第三次世界大戦は起きるのか?
先日記事にもしましたアメリカとイランの対立ですが、あれからさらにまずい流れになりつつあることが各種メディアからも見えてきています。
そして、第三次世界大戦 World War Ⅲ などいうハッシュタグがツイッターでも大規模にでてきており、世界中の人が注視するトピックとなってきました。
第三次世界大戦云々がいわれた背景にはイランに対して中露が支持を表明したことが大きいと思われます。
これまではあくまでイランとアメリカの二国ということでしたが、利害関係者が増えてきたのです。
そこで本日は第三次世界大戦が起きるのかについて書かせていただきました。
アメリカとイランの戦争開始はさけられないところまできてる
現状いえることとしては、過去にどのような第三次世界大戦開戦の可能性は低いけれども、アメリカとイラン間での戦争は避けられないところまで来ているというのがわたくしの見解になります。(間接的に中露がイランを支援するベトナム戦争のような構図はあり得るが)
なぜなのかについてまずは簡単に前回の記事をベースにふりかえりたいと思います。
まずポイントは、今各種メディアが大々的に報じ始めてるきっかけでもあるのですが、イラン革命防衛隊のソレイマニ氏を米軍が殺害したことが決定的に大きいでしょう。
ソレイマニ氏については報道もすでになされていますが、端的に言えば国のナンバー2でかつ国民からの人気はナンバー1の人です。
それを殺したということですからアメリカでいえば国防長官クラスが殺害されたのと同レベルです。
日本でいえば、軍隊自体をかなり大規模に統率していたことを考えると総理大臣が殺害されたくらいのレベルと言っていいかもしれません。
そのくらいの人物を殺されたイランにとって「戦争はいけないから自制しよう」とEUあたりにいわれたところでおいそれと承服できるわけがないでしょう。
案の定イランは報復を宣言しました。
今回新たに採択された法案では、米軍および国防総省の職員、提携機関、スパイ、指揮官、ソレイマニ司令官の「殉教」を命じた者らが「テロリスト」に指定された。
『イラン、すべての米軍部隊を「テロリスト」に指定へ』AFP 2020年1月7日
そして、アメリカのトランプ大統領もまた報復があれば徹底的にイランを攻撃することを表明しています。
戦争が始まるときというのはいつの時代も「よし戦争をしよう」などと馬鹿正直に言った人は皆無で、基本的には「自国を守るために仕方ない」という論法が駆使されるのです。ヒトラーや中国共産党などはその典型です。
その「自国を守るためには」を両国において非常に頻繁に発言されているということは文脈として双方の戦争宣言に近いものがあるのです。
アメリカがイランと戦争をしたい事情について
ちなみに、アメリカがイランになぜこれほどまでに好戦的なのかを補足します。
というのもイランの肩を持つようなことを書きますが、アメリカのここまでのイランへのアプローチはチンピラも仰天のむちゃくちゃなものだからです。ソレイマニ氏殺害も国際法違反が取り沙汰されています。
このもめごとの発端はふりかえりますと、イラン核合意をアメリカが離脱した一件が着火点とされています。
イランの核合意というのは、イランが核開発をしていたため、多くの国が経済制裁をしようとなったわけですが、双方議論の末に核兵器開発の停止をする代わりに経済制裁を解除することを取り決めたものです。
ところがこれをトランプが突如離脱するといったわけです。完全なるちゃぶ台返しですね。
事情としては、アメリカ側がこの合意を不利だと考えたからだとメディアは報じています。(弾道ミサイルの開発は許されるなど)
トランプ政権が2018年5月、オバマ前政権下の15年に締結されたイラン核合意からの離脱を表明したのは、合意内容が「核開発の制限は10~15年間のみ」「弾道ミサイルの開発やイランのテロ支援を制限していない」などの欠陥を容認できなかったためだ。同月に提示された12項目要求は、こうした欠陥を是正するのが狙いだった。
『米イラン緊迫 米、イランに倍返し報復 司令官殺害、民間人犠牲で決断』 産経新聞 2020年1月6日
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200106-00000602-san-n_ame
イランとしては突然のことに「え~~~約束したやん」となるわけです。
しかもそのあとめちゃくちゃメンチ切ってくるは銃で発砲してくるわ勘弁してくれという話です。
ただ、一国家内と違い国際社会では警察のように取り締まることができる部隊もいませんのでジャイアンの世界です。
つまり、力を持つアメリカが「俺がやだからそのルールはダメ」と言えばまかり通ってしまうのです。
そのあともめにもめた結果、今回のスレイマニ氏殺害にまで至ったのです。(表向きは超危険人物だからという話だが)
さて、前置きが長くなりましたが、トランプが何でここまで暴走しているのかについて話します。
一言でいえば、自分の支持率アップです。
戦争が起きると支持率が基本的に死ぬほど上がるのですが、自分の再選が危ぶまれているトランプにとって戦争をするというのは切り札なのです。
湾岸戦争やイラク戦争の時にはアメリカ大統領の支持率は9割を超えるようなこともあったのはご存知の方も多いかと思います。
それをすることでトランプは再選を固いものとしようとしているのです。このままだと民主党の候補に負ける可能性がありますからね。
では、なぜそのための相手がイランなのかが興味深いところでしょう。
理由は大きく二つあります。
一つは、自国でエネルギー調達ができるようになったことで中東に対する依存度合いが下がったことが大きいでしょう。
そして、もう一つは「相手としてちょうどいい」というところがあります。
この前まで北朝鮮や中国ともめていたのを記憶されている方は多いでしょう。
今やあれはどうなったんだというくらいおさまってますが、それにはわけがあるのです。
ざっくりというと中国は相手としてデカすぎる一方で北朝鮮はむしろ弱すぎて国民感情を盛り上げるほどの相手にならないということです。
特に中国は経済的にも依存度合いが高いのであまりやるとアメリカにとってマイナスが大きすぎます。
そういった中においてイランというのはそれなりの規模であり、経済構造からしても依存関係にないことを鑑みるとトランプにとってこれほど都合のいい相手はいないということなのです。
本件における日本の立ち位置について
さて、こういった中で、日本という国はどのような立ち位置なのでしょうか。
アメリカとはもちろん保護領と言われるほどにベタベタな国ですが、イランも大統領が昨年の12月20日に来日するくらいの関係性です。
それゆえに、対米追従国と言えど軽んじられる関係性ではない中で、いつも通りアメリカの言うことに丸々従うのかは注目すべきポイントです。
もしくは八方美人外交をするのか、アメリカに物言う立場をとるのかなど。
とりあえず言えることは日本はアメリカと違って中東の原油に依存している経済構造なので、このまま情勢不安で原油がインフレすると経済がダメになり安倍政権も支持率が持たなくなってくることでしょう。
普段政治に興味がない方もこのアメリカイラン問題だけは是非追いかけることをお勧めいたします。