、今週は統計不正についに安倍官邸の関与を匂わせるニュースが出てきました。今日は短めですが、統計不正についての最新情報を書かせてもらいます。
統計不正に対するこれまでの政府および官僚のスタンス
連日報道されていることもあり政治に興味のない方でも統計不正というニュースが報道されていることくらいはご存知でしょう。
初めての方向けに記事の本題に入る前にこの統計不正がどのくらいまずいことかを少しだけ話しておきます。
安倍政権に限ったことではないのですが、選挙で政治家を選ぶにあたって何を我々が重視するかというと「ちゃんと成果を出してくれそうか」ということを基準に選ぶでしょう。そして、その基準を具体的なものに落とし込んでいくと現内閣の場合例えば、「賃金をいくら伸ばした」とか「GDPをいくら増やした」といったことをアピールして国民からの投票を得るわけです。
さて、その賃金を指数やGDPが改ざんされていたということが事実だとするとどうでしょうか。
これは民主主義の否定です。
投票行為自体が残って入れば民主主義だと言い張る連中もいますが、嘘の情報をもとに特定候補への投票が行われている場合それはもう民主主義ではありません。
現在起きていることは、その民主主義とはもはや言えない状態なのではないかというレベルの話なのです。
改ざんしなければ賃金は実際はマイナスだったのではないかといったことやサンプルを恣意的に入れ替えることで急激に賃金が伸びているといったことが今明らかになっているのです。第二次大戦中に「日本は善戦している」という報道を垂れ流され悲劇を招いたのとなんら違いがありません。
そのくらい統計不正というのはまずいことなのです。
さて本題です。
これまで統計不正自体があったことを役所は認めました。そして安倍政権もそれは非常に問題があるという認識を示しました。
しかしながら、あくまで官僚も安倍政権側も現政権が統計の改ざんを主導したということはないとこれまで言い続けてきたのです。
下記のNHKのニュースを引用します。
毎月勤労統計調査の調査方法をめぐって、22日、衆議院予算委員会に参考人として出席した厚生労働省の姉崎元統計情報部長は、平成27年9月に当時の中江総理大臣秘書官と面会していたものの、有識者検討会の報告書案の結論の変更は面会の前から検討しており、中江氏の指示によるものではないと説明しました。
『勤労統計 元幹部否定もメール公表で野党批判強める』 NHK 2019年2月23日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190223/k10011825211000.html
固有名詞はあまり気にせず役職だけを意識して読んでみてください。
これまで国会での答弁において役所側は一貫して、総理秘書官とは面会していたものの統計算出方法の変更はそれ以前からしていたので何か指示があったという事実はないと説明してきたのです。
しかしながら、ここからが衝撃的なのですが、これが嘘だったことを明らかにするメールが出てきたのです。
一通のメールが明らかにした官僚の嘘と安倍官邸の関与
そのメールについて玉木議員は下記のように述べています。
(統計不正問題で)安倍晋三首相や諮問会議や「官邸筋」の関与はなかったと従来説明がなされてきたが、そのことを根底から覆すような、(厚生労働省が統計手法の見直しを官邸関係者に報告していたとする)メールが出てきた。
「官邸関与、メール出た。虚偽答弁だった可能性」玉木氏 朝日新聞デジタル 2019年2月23日
https://www.asahi.com/articles/ASM2R5V5LM2RUTFK00B.html?ref=newspicks
繰り返しになりますが、役所はこれまで統計手法の変更は自らの組織で勝手にやったもので安倍政権は一切関係がないと述べてきました。
しかしながら、今話題のメールは厚労省が統計手法の見直しの過程において官邸関係者に報告していたと明らかになったのです。
具体的には下記記事を参照ください。
厚労省が有識者検討会での検討状況を首相官邸関係者に報告していることや、「委員以外の関係者」からの意見により「総入れ替え方式が適当」としていた結論を取りまとめ直前に変更する方針が明記されていた。
『統計不正、厚労省がメール公開 官邸関係者に報告と明記』朝日新聞デジタル 2019年2月22日
https://www.asahi.com/articles/ASM2Q64GLM2QUTFK022.html?ref=newspicks
確かに当初は厚労省は官邸の関与なく検討していたのかもしれませんが、一通のメールが首相官邸関係者に報告を行なっていたことと結論を出す前段階で「委員以外の関係者」からの意見により変更したと書かれています。
ここでいう「委員以外の関係者」は元首相秘書官であると現厚労大臣がすでに述べていますので、関与は確実にしているといっていいことを示すメールなのです。
統計の検討状況を官邸に報告するって普通ではありません。
役所がそんなことまで伺いを立てていたら政治家は報告されることだらけで他の仕事ができません。
つまり、政治的に報告しなければいけないほど極めて重要なマターであったことが濃厚なのです。
あと、官僚が公然と嘘をついていたこともほとんど確定しました。
醜態を晒し嘘を垂れ流し続ける御用学者と自民党議員
さて、これほどまで疑いを持てる具体的な証拠が出てきても相変わらずトンチンカンなことを言い続けているのが御用学者と自民党議員です。
ある御用学者がどういうことを言っていたかというと、官邸はこれまでの統計抽出方法よりもより現実を映し出す方式へ変更をすべきだと考えていたのだからいい意味で関与していたのであり何が問題なのかと言ってました。
またあるアホ丸出しの自民党議員はどういうことを言っているかというと、統計人材を育成し、統計の透明性を高め、ITの活用をしヒューマンエラーをなくさなければならないと言ってました。
上記のいずれもが「官僚がなぜ嘘をついてまで官邸の関与を隠そうとしたのか」に何も答えていません。
体制を盲信すれば小銭が稼げるのでしょうが、ここまでくるとクズとしか言いようがありません。
システム化しようが、人材を育成しようが、それらでは公然と嘘を官僚がついてきた何も対処できません。
官僚が慎重だった統計の算出方法に官邸が関与することでその方法に移行したんです。
百万歩譲ってそれが「いい方に変えるための関与」だったとしても、それならばなぜ首相官邸は関与していないと官僚は嘘をつき続けてきたのでしょうか。
いい加減に、この政権がデタラメだと気づかないんですかね。
ひどすぎますね。
最近はどちらかというと安倍政権以上に、その周辺の乞食みたいな学者やエコノミストの方がムカついてきましたが、、、
我々は、いわば事実を反対尋問し、論者が看過したかもしれない諸原因を自ら示唆し、そしてそれらの諸原因の作用を研究し得るのでなければ、論者のいうがままに翻弄されてしまう。また、経験が教えてくれるのは、あらゆる理論家の中で最も無謀で信用出来ない者は、事実と数字に語らせると公言する者であり、そうした事実や数字を選び出し、分類し、「この後にゆえにこのために」という議論を示唆する際に、恐らくは無意識のうちに自らが演じた役割を背後に隠す者である、ということである。
『経済学の現状』アルフレッド・マーシャル(2014) ミネルヴァ書房『マーシャル クールヘッド & ウォームハート』p26より