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会社をうつで休職したくなったらするべきこと

更新日:

あなたの周りで「うつ」になっている人を見たことがあるでしょうか?

 

おそらく一度はあるのではないでしょうか。もしなければ相当珍しいと思います。

 

と言いますのも今やある日を境に会社を休職して来なくなってしまう人を見ないことがないくらいに日本社会では「うつ」というものが広く見られるからです。

 

 

一度うつになってしまうと酷い場合には長年引きこもりになってしまったり、会社に戻ってきてもすぐにまた休職してしまい結局は離職につながるなど悲惨な帰結をもたらすことが少なくありません。

 

 

この「うつ」という病の恐ろしさは何と言っても対処法がはっきりしないというところです。

例えば、怪我をしたというのであれば、確かに痛いことは痛いですが、治療をする方法が明快なことが多いでしょうし、どれくらいで治るかということもある程度の目処が立ちます。

 

しかし、「うつ」に関してはそうはいきません。

もしかすると次の日には治るかもしれませんが、一生治らない可能性だってあります。環境を変えれば一変することもありますし、全く効果がないこともあります。

 

一応、投薬治療というものがありますが、飲んだからといってすぐに治ったり、寝れば治るというものでもありません。

 

 

そんな社会問題とも言える「うつ」について本日は触れたいと思います。

「うつ」は何が引き金なのか考える機会となれば幸いです。

 

我が国の「うつ」の実態

まずは、現状を理解するべく我が国のうつの現状について少し調べてみました。

 

最近は、調査を国としてはどうやらやっていないようで、平成20年の調査が最新のものでした。

今から10年前なので少し古い気もしますが、ご容赦ください。

 

厚労省の調査によると「うつ病」の患者数は、平成8年(1996年)には20万7000人程度でした。

 

しかし、その12年後の平成20年になんと70万4000人になっているのです。

 

もちろん統計解釈の注意点として、技術が向上したから表面化されていなかったものが見えるようになったという見方もできます。

 

ただ、それを差っ引いても増えているなと感じます。

 

 

人口が増えているわけではありませんから、10年とちょっとで3倍強というのは国民に占める割合が大幅に上がったといえるのではないでしょうか。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/dl/h22_shiryou_05_09.pdf

 

 

なお、この「うつ」という病について悩んでいるのは日本だけではないようです。

 

世界的にも課題認識があるようで、OECDでは根本的な治療法が見つからない現状はこの関連する病が増えることはひいては国力の低下にもつながると指摘しています。

 

OECD最新報告書Making Mental Health Countによると、精神医療は大変多くの国で資源が不十分で優先順位が低いが、各国政府は精神医療の改善に向けた取組を一層強化する必要があります。これによると、精神疾患の社会的・経済的コストは高く、さらに増加しています。重度の精神疾患を持った人は一般人口よりも20年ほど早く死亡し、失業する可能性も6~7倍高いことが示されました。

『OECDによると、多くの国で精神医療は資源不足』

https://www.oecd.org/tokyo/newsroom/mental-healthcare-under-resourced-in-too-many-countries-says-oecd-japanese-version.htm

 

「うつ」の原因

さて、日本でも世界でも悩ましいこの「うつ」というものの原因はなんなのかについて話を進めます。

 

 

あらかじめ断りを入れると、科学的に原因が「これである」といったような明快な説明はここではできません。

 

 

 

なぜならすでに述べたように、人間はロボットではなく個体差があり、その各人が体験する何かを引き金とするものが「うつ」を引き起こすからです。

 

 

個々の人間自体を一義的に定義できないのに「うつ」状態をどうして普遍的に定義し得るのかという話です。

 

 

 

ただ、それを前提にしてわからないなりにも考えを進めることができます。

 

ここでヒントにしたいのがミシェル・フーコーという人物の思想です。

 

 

 

彼の思想に基づき「うつ」をはじめとする精神病がなんなのかに対して理解が前進します。

 

フーコーの考えに基づけば、「うつ」のような精神病はある時代におけるコミュニティ内での「狂人」とそれ以外の人間を区分けする作業の結果生まれて来るものです。

 

これは彼の『狂気の歴史』という作品を読むことで見えてきます。

 

 

著書の中でフーコーは「狂人」と言われた人の歴史分析をするわけですが、彼はあることを結論づけます。

 

それは<精神病>自体は実は近代以降の西洋社会において認められる極めて歴史の浅いものだということです。

 

 

今でこそ、「狂人」と「精神病」は同義として見られがちですが、近代以前は「精神病」という概念がないため「狂人」は病人ではなかったのです。

 

ここが非常に重要です。

 

近代になってある人たちを急に「お前は病気だ」と言い始めたということです。

 

いくつかサンプルを挙げますと、今でこそ認められつつある同性愛は「狂人」とされ、家族や社会から隔離され監禁されていたとフーコーは述べています。

 

 

他にも放蕩者や娼婦、自殺願望の強い者、無宗教者などが狂人とされていた時代があったと言われています。

 

 

ここにある「無宗教者」なんて日本にはゴロゴロいますが、ある時代のあるカテゴリーにおいては神を信じない「狂人」として牢屋にぶち込まれていたのです。

 

そう考えると狂人認定というものは結構恐ろしいと思いませんか?

 

 

ここで「うつ」の原因の話に戻りましょう。

 

ある人が「うつ病」かどうかは自分が何かのウイルスに感染したり、怪我をしたりするようなものとは異なるのです。

 

あくまで、その社会における「理性的」「非理性的」の区分において後者に分類され排斥されているに過ぎないのです。

 

 

「うつで会社を休職」となる前にしたいこと

最後にこれを踏まえて「うつ」で会社を休職しようと考えている人に伝えたいことを述べたいと思います。

 

大きくは二つ方法があります。

一つは自分が「狂者」と認定されうるもしくは自分が「狂者」ではないかと感じうるコミュニティから距離を取ること。

 

それは離職ということを指すこともあるかもしれませんが、それ以外の形で距離を取るだけで済む人もいるでしょう。

 

二つ目は(もしそれができない場合は特にそうですが)何か別のコミュニティに身を置き「狂人ではない」と実感できる場所を探すしかないでしょう。

 

フーコーの時代とは異なり、今でこそあいつは変だと思ってもすぐに監獄に入れられるようなことはありません。

 

しかしながら、共同体の自然法則として異質なものを排除しようとする流れはできます。

 

 

日本のいくつかの企業では新人は裸踊りができないと逆に構成員として正常ではないという判定を下してくるようなところもあります。

 

またある日本企業では夜中まで残業できないのは構成員としてむしろ「狂人」であると判定してくるところがあります。

 

類似の例は幾つでもあげられます。

 

ある企業では、セクハラをさせない女性社員はダメ社員とする人間がゴロゴロいます。

 

 

何が言いたいのか。

矛盾したようなことを言いますが、「狂人」ではないことで、「狂人」だと言われてしまうことは往々にしてあるということです。

 

 

決して、自分自体が何かおかしくなったのではないかと安易に考えてしまわないことを推奨したいのです。

 

もちろん、自助努力が一切不要とは思いません。

しかしながら、「狂人」という認定が歴史的な経緯を見ていくと極めて危うい認定フローであるということはいくら言い過ぎても言い過ぎとなることはありません。

 

 

 

 

 

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