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経済

TPPは日本にメリットがある話なのか

更新日:

 

一時期世間を賑わせたTPP

 

アメリカの脱退を経て破綻したかに見えましたが、どうやらここ最近一段と盛り上がりを見せていますね。

 

「平成の開国」「アジアの成長を取り込む」「攻めの農業に向けた起爆剤」

 

こういった形でTPPには大いにメリットがありぜひとも入るべきだという論調がメディアを覆っています。有名な方だと浜田宏一イェール大学名誉教授がTPPのメリットを伝えていますよね。

 

庶民の我々は「偉い人がいうことだし、、、」といった形でなんとなく入った方が良さそうというイメージを持ってしまっています。

 

しかし、私はTPPというものがまったく良いものではないと考えています。

それは感覚的にもですし、幾つかの例を見た上でも感じています。

 

今日は、すべて書ききることはできませんが、TPPへの違和感を書いていきます。

 

■目次

TPP最大の問題
「自由貿易=善」というカルト
主流派経済学を批判した智者に学ぼう

■TPP最大の問題

TPP最大の問題は何か?

 

もちろん個別にいろいろと指摘することはできるのですが、あえて一つあげろと言われたら私はこう答えます。

「TPP参加によるメリット・デメリットがあまりに不明瞭であるから」

 

TPPがいかに不明瞭なものであるかというのは私の情報収集能力不足であることを要因と当初は考えていたのですが、どうもそうではなさそうなのです。

 

私はNewspicksという著名な人や一般の人がニュースにコメントできるソーシャルメディアを愛用しているのですが、下記のTPPに関する記事を見れば私が今述べたことが明確にわかります。

https://newspicks.com/news/2620372?ref=user_2234402

https://newspicks.com/news/2617110?ref=user_2234402

 

経済評論家やエコノミスト、大学教授の多くがTPPに賛成の論調をはっているのですが、「具体的に」どういったメリットが日本にあるのかということをまったく書くことができていないのです。「あえて書いていない」という言い方もできるかもしれませんが、それは考えにくいのです。

 

他の問題についてはそれぞれ詳しい人が「こういうメリットが日本にはある」ということを嘘か本当かは別にして「具体的に」書くのがNPでの一般的な光景です。

 

しかし、繰り返しになりますが、TPPに関してはどの記事を読んでも具体的な日本のメリットデメリットがまったく記載されていないのです。

 

総じて印象論で、「中国をけん制した」「アメリカに従うフリをしてリーダーシップを発揮している」「日本の輸出産業が世界で戦える」などといったことを「頭のいい人」が述べているわけです。

 

一般的な感覚から言えば、ここまで隠蔽されている交渉過程に対して何かデメリットがかなりあるのではないかと考えるべきなのですが、どうもそうはなっていないようです。

 

 

実際、この交渉過程の不明瞭さについてはTPPに全面的に賛成している浜田宏一イェール大学名誉教授ですら述べているところです。

多くの業界の利害と関わるので、交渉中の当事者たちの口はきわめて固く、内閣参与の立場にあった私に対しても「何も教えられません」の一点張り。TPP交渉のため個人的に来日した米国の関係者に話を聞こうとしても、「何も隠し立てすることはない」とは言いながら、何一つ教えてはくれなかった。

『TPPがもたらす巨大な利益』プレジデントオンライン 2016.2.10

http://president.jp/articles/-/17287

通常政治だろうが会社経営だろうが何かを運営していくという時はそのステークホルダーに対してメリットデメリットの説明が明確にあることが求められます。

 

しかしながら、TPPはその多くが隠されています。

 

健全な場であれば「批判が的を射てない」などという指摘があり、論争が盛り上がるものです。

 

TPPに関してはその手続きすらも踏まないという意味で極めて反民主主義的な状態が続いているわけです。

「批判が適切でない」といった論争すらもさせないTPPには危険な香りがしませんか。

 

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■「自由貿易=善」というカルト

あらためてですが、ここまで不明瞭でありながらTPPに賛同している人が大学教授であろうが会社経営者であろうが、多数いるというのが今の日本のおかしさを表しています。

 

なぜ具体的なメリットデメリットが検証されない中でTPPばんざーいとこれらの人が言えるのか。

 

もちろん答えは一つではないでしょう。素晴らしい読解力かリサーチ力で具体的にTPPのメリットがデメリットをうわまっていると把握したのかもしれません。

 

しかし、私の考えるに最大の要因は「自由貿易=善」というカルトに蝕まれているということをあげます。

 

 

この経済学カルトは、主流派経済学というものを徹底的に学んだ頭のいい人たちにこそ見られる現象のようでしてとにかく自由化したり規制緩和すれば経済は良くなるという発想が根底にあります。(エマニュエルトッドや中野剛志さん、水野和夫さんなどが著書で指摘しています。)

 

 

特にTPP賛成派はアダム・スミスが打ち出したとして有名な需給曲線やリカードの比較優位論というのを使いながらメリットを説明し続けているのですがこれが実はかなり無茶苦茶な前提がないと成り立たないのです。

 

一例を見ましょう。

いまあげたリカードの比較優位論についてはTPP賛成派の浜田宏一名誉教授は愛好しているようでして、下記の記事で以下のように述べています。

そもそも、関税等の国家の介入を排除して物とカネを行き来させる自由貿易と、その真逆である保護貿易は、どのような得失を伴うのか。経済学の世界では、この問題について19世紀初頭から現在まで、約200年にわたる議論が続けられてきた。

19世紀の英国の経済学者デビッド・リカードは、「各国がそれぞれ優位性を持つ産品を輸出し、そうでない産品を輸入することで、全体としての経済厚生は高まる」と説く、「比較優位の原理」を唱えた。

この原理は現代でも有効だ。貿易の盛んな二国間において、もし一国が自国の弱い産業を保護すべく関税障壁を設ければ、相手国も同様に、弱い分野の関税を上げるだろう。その結果、両国間の貿易は全体として縮小し、2つの国の経済はどちらも不利益を被ることになる。

『TPPがもたらす巨大な利益』PRESIDENT Online2016年02月10日

http://blogos.com/article/159939/

ただ、浜田教授がTPP賛成を断言する論拠である「比較優位論」は前提が小学生でもわかるくらいデタラメなのです。

 

ウィキペディアで比較優位論と調べてもらえればわかるのですが、この比較優位論はありえない前提が山のように置かれているのです。

 

具体的には

・労働は完全雇用
・運送費用がかからない
・世界には二国、二財、一つの生産要素のみが存在する

などです。

 

こんなことが現実でおこらないことは小学生でもわかるでしょう。

なのにイェール大学の名誉教授とも言われる方がこの理論を愛好し、そのお粗末な理論をベースにしてTPP参加を全面賛成しているのです。

 

恐ろしさを感じませんか。

 

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■主流派経済学を批判した智者に学ぼう

昨今のビジネス書や経済系の新書というのはTPP賛成派が喜ぶような「自由貿易」「規制緩和」「構造改革」を後押しする論調が主流的です。

 

しかしながら、こういった自由化の幻想については先のリーマンショックである程度明らかになったばかりです。

 

なのに「構造改革が足りない」「規制緩和を前へ」などとより危険な方向に日本は向かおうとしています。

 

 

いまや大学教授もビジネスリーダーもカルトに入信しておりあてにならないそれが私のここ数年で出た結論です。

 

私がそういう考えに至ったきっかけの本たちがあります。

当時は主流派から押しやられた方も多いのですが、目の前のリアリティを明らかに見ており、本当の意味で経済を学べる書物ではないかと私は考えています。

 

ここで並べる本は「人間は合理的に行動する」という主流派経済学とは180度異なる「人間は非合理的な行動をする」と言うことを前提にしています。

 

TPPの詳細がわからないのであれば歴史からこれがどういったものかを想像するしかありません。

ぜひとも一読いただきたい一冊です。

 

ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子及び貨幣の一般理論』

一言コメント;ケインズの偉大さはいろいろとあるが経済学に「時間軸」を導入したことです。経済学を生きたものにしたというべきかもしれません。

 

こうして古典派理論は、労働者はいつでも自由に実質賃金を切り下げることができ、そうするためには貨幣賃金の切り下げに応じるだけでいい、と想定していることになる。実質賃金は労働の限界不効用と均等になる傾向を持つという公準の裏には、労働者は労働の対価である実質賃金を・・・自らの手で決定しうる立場にあるという想定が潜んでいるのは明白である。

『雇用、利子及び貨幣の一般理論』ジョン・メイナード・ケインズ(2008)岩波文庫

カール・ポラニー『大転換』

一言コメント;ポラニーはドラッガーが正反対の意見ながら絶賛した一冊を書きました。保護主義が国益にかなうと。

実際このような論法こそが、現在残された経済的自由主義の最後の砦である。自由主義の弁護論者は、手を替え品を替えて次のように繰り返す。曰く、自由主義の批判者が主張する制作さえ行われなければ、自由主義はうまくいっていただろう。あるいは、競争システムや自己調整的市場ではなく、そうしたシステムに対する妨害や市場への干渉が我々の時代の不幸をもたらすのである、と。

『大転換』カール・ポラニー(2009)東洋経済新報社

フリードリヒ・リスト『経済学の国民的体系』

一言コメント;主流派経済学に干され最終的には自殺すると言う最後を迎えたリストですが、今読むと保護主義が如何にまっとうなものであるかを考えさせられます。

 

これと反対に、ケネーが夢見てアダム・スミスが作り上げた支配的な理論は、もっぱら未来の、いやそれどころか最も遠い未来の世界主義的要求だけを、注視している。それは、今のところではおそらく幾世紀も後でやっと実現が可能だというに過ぎない世界主義的理念である、世界連合と国際貿易の絶対的自由とを、現在既に実現できるものだと思っている。それは現在の必要と国民国家の本性とを誤認することによって、国民の存在をさえ無視し、したがって国民を育成し独立させるという原理を無視している。

『経済学の国民的体系』フリードリヒ・リスト(2014)

以上お読みいただきましてありがとうございました。

 

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